危険物を貯蔵したり取り扱ったりする施設の前を通ると、白い板が2枚並んで立っているのを見かけることがあります。
一枚は施設の種類を示す「標識」、もう一枚は中身を示す「掲示板」で、実は役割がまったく違います。
危険物の規制に関する規則第十七条と第十八条が、それぞれのサイズや色、書くべき内容まで細かく定めています。
この記事では標識と掲示板の違いと、規則が求める記載事項・色分けのルールを整理します。
うちの施設にも白い板が2枚立ってるんですけど、あれ両方とも同じ意味だと思ってました。
実は別物なんです。
標識は「どんな施設か」、掲示板は「中に何がどれだけあるか」を示しています。
え、そうなんですか。
じゃあ両方ちゃんと確認しないといけませんね。
規則で書くべき内容まで決まっているので、まずは条文で確認していきましょう。
- 標識は施設の種類、掲示板は危険物の中身を示すという役割の違いがあります
- 規則第十七条が定める標識は、幅0.3メートル以上・長さ0.6メートル以上で地が白、文字が黒の板です
- 規則第十八条の掲示板には、類別・品名・貯蔵最大数量又は取扱最大数量・指定数量の倍数を書きます
- 危険物保安監督者を定める施設では、掲示板にその氏名又は職名も表示します
- 危険物の種類によって注意事項の掲示板の色が青や赤に変わる点は見落としやすいポイントです
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目次
危険物施設にはなぜ標識と掲示板の両方が必要なのか

どちらか一方だけでは足りず、両方の設置が義務です。
標識は施設がどの区分(製造所・貯蔵所・取扱所のどれか)に当たるかだけを示す板で、危険物の中身までは書きません。
掲示板は逆に、施設の区分ではなく貯蔵・取扱いしている危険物の中身を示すための板です。
入口に立つ2枚の板は、見た目こそ似ていても根拠となる条文からして別物として作られています。
どちらか一方だけ設置していれば足りる、という運用は規則違反になります。
同じような板が2枚並んでるのは、そういう理由だったんですね。
はい。
次はどの施設が対象になるかを見ていきましょう。
どの施設が標識と掲示板の対象になるのか

一つずつ確認すると、貯蔵所と取扱所の主な区分がほぼ網羅されています。
製造所(令第九条第一項第三号)をはじめ、屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所と、貯蔵所と取扱所の主要な区分がほぼ網羅されています。
一般取扱所は令第十九条第一項で製造所の基準を準用するため、同じく標識と掲示板が必要です。
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)だけは仕組みが異なり、車両の前後に「危」の反射板を掲げる別ルールが規則第十七条第二項に定められています。
自分の施設がどの区分に当たるかを許可書で確認しておくと、必要な板の種類を取り違えません。
うちは一般取扱所なんですけど、それでも対象になるんですね。
はい、対象になります。
次は掲示板に何を書くかを確認しましょう。
標識と掲示板にはそれぞれ何を書くのか

書く項目は規則第十八条に具体的に定められています。
書く項目は、危険物の類・品名、そして貯蔵最大数量又は取扱最大数量、指定数量の倍数の4点です。
危険物保安監督者を選任しなければならない施設(令第三十一条の二)では、掲示板に保安監督者の氏名又は職名も加えます。
標識・掲示板とも板の色は共通して地が白、文字が黒と決まっており、ここまでは施設ごとの違いがありません。
数量や倍数は許可申請書の記載と一致している必要があるため、変更があれば板の書き換えも忘れずに行います。
うちの掲示板、指定数量の倍数までは書いてなかったかもしれません。
許可申請書と照らし合わせて確認してみてください。
次は色分けの落とし穴を見ていきましょう。
危険物の種類で掲示板の色はどう変わるのか

危険物の種類によって、表示する文言と板の色の両方が変わります。
アルカリ金属の過酸化物や禁水性物品には「禁水」の青地に白文字の掲示板を追加します。
引火性固体を除く第二類の危険物には「火気注意」、引火性固体・自然発火性物品・第四類・第五類の危険物には「火気厳禁」の赤地に白文字を使います。
「火気注意」と「火気厳禁」はどちらも赤地に白文字で見分けが付きにくく、危険物の区分を取り違えたまま掲示すると規則違反になります。
複数の類の危険物を扱う施設では、該当する注意事項の掲示板をすべて並べて設置する必要があります。
「火気注意」と「火気厳禁」、色が同じだから見分けにくいですね。
文字のほうをよく確認してください。
危険物の区分を間違えると規則違反になります。
明日から標識と掲示板の何を確認すればよいのか

自分の施設で次の順に見ていくと、抜けを防げます。
標識と掲示板それぞれのサイズ(幅0.3メートル以上・長さ0.6メートル以上)が確保されているかを確認します。
掲示板の記載事項(類・品名・数量・指定数量の倍数、該当施設は保安監督者名)が許可内容と一致しているかを照らし合わせます。
取り扱う危険物の区分に応じた注意事項の掲示板の色が正しいかを確かめます。
給油取扱所ではこれらに加えて「給油中エンジン停止」の掲示板があるかも忘れずに見ておきます。
うちも一度、標識と掲示板を並べて確認してみます。
板1枚でも規則違反に問われることがあります。
気になる点があれば、いつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
標識と掲示板、今度ちゃんと見比べてみます!
ぜひ確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第十七条・第十八条
- 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第九条・第十条・第十一条・第十二条・第十三条・第十四条・第十六条・第十七条・第十八条・第十九条・第三十一条の二
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





