危険物を扱う製造所や貯蔵所の多くには、危険物保安監督者を選任する義務があります。
この選任義務は消防法第13条第1項が定めるもので、選任後の届出とは別の話です。
選任しないまま施設を稼働させ続けると、実は届出漏れよりも重い罰則の対象になることがあります。
この記事では消防法第42条が定める危険物保安監督者の未選任に対する罰則を解説します。
うちの危険物施設、危険物保安監督者を選任していないんです。
これって罰則の対象になるんですか。
はい、危険物保安監督者を定めないまま事業を行うこと自体が罰則の対象です。
消防法第42条という規定がその根拠になっています。
選任の届出を忘れているだけの話とは違うんですか。
てっきり同じような話かと思っていました。
選任そのものを怠ることと、選任後の届出漏れは別の話です。
順番に確認していきましょう。
- 危険物保安監督者を定めないまま施設を操業すること自体が罰則の対象です
- 選任義務の対象は政令で除外された小規模施設を除くほぼすべての製造所等です
- 違反すると消防法第42条により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます
- 選任後の届出漏れより未選任そのもののほうが罰則は重く設計されています
- まずは自施設の選任状況と届出の有無を確認することが重要です
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目次
危険物保安監督者を選任しないまま製造所等を操業するとどうなるのか

この選任義務そのものを果たさないまま施設を稼働させると、どうなるのでしょうか。
対象になるのは甲種又は乙種の危険物取扱者で、しかも6月以上の実務経験が求められます。
選任された危険物保安監督者は、取り扱う危険物の作業について保安の監督を行う役割を担います。
つまり誰でもよいわけではなく、資格と経験の両方を満たす人を充てる必要があるということです。
まずは自施設で危険物保安監督者が正式に選任されているかどうかを確認しておきましょう。
うちは乙種危険物取扱者の資格を持つ人がいますが、実務経験はまだ3ヶ月です。
この場合はどうなりますか。
実務経験が6月に満たない場合は要件を満たしません。
次は対象になる施設の範囲を確認しましょう。
どんな施設に選任義務があるのか

むしろ原則としてすべての製造所等が対象で、例外だけが列挙される仕組みです。
除外されるのは指定数量の倍数が30以下で、かつ引火点が40度以上の危険物だけを扱うような、比較的リスクの低い貯蔵所・取扱所などに限られます。
政令第31条の2は号一から号六までの例外を列挙していますが、いずれも小規模・低リスクな施設に限定された内容です。
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)のように、そもそも常駐管理になじまない施設も例外に含まれています。
自施設がこの例外に該当するかどうかは、施設の種類と危険物の性質の両方を確認する必要があります。
うちは指定数量の倍数が20くらいの屋内貯蔵所です。
それなら対象外ということですか。
扱う危険物の引火点が40度以上という条件も同時に満たす必要があります。
次は選任しなかった場合の罰則を確認しましょう。
選任しないまま操業するとどんな罰則が科されるのか

消防法は選任義務そのものの違反に、直接の刑事罰を用意しています。
科されるのは6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金で、命令を経ずに直接処罰される構造です。
消防法第42条第2項では、情状により拘禁刑と罰金を併科できるとも定められています。
危険物保安監督者は現場の保安の要であり、その不在自体が重大なリスクとみなされていることがうかがえます。
次は、これと似ているようで違う「届出漏れ」の罰則と比べてみます。
知らずに選任していなかっただけでも、対象になるんですか。
ちょっと不安になってきました。
はい、知らなかったでは済まされません。
次は届出漏れとの違いを整理しましょう。
選任後の届出漏れと未選任そのものでは罰則の重さが違うのか

この届出を怠った場合の罰則は、実は未選任そのものの罰則とは別の条文に定められています。
届出漏れ(第44条第8号)は30万円以下の罰金又は拘留にとどまりますが、未選任そのもの(第42条第6号)は6月以下の拘禁刑まで科され得ます。
つまり「選任だけはしていたが届出を忘れていた」場合よりも、「そもそも選任していなかった」場合のほうが重く扱われる設計です。
第44条第8号は危険物保安監督者以外にも多数の届出義務をまとめて罰する号で、対象が幅広い点にも注意が必要です。
届出の有無だけでなく、選任そのものが実質的に成立しているかをあわせて確認しておく必要があります。
届出さえ出していれば大丈夫だと思っていました。
そもそも選任できているかを見直します。
そのとおりです。
最後に確認の手順をお伝えします。
危険物保安監督者の選任をどう確認すればよいか

選任・資格・届出の3点を順番に見ていきましょう。 選任・資格・届出の3点を順番に確認しましょう。
まず自施設が危険物の規制に関する政令第31条の2の除外規定に該当するかどうかを確認し、該当しなければ危険物保安監督者の選任が必須です。
次に選任している人が甲種又は乙種の危険物取扱者で、6月以上の実務経験を満たしているかを確認します。
選任・解任をしたときは消防法第13条第2項に基づき、消防長又は消防署長への届出を忘れずに行います。
担当者の異動や退職のタイミングは、選任・解任どちらの届出も抜けやすいので特に注意が必要です。
不明な点があれば、選任状況を含めて所轄の消防署(危険物担当)に確認するのが確実です。
未選任のまま操業を続けることは届出漏れよりも重い罰則につながりかねないため、疑わしい場合はすぐに手続きを進めましょう。
日頃から選任・資格・届出の記録を整理しておけば、いざというときにも迷わず対応できます。
なるほど、まずは選任状況を確認してみます。
資格の実務経験もあわせてチェックしますね。
それが確実です。
危険物保安監督者は施設の安全の要になります。
よくある質問
まとめ
未選任と届出漏れの違い、よくわかりました。
まず選任状況から確認してみます。
ぜひ確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第13条、第42条、第44条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第31条の2 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





