消火用屋外給水施設は、消火栓だけでは成り立ちません。
水を運ぶ配管が凍ったり、行き止まりで水量が足りなかったりすれば、現場で取水できません。
そこで配管の組み方について、いくつもの照会が出されました。
判断の軸は一貫していて取水できる状態を保てるかどうかです。
敷地が細長く、環状の配管にできない部分があります。
認められるでしょうか。
敷地の一部が非常に狭小となつている場合などで、手前の消火栓から取水しても奥の消火栓で十分な取水ができる場合等が挙げられています。
凍結の深さより深く埋めれば、地下配管にしてよいのでしょうか。
直接埋設することは認められないとされています。
凍結防止の方法としては保温材や常時循環や加熱や乾式配管等が挙げられています。
- 環状配管としないことができるのは、敷地の一部が非常に狭小となっている場合などで、手前の消火栓から取水しても奥の消火栓で十分な取水ができる場合等です
- 乾式配管の充水に必要な時間は、おおむね自衛防災組織の大型化学消防車等が現場に部署するまでの時間を目途とします
- 送水区域の規定は湿式配管と乾式配管の両方に適用されます
- 凍結防止措置には保温材によるもの、管内水を常時循環させておくもの、スチーム等により加熱するもの、乾式配管とするもの等があります
- 地盤の凍結深度の関係から地下配管とすることについて、直接埋設することは認められません
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目次
環状配管にしなくてよい場合

消火用屋外給水施設の配管は、環状にするのが原則です。1か所で断水しても反対側から水が回るからです。
しかし敷地の形によっては、環状にできない部分が出ます。
2つの要素が示されています。
1つは形の事情です。敷地の一部が非常に狭小となっている場合。環状にするだけの幅がないという物理的な理由です。
もう1つが実質の条件です。行き止まりの配管に消火栓が連続していて、手前のアから大型化学消防車が取水しても、奥のイでも十分な取水ができること。
つまり同時に2台使えるかどうかが判断の中身です。1台つないだだけで奥の水圧が落ちるなら、行き止まりのままでは認められません。
設計の段階では、末端の消火栓で同時取水したときの圧力を計算しておく必要があります。図面の形だけでは通りません。
奥でも取水できるかどうかで決まるのですね。
形の事情と機能の両方を見ます。
末端での取水の状況を、試験で確かめてください。
乾式配管の充水時間はどう考えるか

使うときに水を送り込むので、充水の時間がかかります。どのくらいまでなら許されるのか。
あわせて、送水区域750メートルという規定が乾式にも当たるのかが問われました。
充水時間の基準が、時計ではなく現場の動きで示されました。大型化学消防車等が現場に部署するまでの時間。
理屈は分かりやすいです。車が着いてホースをつなぐ頃に水が来ていればよい。それより早くても意味は薄く、遅ければ待たせることになります。
この目途は事業所ごとに違います。構内が広ければ車の到着に時間がかかるので、充水時間にも余裕が出ます。自分の構内で実測するしかありません。
後段は明快です。送水区域の規定は湿式でも乾式でも同じように当たります。乾式にしたからといって区域を広げられるわけではありません。
充水の時間は、現場の動きで見るのですね。
車が着くまでに満たします。
実際の時間を、訓練で測ってみてください。
凍結防止にはどんな方法があるか

具体的にどのような方法が考えられるのか。
並べ方に順序があります。
保温材は熱を逃がさない方法。常時循環は動かし続ける方法。スチーム等による加熱は熱を足す方法。そして乾式配管は、水を入れておかないという発想の転換です。
前の3つは水を入れたまま凍らせない工夫で、最後の1つだけ考え方が違います。等という語が付いているので、この4つに限られるわけでもありません。
実務では組み合わせることになります。屋外の露出部は保温材、機械室に近い部分は循環、末端は乾式。1つの方法で構内全部を賄う必要はありません。
凍結を防ぐ方法にも、いくつかの型があるのですね。
4つが示されています。
地域の条件に合う方法を選んでください。
地下に直接埋めてよいか

水道管では普通に行われています。消火用の配管でも同じにできるか。
短く切られています。ただし否定されているのは直接埋設という工法であって、地下に通すこと自体ではありません。
直接埋設が避けられる理由は、点検と補修ができなくなるからだと読めます。地中に埋めた管は、漏れても分かりません。掘り返さなければ直せません。
石油コンビナート等の構内では、地盤が動くこともあります。見えない配管は状態を保てません。
前の記事で見た共用堤の水抜口や、消火栓の管と本体の接続の話と同じ考え方です。確かめられる状態にしておくこと自体が、基準の一部になっています。
なお、凍結対策としては前の項目の4つの方法が示されています。埋めるという選択肢を外しても、手は残っています。
じかに埋めるのは認められないのですね。
工法として否定されています。
埋設の方法を、設計者に確認してください。
加圧ポンプを省略できるか

落差だけで十分な流量と圧力が得られるなら、加圧ポンプは要らないのではないか。
あわせて、貯水用の屋外タンクを設置して使う場合はどうかが問われました。
省略が認められました。ただし判定の条件が置き換えられています。
問いは十分な流量と圧力が得られる場合と書いていました。回答は減水した場合であっても、と足しています。
満水のときに足りるのは当たり前です。消火に使えば水位は下がり、落差も減ります。いちばん条件の悪い状態で足りるかどうかが問われます。
屋外タンクを設ける場合も同じです。タンクの底に近い水位でも必要な圧力が出るかを確かめます。
この考え方は、消火設備の水源を計算するときの発想と同じです。使い切る直前の状態で成り立つ設計にしておく必要があります。
ポンプを省ける場合もあるのですね。
条件の悪い状態で判定します。
水源の水位が下がったときの数値を、確かめてください。
よくある質問
まとめ
- 環状配管としない場合は手前で取水しても奥で十分な取水ができることが条件です
- 乾式配管の充水時間は大型化学消防車等が現場に部署するまでが目途です
- 送水区域の規定は湿式にも乾式にも適用されます
- 凍結防止は保温材、常時循環、スチーム等による加熱、乾式配管等が挙げられました
- 凍結深度を理由とした直接埋設は認められません
- 高所の水源でも減水した場合であつても足りるなら加圧ポンプを省略できます
- いずれも図面の形ではなく、実際に取水できるかで判断されています
いちばん条件の悪い状態で足りるか、という見方なのですね。
すっきりしました。
末端で同時取水したときの数字を持っておくと、相談が早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令の運用に係る資料の送付について(昭和53年3月9日 消防地第42号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針について(昭和52年10月6日付け 消防地第204号 消防庁地域防災課長通達)
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和50年代のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




