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危険物施設の予防規程にはなにを書けばよいのか|規則が定める記載事項を解説

危険物施設の予防規程に書くべき記載事項を解説する記事のアイキャッチ画像

危険物を大量に扱う製造所や貯蔵所、取扱所は、火災を防ぐための自主ルールをまとめた「予防規程」を作らなければなりません。
ただし予防規程は「作ればよい」書類ではなく、書くべき内容が総務省令であらかじめ細かく決められています。
何が抜けていると認可が下りないのか、どの項目を見落としやすいのかは、条文を読まないと分かりません。
本記事では、危険物の規制に関する規則が定める予防規程の記載事項を、条文に沿って整理します。

予防規程って、うちの施設も作らなあきませんの。

指定数量の倍数など施設の規模で、作成義務があるかどうかが決まります。

作るとなったら、何を書けばええんですか。

規則が号を分けて具体的に定めています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物施設の予防規程は、消防法第14条の2第1項に基づき、市町村長等の認可を受けなければなりません
  • 記載すべき事項は、危険物の規制に関する規則第60条の2第1項が号を分けて具体的に定めています
  • 業務管理者の職務や組織、危険物保安監督者の代行者、自衛消防組織に関することは組織の骨格を定める項目です
  • 保安教育巡視・点検・検査、地震や津波発生時の点検・応急措置に関することも記載事項に含まれます
  • 地震防災対策の推進地域にある施設は、指定から6か月以内に項目を追加しなければなりません

予防規程に書く記載事項として業務管理者と代行者保安教育と巡視点検地震発生時の対応記録と図面の整備が並ぶ図解

危険物施設の予防規程には具体的になにを書けばよいのか

大きな書類に書き込む施設管理者と背後の貯蔵タンクのイメージ
危険物を大量に扱う製造所や貯蔵所、取扱所は、火災を予防するための自主ルールを文書にまとめなければなりません。
それが予防規程で、市町村長等の認可を受けて初めて効力を持ちます。
政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の火災を予防するため、総務省令で定める事項について予防規程を定め、市町村長等の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。(消防法第14条の2第1項)
予防規程は「書く内容」まで法令で決まっている文書です
条文は「総務省令で定める事項について」予防規程を定めよ、と命じているだけで、中身そのものは消防法には書かれていません。
中身を具体的に定めているのが、危険物の規制に関する規則です。
号を追って一つずつ読んでいくと、組織の体制から地震対策まで、思いのほか広い範囲が対象になっていることが分かります。
つまり予防規程は、思いついた内容を自由に書く文書ではなく、法令が求める項目を漏れなく埋める文書だといえます。

うちの予防規程、昔のひな形をそのまま使こてます。

号の数が多いので、一度条文と照らし合わせて確認すると安心です。

どの項目が予防規程の基本として求められるのか

施設管理者と隣に立つ代行者と化学消防自動車のイメージ
規則が定める号のうち、まず組織の骨格に関わる項目から見ていきます。
誰が保安の責任を持ち、誰がその代わりを務めるのかが最初に問われます。
一 危険物の保安に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
二 危険物保安監督者が、旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合にその職務を代行する者に関すること。
三 化学消防自動車の設置その他自衛の消防組織に関すること。(危険物の規制に関する規則第60条の2第1項第1号〜第3号)
予防規程は、まず「誰が責任を持つか」を書く文書です
第1号は、危険物保安監督者をはじめとする保安業務の管理者の職務と組織を定めることを求めています。
見落としやすいのが第2号で、監督者本人が旅行や病気で不在のときに代わりを務める人まで、あらかじめ規程に書いておかなければなりません。
第3号は、指定数量の倍数が大きい事業所に義務づけられる自衛消防組織や化学消防自動車についての定めです。
組織の骨格があいまいなままでは、後の項目をいくら細かく書いても実効性を持ちません。

代行者まで規程に書くとは知りませんでした。

監督者が不在の間の責任の空白を防ぐための決まりです。

保安教育や巡視点検はどこまで具体的に書くのか

教育ボードのそばに立つ指導者とタンクを見回る作業員のイメージ
組織の次に求められるのが、日々の業務に直結する項目です。
教育と点検、そして地震への備えがここに含まれます。
四 危険物の保安に係る作業に従事する者に対する保安教育に関すること。
五 危険物の保安のための巡視、点検及び検査に関すること(略)。
十一の二 地震が発生した場合及び地震に伴う津波が発生し、又は発生するおそれがある場合における施設及び設備に対する点検、応急措置等に関すること。(危険物の規制に関する規則第60条の2第1項第4号・第5号・第11号の2)
保安教育と点検は、頻度や担当まで規程に落とし込む項目です
第4号の保安教育は、作業に従事する人全員が対象で、実施内容だけでなく実施の頻度まで規程に書き込む運用が一般的です。
第5号の巡視・点検・検査は、日常的な確認作業の方法を定める項目で、法定点検とは別に自主的な点検体制を持つことを求めています。
第11号の2は地震そのものと、地震に伴う津波の両方を対象にしており、ふだんの点検項目と混同されがちです。
教育と点検を紙の上だけの記載にせず、実際の訓練記録と結び付けておくことが実務では重要です。

