感知器の配線というと、細い電線を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし非常電源回路の幹線には、もっと太いケーブルやバスダクトが使われることもあります。
実は電線の太さや構造によって、受けなければならない耐火試験の種類が変わります。
この記事では大型加熱炉耐火試験と燃焼性試験の基準を条文に沿って解説します。
うちの非常電源回路には太い幹線ケーブルを使っています。
細いケーブルと同じ試験で大丈夫なのでしょうか。
いいえ太さや構造によって試験の種類が変わります。
今日は大型加熱炉耐火試験を中心に見ていきましょう。
バスダクトのような太い導体も対象になるのですか。
はいバスダクトも大型加熱炉耐火試験の対象です。
まずは試験の分かれ目から確認しましょう。
- 耐火電線の耐火性能は消防法施行規則第12条第1項第4号ホの規定に基づく耐火電線の基準(平成9年消防庁告示第10号)第四から第九に定められています。
- 単心で導体公称断面積が1,000平方ミリメートルを超えるケーブルと、多心で325平方ミリメートルを超えるケーブル、そしてバスダクトは大型加熱炉耐火試験の対象です。
- 試験体は長さ3.5メートルのケーブルをケーブルラックに固定線で二重巻きにして取り付け、840度プラスマイナス84度の温度を30分間以上加熱します。
- 絶縁耐力の基準は小型加熱炉耐火試験と同じですが、絶縁抵抗の合格基準値は大型加熱炉耐火試験のほうが低く設定されています。
- 単心の太いケーブルは大型加熱炉耐火試験に加えて燃焼性試験にも合格する必要があります。
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目次
太いケーブルはなぜ小型でなく大型加熱炉耐火試験を受けるのか

まずは試験の種類が分かれる境目がどこにあるのかを確認します。
単心のケーブルは、平形以外で断面積が1,000平方ミリメートル以下なら小型加熱炉耐火試験で足ります。
多心のケーブルは、断面積が325平方ミリメートル以下までが小型加熱炉耐火試験の範囲です。
この基準を超える太いケーブルと、構造を問わずバスダクトはすべて大型加熱炉耐火試験の対象になります。
幹線用の太いケーブルを選ぶときは、まずこの断面積の境目を確認しておくと試験区分を見誤りません。
うちの非常電源回路には太い幹線ケーブルを使っています。
これは小型加熱炉耐火試験の範囲を超えているのでしょうか。
それは実際の導体公称断面積を確認しないと分かりません。
次は大型加熱炉耐火試験の試験体がどう作られるかを見ていきましょう。
大型加熱炉耐火試験の試験体はどう作られているのか

取り付け方や加熱条件にも、それぞれ細かい定めがあります。
ケーブルの場合、長さ3.5メートルの試験体をケーブルラックに固定線で二重巻きにして取り付けます。
金属管配線などに使う電線は、管に通線した試験体二を別に用意することもあります。
バスダクトは2つを中央で接続し、両端を断熱材でしゃへいした状態で試験します。
加熱炉は840度前後の温度を30分以上保てる能力が求められ、標準的な昇温曲線に沿って加熱されます。
小型加熱炉耐火試験と比べて、試験体はどれくらい長くなるのでしょうか。
小型が1.3メートル、大型は3.5メートルです。
次は合格の基準となる数値を見ていきましょう。
判定基準の絶縁抵抗と絶縁耐力はどう定められているのか

絶縁抵抗と絶縁耐力という2つの試験で確かめます。
低圧のケーブル・バスダクトは、加熱終了直前で0.1メガオーム以上あれば合格です。
小型加熱炉耐火試験の低圧の基準は0.4メガオーム以上なので、大型のほうが緩やかな数値になっています。
一方で絶縁耐力(交流電圧に耐える試験)の電圧と時間は、小型・大型のどちらも同じ基準です。
数値だけを見て基準が緩いと早合点せず、絶縁耐力の基準は変わらない点もあわせて確認してください。
大型加熱炉耐火試験のほうが基準が緩いということですか。
絶縁抵抗の値だけを見るとそう見えます。
次は見落としやすい燃焼性試験の話です。
太い単心ケーブルだけなぜ燃焼性試験も追加されるのか

電線の構造によっては、もう一つの試験が上乗せされます。
多心のケーブルやバスダクトは、大型加熱炉耐火試験だけで足ります。
単心で断面積が大きいもの、あるいは平形のケーブルだけに燃焼性試験が上乗せされます。
判定は、燃焼を終えた部分の長さが試験体中央から500ミリメートル未満であることです。
幹線の心線構成を確認せずに大型加熱炉耐火試験の証明書だけで済ませると、この見落としが起きます。
うちの幹線は太い単心ケーブルです。
大型加熱炉耐火試験の証明書だけで足りますか。
いいえ単心の太いケーブルは燃焼性試験の証明もあわせて必要です。
最後に現場での確認手順を見ていきましょう。
現場では大型加熱炉耐火試験の対応品をどう確認すればよいのか

現場でチェックすべきポイントを整理します。
表示には製造者名・製造年のほか、耐火電線である旨が記載されています。
断面積が大きい単心ケーブルであれば、燃焼性試験の合格実績もメーカーの試験成績書で確認します。
高難燃ノンハロゲン耐火ケーブルを使う場合は、表示にNHの文字があるかも見ておきます。
新設・更新工事で幹線を選定する際は、断面積の基準値と表示の3点をセットで確認しておくと手戻りがありません。
表示さえ見れば、断面積の基準まで踏み込まなくても大丈夫でしょうか。
いいえ表示と断面積の両方を確認してください。
ここまでの内容をまとめます。
よくある質問
まとめ
断面積と構造で試験区分が変わるんですね。
幹線を選ぶときは表示と試験成績書を必ず確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号ホ
- 耐火電線の基準(平成9年消防庁告示第10号)第四・第六・第七・第九
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





