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食用油や潤滑油は何立方メートルから消防法令の対象になるのか|火災予防条例が定める可燃性液体類の貯蔵基準を解説

工場の倉庫でドラム缶や計量タンクを点検する作業員

厨房の廃食用油や工場の潤滑油は、ドラム缶にまとめて置いているだけの事業所も少なくありません。
ですがこうした油は消防法上「指定可燃物」という区分に入ることがあり、量が増えると保管の仕方にも基準がかかります。
容器の密封や表示、積み重ねの高さ、周囲の空地など、条例で定められた技術上の基準は具体的です。
この記事では可燃性液体類として扱われる境目と、保管の技術基準を整理します

うちは厨房の廃食用油をポリタンクに貯めていますが、これも消防法令の対象になるのでしょうか。

量によっては指定可燃物という区分に入ります。
消防法第9条の4に基づいて、市町村の火災予防条例が保管の技術基準を定めています。

潤滑油を保管しているドラム缶置き場もあるのですが、どのくらいの量から対象になるのでしょうか。

可燃性液体類は2立方メートル以上で指定可燃物になります。
この記事で保管の技術基準までまとめて確認しましょう。

この記事の結論
  • 灯油などの危険物とは別に、動植物油や高引火点の潤滑油は「可燃性液体類」という指定可燃物に区分される
  • 可燃性液体類は2立方メートル以上をためると火災予防条例の技術基準の対象になる
  • 容器は密封し、化学名・数量・「火気厳禁」の表示をしなければならない
  • 容器を積み重ねる場合は高さ4メートルを超えてはならない
  • 屋外は数量の倍数に応じた空地か防火塀を、屋内は不燃材料による区画などの基準を満たす必要がある

食用油や潤滑油はなぜ消防法令の対象になることがあるのか

厨房の廃食用油タンクと工場の潤滑油ドラム缶
灯油やガソリンのような危険物と違い、食用油や潤滑油は普段あまり消防法令と結びつけて考えられていません。
ですが一定の量を超えて保管すると、これらの油も条例の規制対象になります。
第9条の4 危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める
対象になるかどうかは量で決まります。
消防法第9条の4は、指定数量未満の危険物と並んで「指定可燃物」という区分を市町村条例に委ねています。
指定可燃物は危険物の規制に関する政令の別表第4で品名ごとに数量が決められており、可燃性液体類もこの中に含まれます。
動植物油や引火点の高い潤滑油など、危険物として規制される第4類の油とは別の枠組みで規制がかかる点に注意が必要です。
まずは自社が扱っている油がどの区分に当たるかを確認するところから始まります。

灯油は危険物だと聞いたことがありますが、食用油も同じ扱いなのでしょうか。

いいえ、扱いは別です。
灯油は消防法上の危険物ですが、食用油や高引火点の潤滑油は指定可燃物という別の区分に入ります。

どれだけ保管すると基準がかかるのか

目盛り付きの計量タンクと小さな容器を比べて数量の基準を示す図
基準がかかるかどうかは、量そのものが分かれ目になります。
危険物の規制に関する政令が数量の基準を定め、それをもとに条例が技術基準を組み立てています。
(指定可燃物)第一条の十二 法第九条の四の物品で政令で定めるものは、別表第四の品名欄に掲げる物品で、同表の数量欄に定める数量以上のものとする
境目は2立方メートルです。
危険物の規制に関する政令の別表第4は、可燃性液体類について2立方メートル以上を指定可燃物とすると定めています。
これは動植物油や、引火点が250度以上の高引火点の油などが対象で、灯油や軽油のように引火点の低い第4類の危険物とは区別されます。
複数の容器に分けて少しずつ保管していても、同一の場所で実質的に管理している量は合計して判断されるため、タンクや容器の合計量を把握しておくことが欠かせません。
まずは自社の廃食用油や潤滑油の年間の最大保管量を数えてみましょう。

うちは複数のドラム缶に分けて置いていますが、それでも合計されるのでしょうか。

同じ場所で実質的に管理していれば合計の量で判断されます。
まずは総量を数えてみてください。

容器にはどんな基準が求められるのか

密封容器と火気厳禁の警告表示
指定可燃物になると、容器そのものにも基準がかかります。
条例は収納の方法と表示の2つを求めています。
第33条 (略)可燃性液体類等の貯蔵及び取扱いは、次の各号に掲げる技術上の基準によらなければならない。一 可燃性液体類等を容器に収納し、又は詰め替える場合は、次によること。イ (略)温度変化等により可燃性液体類等が漏れないように容器を密封して収納すること。ロ イの内装容器等には、見やすい箇所に可燃性液体類等の化学名又は通称名及び数量の表示並びに「火気厳禁」その他これと同一の意味を有する他の表示をすること
容器は密封と表示の2点がポイントです。
火災予防条例(例)第33条は、可燃性液体類等を収納する容器について、温度変化などで漏れないよう密封することを求めています。
あわせて容器の見やすい箇所に化学名または通称名、数量、そして「火気厳禁」の表示を付けることも義務付けられています。
ただし化粧品の容器で最大容量300ミリリットル以下のものは、この表示義務の対象外とされています。
表示が消えかけていないか、日常の点検の中で確認しておきたいところです。