地震のときの点検は、ふだんの点検と分けて書くんですか。

はい、第11号の2は地震と津波専用の項目として分けて定められています。

地震防災対策の推進地域にある施設はなにを書き足す必要があるのか

貯蔵タンクと波の形をした津波警戒のマークと避難の矢印のイメージ
基本の項目とは別に、施設の所在地によって書き足す義務が発生することがあります。
見落とすと、予防規程そのものが要件を満たさなくなります。
南海トラフ地震防災対策推進地域として指定された地域に所在する製造所等の(略)予防規程に係る総務省令で定める事項は、前項各号に掲げる事項のほか、次のとおりとする。 一 南海トラフ地震に伴い発生する津波からの円滑な避難の確保に関すること。 二 南海トラフ地震に係る防災訓練に関すること。 三 南海トラフ地震による被害の発生の防止又は軽減を図るために必要な教育及び広報に関すること。(略)指定の際現に当該地域に所在する製造所等の所有者、管理者又は占有者は、当該指定があつた日から六月以内に、当該製造所等に係る予防規程に、前項各号に掲げる事項を定めるものとする。(危険物の規制に関する規則第60条の2第4項・第5項)
推進地域に指定されている施設は、基本の項目に加えて追加の項目を書かなければなりません
上乗せされるのは、津波からの避難確保、防災訓練、教育・広報の3点で、いずれも基本の項目には含まれていません。
同様の上乗せは、地震防災対策強化地域や日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の推進地域でも定められています。
特に見落としやすいのが、指定があった日から6か月以内という期限で、既存の予防規程を持つ施設でも自動的には反映されません。
自分の施設の所在地が対象地域に含まれているかどうかは、指定の有無を市町村や都道府県の公表情報で確認する必要があります。

うちは何年も前に予防規程を作ったきりです。

地域指定が後から加わっていないか、6か月の期限と合わせて確認しておきましょう。

明日からなにを確認すればよいか

書庫の前に立つ管理者と丸めた図面のイメージ
基本の項目と地域ごとの上乗せ項目は、いずれも書いて終わりではありません。
規程の実効性を保つための項目も、条文にはっきり定められています。
十二 危険物の保安に関する記録に関すること。
十三 製造所等の位置、構造及び設備を明示した書類及び図面の整備に関すること。
十四 前各号に掲げるもののほか、危険物の保安に関し必要な事項(危険物の規制に関する規則第60条の2第1項第12号〜第14号)
予防規程は、認可を受けた後も記録と図面を更新し続ける文書です
第12号は点検や教育の実施記録を残すことを求め、第13号は施設の位置・構造・設備を示す書類と図面を常に整備しておくことを求めています。
第14号は前各号に当てはまらない事項も含む受け皿の規定で、規程の中身は施設の実態に合わせて増減しうるものです。
明日からは、まず自施設の予防規程を開き、これまで見てきた各号に対応する記載があるかを一つずつ突き合わせてみましょう。
記載があっても実態と食い違っていれば、消防法第14条の2第3項に基づき変更を命じられることもあります。

うちも一度、規程と実態を見比べてみます。

条文の号を知っておくだけでも、見直しの精度は上がります。

よくある質問

Q危険物保安監督者が不在のときは、誰が予防規程上の職務を代行しますか?
A規則第60条の2第1項第2号により、あらかじめ予防規程に定めた代行者が職務を代行します。
Q予防規程の記載事項は、すべての危険物施設で共通ですか?
A基本の項目は共通ですが、地震防災対策の推進地域にある施設は、津波避難や防災訓練などの項目が追加で必要になります。
Q予防規程に書いた内容と実態が食い違っていたらどうなりますか?
A消防法第14条の2第3項により、市町村長等から予防規程の変更を命じられることがあります。
Q推進地域に指定される前から予防規程を持っている施設はどうすればよいですか?
A指定があった日から6か月以内に、追加の項目を予防規程に定める必要があります。

まとめ

危険物施設の予防規程は、消防法第14条の2第1項に基づき、市町村長等の認可を受けなければなりません
記載事項は、危険物の規制に関する規則第60条の2第1項が号を分けて具体的に定めています
業務管理者の職務・代行者・自衛消防組織に関することは、組織の骨格を定める基本の項目です
保安教育、巡視・点検・検査、地震や津波発生時の点検・応急措置も記載事項に含まれます
地震防災対策の推進地域にある施設は、指定から6か月以内に避難確保や防災訓練などの項目を追加しなければなりません
保安に関する記録と、施設の位置・構造・設備を示す書類及び図面の整備も記載事項の一つです
明日からは、自施設の予防規程を条文の各号と一つずつ突き合わせ、実態と食い違いがないかを確認します

うちの予防規程、各号と一つずつ見直してみます!

記録と図面の整備まで含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第14条の2
  • 危険物の規制に関する規則第60条の2

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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