救助袋は建物の開口部から地上まで布の筒を張り出して、その中をすべり降りる避難器具です。
斜めに張り出す斜降式のものは、袋の下端を地面に置くのではなく、地面へ埋めた金具に引っかけて止めます。
この金具を告示は固定具と呼び、箱とふたの造りから埋める場所まで細かく決めています。
この記事では下部支持装置を受ける地面側の基準を、告示の条文だけを見て順に確かめます。
うちの建物には救助袋が付いています。
地面のほうはなにも触らなくてよいのでしょうか。
斜めに張り出す型なら地面の側にも決まりがあります。
袋の下端を掛ける金具が地面に埋めてあるはずです。
そういえば駐車場の隅に鉄のふたが埋まっています。
あれがその金具なのでしょうか。
ふたを開けると中に環か横棒が入っています。
押さえどころは固定環と箱の造りとふたの表示と埋める位置の四つです。
- 斜降式の救助袋は、袋の下端に付いた下部支持装置を地面側の金具に結合してはじめて展張した形になります
- その地面側の金具を告示は固定具と呼び、斜降式の救助袋にだけ求めています
- 固定具は、ふたを設けた箱の内部に容易に下部支持装置を引っかけられる環又は横棒を設けたものであることとされています
- ふたは容易に開放できる構造で、紛失防止のため箱とチェーン等で接続され、表面に救助袋の設置階数が消えない方法で表示されます
- 埋める場所は展張したとき降着面等とおおむね35度になる位置で、土砂等により埋没するおそれのない場所に限られます
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目次
斜降式の救助袋は地面のどこにつながれているのか

地面のどこかへ結び付けて、はじめて人が降りられる形になります。
袋の下端には下部支持装置という部分があり、これを受ける固定環が対になって用意されています。
告示の第二の四号は、避難器具の設置階から地盤面その他の降着面までを降下空間と呼び、この降着面等を降りる先として扱っています。
袋の下部出口部と降着面等からの高さが0.5メートル以下と決められているのも、降りきった人がそのまま足を着けるようにするためです。
自分の建物の救助袋を見るときは、窓の側だけでなく着地する側の地面までを一組として見てください。
袋の先が地面に届いていれば十分だと思っていました。
下端を止める決まりがあるとは知りませんでした。
届くだけでは足りません。
下端を止める相手まで含めて一組の避難器具だと考えてください。
どの救助袋に地面側の固定具が要るのか

地面側の金具が要るのは、このうち一方だけです。
告示が固定具という言葉を定めているのは第八の七号で、その書き出しから斜降式の救助袋に限っています。
垂直式の救助袋は壁沿いにまっすぐ垂れるので、下端を斜め方向へ引く力が働かず、地面へ埋める器具の規定も置かれていません。
垂直式に決められているのは、降下空間を器具の中心から半径1メートル以上の円柱形とすることや、下部出口部と降着面等との間隔を0.5メートル以下にすることです。
まず図面か銘板で自分の建物の救助袋が斜降式か垂直式かを確かめると、見るべき場所が決まります。
うちのものは窓から斜めに出る型でした。
それなら地面の金具も見る必要がありますね。
そのとおりです。
着地する位置のあたりに鉄のふたが埋まっていないか探してみてください。
固定具の箱と固定環にはなにが求められるのか

箱とふたと中の金具のそれぞれに条件が付いています。
固定環等は環でも横棒でもよく、いずれも直径16ミリメートル以上で、日本工業規格のステンレス鋼棒などの材料に限られます。
ふた及び箱は車両等の通行に伴う積載荷重に十分耐えられる強度が求められ、日本工業規格のねずみ鋳鉄品などが挙げられています。
ふたの表面には救助袋の設置階数が表示されるので、固定具がいくつもある建物でもどの階の袋のものかが分かります。
点検のときは、ふたが開くか、中に水がたまっていないか、砂で環が埋まっていないかの三つを見れば足ります。
ふたにチェーンが付いている理由が分かりました。
外して置き忘れないようにするためですね。
紛失防止のためと告示に書かれています。
点検のあとは必ずふたを戻して閉めておいてください。
埋める場所で見落としやすいのはどこか

告示は埋める場所の条件まで別に書いています。
角度は袋を緩みなく張ったときに降着面等とおおむね35度になる位置で、ここがずれると袋に片たるみが生じます。
避難空地は展張した袋本体の下端から前方2.5メートル、救助袋の中心線から左右それぞれ1メートル以上の幅で、固定具はその中に入っていなければなりません。
土砂等により埋没するおそれのない場所という条件は、あとから植栽や花壇を作った建物でいちばん破られます。
通行の支障とならないようにという条件もあるので、来客用の駐車枠を引き直すときは固定具の位置を図面で確かめてください。
去年の外構工事で花壇を増やしました。
場所を確かめたほうがよさそうです。
図面と現地を突き合わせてください。
埋もれていたら掘り起こしや移設の相談になります。
明日からなにを確かめればよいのか

ふたを一度開けるだけで多くのことが分かります。
取付部の開口部は、入口金具を操作できる大きさであることに加えて、袋がきちんと張れたかを近くの開口部から確認できることまで求められています。
上の階で袋を下ろす人と、下で下部支持装置を固定環に掛ける人の呼吸が合わないと展張が終わらないためです。
訓練のときは、ふたを開けて固定環等に下部支持装置を掛けるところまでを一度通してみてください。
掛からない、ふたが開かない、砂で埋まっているといった不具合は、この一手間でしか見つかりません。
訓練では袋を下ろすところまでしかやっていませんでした。
今度は地面の側も組み込んでみます。
そこまでやると展張にかかる時間が実測できます。
結果を消防計画の訓練記録に残しておいてください。
よくある質問
まとめ
駐車場の隅のふたを明日いちばんに開けてみます。
固定具という名前を今日おぼえました。
地面の側まで見ている建物はまだ多くありません。
救助袋の展張や固定具のことなら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第25条(避難器具に関する基準)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第27条(避難器具に関する基準の細目)
- 避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年4月16日消防庁告示第2号・最終改正 平成18年5月19日消防庁告示第16号)第二・第三・第八・別表第二
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





