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移送取扱所の自衛消防組織はなぜ配管の長さで決まるのか|別表第六の距離基準と相互応援協定の特例を解説

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移送取扱所を持っている事業所でも、自衛消防組織の人数は必要になるとお考えでしょうか。
実はこの人数、ほかの危険物施設とは違い、貯蔵する量ではなく配管の長さで決まります。
15キロメートルと50キロメートルという2つの距離が、編成の規模を左右する境目です。
この記事では危険物の規制に関する規則第64条・第64条の2が定める、移送取扱所ならではの自衛消防組織の編成基準を整理します。

移送取扱所を持ってるんですが、自衛消防組織の人数ってどう決めたらいいんでしょうか。

移送取扱所は配管の長さで決まりますよ。
ほかの危険物施設とは基準が違います。

配管の長さって、具体的にはどう見ればいいんでしょうか。

15キロメートルと50キロメートルが境目です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 移送取扱所を有する事業所の自衛消防組織は、貯蔵量ではなく配管の延長(距離)を基準に人員・化学消防自動車の台数が決まります
  • 具体的な基準は危険物の規制に関する規則第64条・別表第六が定めています。
  • 配管の延長が15キロメートル以下か、それを超えるかで最初の区分が変わります
  • 移送基地を中心とした半径50キロメートルの円を超える区間があると、その分だけ人員・台数が加算されます。
  • 相互応援協定を結んでいても、各事業所には自前で用意すべき最低限の人員・台数が決まっています

移送取扱所の自衛消防組織を分ける基準として配管の長さを測る15キロ以下は基本50キロ圏外は加算協定でも下限ありの4段階を示す図解

移送取扱所の自衛消防組織はなぜ量ではなく配管で決まるのか

移送取扱所の配管と貯蔵タンク施設を見比べる担当者の様子
危険物を大量に貯蔵・取り扱う事業所には、自衛消防組織を置く義務があります。
ところがこの基準、移送取扱所だけは少し違う考え方で決まります。
消防法第14条の4 同一事業所において政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所を所有し、管理し、又は占有する者で政令で定める数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うものは、政令で定めるところにより、当該事業所に自衛消防組織を置かなければならない
基準になるのは量とは限りません。
一般の製造所・貯蔵所・取扱所は、危険物の規制に関する政令第38条の2第1項により、敷地内で扱う第4類危険物の最大数量で人員・台数が決まります。
一方で同項は、移送取扱所については総務省令で定める数量・基準によると定め、原則の表をそのまま当てはめません。
移送取扱所はタンクのように危険物を一箇所にためる施設ではなく、配管で長距離を運ぶ施設だからです。
その総務省令にあたるのが、危険物の規制に関する規則第64条です。

うちは移送取扱所しか持ってないんですが、それでも別表第五を見るんですか。

移送取扱所だけの事業所は別表第六だけを見ます。
ほかの施設もあると合算が必要です。

配管の延長15キロメートルはなにを分ける境目なのか

短い配管と長い配管の延長を測量する担当者の様子
別表第六は、配管の延長(長さ)を3段階に分けて人員・台数を定めています。
まずは最初の境目である15キロメートルから見ていきます。
危険物の規制に関する規則第64条・別表第六(抜粋) 危険物を移送するための配管の延長が十五キロメートル以下である移送取扱所を有する事業所 人員数五人 化学消防自動車の台数一台/配管の延長が十五キロメートルを超え、かつ、当該配管の経路が移送基地を中心として半径五十キロメートルの円の範囲内にとどまる移送取扱所を有する事業所 人員数十人 化学消防自動車の台数二台
境目は15キロと50キロです。
配管の延長が15キロメートル以下であれば、事業所全体で5人・化学消防自動車1台の編成で足ります。
15キロメートルを超えても、配管の経路が移送基地を中心とした半径50キロメートルの円の中に収まっていれば、10人・2台に増えるだけで止まります。
つまり配管の長さそのものより、移送基地からどれだけ広がっているかが次の分かれ目になります。
自社の配管がどちらに当たるか、まずは延長の実測値を確認してください。

うちの配管は20キロくらいですが、範囲はほぼ一箇所に収まってます。

それなら10人・2台の区分ですね。
広がり方も一緒に確認しておきましょう。

移送基地から半径50キロメートルを超えるとどう計算するのか

移送基地を中心にした円の外側に印を置く担当者の様子
配管の経路が半径50キロメートルの円からはみ出す事業所は、さらに人員・台数が加算されます。
この加算のしくみが、ほかの危険物施設には無い移送取扱所特有のルールです。
危険物の規制に関する規則第64条・別表第六(抜粋) 配管の延長が十五キロメートルを超え、かつ、当該配管の経路が移送基地を中心として半径五十キロメートルの円の範囲外に及ぶ移送取扱所を有する事業所 人員数十人に、左欄の半径五十キロメートルの円の範囲外の配管経路について当該配管経路を半径五十キロメートルの円の範囲内に包含する場所一箇所につき五人を加えた数 化学消防自動車の台数二台に左欄の半径五十キロメートルの円の範囲外の配管経路について当該配管経路を半径五十キロメートルの円の範囲内に包含する場所一箇所につき一台を加えた数
加算は円の外に出た区間の数で数えます。
基準となる10人・2台に、円の外に出た配管経路を新たに囲うのに必要な半径50キロメートルの円の数だけ、5人・1台ずつ積み上げていく計算です。
配管が一直線に長く伸びる事業所ほど、円をいくつも並べる必要が出てくるため、編成人数も比例して増えます。
配管の経路図に実際に半径50キロメートルの円を描いてみると、必要な人員・台数が具体的に見えてきます。
自社だけで判断が難しい場合は、所轄消防署に確認しながら進めるのが確実です。