油の缶にラベルが貼っていないものがありました。
すぐ直す必要がありますか。

はい、化学名と「火気厳禁」の表示は必須です。
見つけたその場で貼り直しましょう。

積み重ねと保管場所の基準を見落としていないか

積み重ねの高さが低い許可の例と高すぎる禁止の例
容器の中身だけでなく、置き方そのものにも基準があります。
積み重ねの高さと、周囲の空地または区画がその中心です。
第33条 (略)二 可燃性液体類等(略)を収納した容器を積み重ねて貯蔵する場合には、高さ4メートルを超えて積み重ねないこと。2 (略)二 別表第8で定める数量の20倍以上の可燃性固体類等を屋内において貯蔵し、又は取り扱う場合は、壁、柱、床及び天井を不燃材料で造つた室内において行うこと
積み重ねは高さ4メートルが上限です。
条例は容器を積み重ねて貯蔵する場合、高さ4メートルを超えないことを技術基準として定めています。
屋外で保管する場合は数量の倍数に応じた空地か、防火上有効な塀を設ける必要があり、屋内では数量が基準の20倍を超えると不燃材料で囲んだ室内での保管が求められます。
倉庫の奥に古いドラム缶を積み上げたまま放置していると、この高さ制限や区画の基準に抵触していることがあります。
写真を撮って高さと周囲の状況を記録しておくと、次の点検のときに役立ちます。

倉庫の奥にドラム缶を5段くらい積んでいる場所があります。
問題になりますか。

はい、高さ4メートルを超える積み重ねは基準違反になります。
早めに段数を減らしてください。

明日からなにをすればよいのか

担当者がドラム缶の保管状況をチェックリストで確認する様子
基準の中身が分かったら、次は自社の現場を実際に確認する番です。
チェックする項目を絞ると点検がしやすくなります。
  • 厨房の廃食用油タンクや工場のドラム缶の保管量を数え、合計が2立方メートルを超えていないかを確認する
  • 容器に化学名・数量・「火気厳禁」の表示がすべて残っているかを点検する
  • 積み重ねている容器の高さが4メートルを超えていないかを測る
  • 屋外保管の周囲に必要な空地や塀があるか、屋内保管なら区画の壁・床・天井が不燃材料になっているかを確認する
点検は数量・表示・積み重ね・保管場所の4点に絞れば十分です。
どれも条例が具体的な数字で基準を示しているため、現場を見れば判定できます。
基準を超えていた場合は、量を減らすか、保管場所を区画するなどの対応が必要になります。
迷ったときは所轄の消防署か、㈱防災屋のような専門家に早めに相談することをおすすめします。
日常の点検項目にこの4点を加えておけば、指摘を受けてから慌てることもなくなります。

うちの倉庫、一度まとめて確認してみます。

はい、数量・表示・積み重ね・保管場所の4点から見てみてください。
気になる点があればいつでもご相談ください。

よくある質問

Q食用油はどんな油でも指定可燃物になりますか?
Aいいえ、対象になるのは動植物油類など、政令別表第4で定める可燃性液体類に当たるものです。灯油や軽油のような消防法上の危険物は、指定可燃物ではなく危険物としての基準が適用されます。
Q2立方メートル未満なら条例の基準は一切かかりませんか?
A可燃性液体類等として2立方メートル以上でなければ、この記事で扱った条例の技術基準は適用されません。ただし少量でも、保管の方法によっては別の安全対策を検討したほうがよい場合があります。
Q潤滑油のドラム缶を屋外に置く場合、必ず塀を作らなければなりませんか?
Aいいえ、塀に限りません。条例は数量の倍数に応じた幅の空地を確保するか、防火上有効な塀を設けるかのどちらかでよいとしています。
Q可燃性液体類とほかの指定可燃物を同じ倉庫で保管している場合はどうなりますか?
A品目ごとに数量の倍数を計算し、倍数の合計で保管上の基準が判断されます。倉庫全体でどれだけの数量倍数になっているかを一度整理しておくと安心です。

まとめ

食用油や潤滑油は動植物油や高引火点の油に限り「可燃性液体類」という指定可燃物に区分される
危険物である灯油・軽油とは別の枠組みで規制される
可燃性液体類は2立方メートル以上で指定可燃物になる
容器は密封し、化学名・数量・「火気厳禁」の表示を欠かさない
容器の積み重ねは高さ4メートルまでとされている
屋外は数量の倍数に応じた空地か塀、屋内は不燃材料の区画が必要になる
複数の油をまとめて保管する場合は数量の倍数を合計して判断する

数量・表示・積み重ね・保管場所、まずはこの4点を確認します!

ぜひ現場でチェックしてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第9条の4
  • 危険物の規制に関する政令第1条の12・別表第4
  • 火災予防条例(例)第33条(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号 消防庁長官通知)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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