地図に円を描くところまでは、正直やったことがなかったです。

多くの事業所がそうです。
経路図に円を重ねる作業だけでも、一度やる価値がありますよ。

相互応援協定を結べば人数を減らせるのか

2つの事業所の担当者が協定書を交わす様子
令第38条の2第1項のただし書きは、相互応援協定を結んでいる事業所には別の編成方法を認めています。
ただしこの特例には、見落としやすい下限のルールがあります。
危険物の規制に関する規則第64条の2 令第三十八条の二第一項ただし書の総務省令で定める編成は、火災その他の災害のための相互応援に関する協定を締結しているすべての事業所を一の事業所と…みなして…適用した場合における人員及び化学消防自動車の台数とすることができる。ただし、相互応援に関する協定を締結している各事業所の自衛消防組織は、少くとも当該事業所の指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量に応じ…化学消防自動車の台数の二分の一以上の台数の化学消防自動車及び化学消防自動車一台につき五人以上の人員をもつて編成しなければならない。
合算はできても、ゼロにはできません。
相互応援協定を結んだ事業所同士は、すべての配管や取扱量を合算して1つの事業所とみなし、まとめて必要な人員・台数を計算できます。
合算後の人数を協定先の事業所へ丸ごと任せられるわけではなく、各事業所は単独計算時の台数の半分以上、人員は化学消防自動車1台につき5人以上を自前で編成しなければなりません。
「協定さえ結べば自社の負担がなくなる」という理解は誤りです。
協定を検討する際は、この下限が自社にとってどれだけの人員・台数になるかを先に計算しておく必要があります。

協定を結べば、うちの負担はゼロになると思っていました。

そこが誤解されやすい点です。
最低でも半分は自前で持つ必要がありますよ。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと配管の経路図を確認する担当者の様子
ここまでの基準を、自社の事業所に当てはめて確認する手順に落とし込みます。
配管の実測値さえ分かれば、区分そのものは難しくありません。
危険物の規制に関する規則第64条第一号 指定施設である移送取扱所を有する事業所のうち移送取扱所以外の指定施設を有する事業所については、別表第五及び第六の人員数及び化学消防自動車の台数を合計した数。ただし、第六十五条第五号に規定する化学消防ポンプ自動車を置く事業所については、人員数五人及び化学消防自動車一台を減じた数とすることができる。
まずは配管の延長を実測してください。
①配管の延長が15キロメートル以下か、②50キロメートル圏内で収まるか、③圏外に及ぶ区間がいくつあるかの順に確認すると、必要な人員・台数が特定できます。
移送取扱所以外の指定施設もあわせて持つ事業所は、別表第五と別表第六を合算する点も忘れないでください(化学消防ポンプ自動車を置けば5人・1台を減らせる特例もあります)。
相互応援協定を結んでいる、または検討している場合は、下限の人員・台数もあわせて計算しておきましょう。
最後に、現在の自衛消防組織の編成が、算出した人員・台数を満たしているかを台帳と照らして確認してください。

まずは配管の延長を測って、区分から確認してみます。

その順番なら迷いません。
実測値から始めてみてください。

よくある質問

Q移送取扱所とほかの指定施設を両方持っている場合、人員はどう数えますか?
A規則第64条第一号により、別表第五(ほかの指定施設分)と別表第六(移送取扱所分)の人員・台数を合計します。化学消防ポンプ自動車を置く場合は、人員5人・化学消防自動車1台を減らせる特例もあります。
Q配管の延長はどこからどこまでを測ればよいですか?
A別表第六は危険物を移送するための配管の延長そのものを基準にしています。自社の配管が正確に何キロメートルかは、設計図面や竣工図で確認するのが確実です。
Q半径50キロメートルの円はどこを中心に描きますか?
A別表第六は移送基地を中心とした円と定めています。配管の経路がこの円の内側に収まるか、外側にはみ出すかで、加算の要否が変わります。
Q相互応援協定を結んでいない事業所は、どうやって人員を確保すればよいですか?
A協定がない場合は、自社の配管の延長だけで算出した人員・台数をそのまま自前で編成する必要があります。近隣に同種の事業所があれば、協定の締結も選択肢として検討してください。

まとめ

移送取扱所を有する事業所の自衛消防組織は、危険物の量ではなく配管の延長(距離)を基準に人員・台数が決まります
具体的な基準は危険物の規制に関する規則第64条・別表第六が定めています。
配管の延長が15キロメートル以下なら5人・化学消防自動車1台で足ります
15キロメートルを超えても、移送基地を中心とした半径50キロメートルの円に収まっていれば10人・2台です。
円の外に配管が及ぶ場合は、その区間を囲う円の数だけ5人・1台ずつ加算されます
相互応援協定を結んでも、各事業所は単独計算時の半分以上の人員・台数を自前で持つ必要があります。
まずは自社の配管の延長を実測し、地図に半径50キロメートルの円を描いて区分を確認しましょう

配管の延長を測るところから、さっそく確認してみます!

ぜひ実践してください
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第14条の4(e-Gov法令検索)
  • 危険物の規制に関する政令第38条の2(e-Gov法令検索)
  • 危険物の規制に関する規則第64条・第64条の2(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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