見積書に並んだ点検票の数を見て、多いと感じたことはありませんか。
消火器や自動火災報知設備だけでなく、非常電源や配線、総合操作盤にもそれぞれ点検票が要ります。
このルールのもとになっているのが、消防庁が定めた「点検要領」という通達です。
点検票の作り方から報告の頻度まで、この通達ひとつで決まっています。
点検業者から届いた見積りに、聞いたことのない点検票がいくつも並んでいました。
これ全部、うちの建物に必要なんでしょうか。
消防用設備等の点検要領という通達が、設備ごとに点検票を分けるよう定めています。
まずはどの設備が対象になっているかを一緒に確認しましょう。
非常電源とか配線とか、目に見えない部分まで点検票があるんですね。
そこが見落としやすいところです。
5つの視点で順番に見ていきましょう。
- 消防用設備等の点検要領は平成14年に2つの告示の統合にあわせて全部改正され、今も改正が続いている現役の通達です
- 非常電源や配線、総合操作盤も消火設備とは別に点検票が必要になります
- 点検票は棟を単位に作成し、不良個所は階と場所まで明確にすることが求められます
- 内蔵型の非常電源は非常電源点検票を省略でき、外付け型は電気主任技術者と連携するのが望ましいとされています
- 報告の頻度は防火対象物の区分によって1年に1回または3年に1回と分かれ、機器点検と総合点検の両方の点検票を添える必要があります
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目次
消防用設備等の点検要領はなぜ全部改正されたのか

もとは告示の別紙だったこの資料が、なぜひとつの通達にまとめ直されたのか。
もともとは、点検の期間や方法を決める告示と、点検票の様式を決める告示が別々にあり、点検要領はそのさらに付録という位置づけでした。
平成14年の改正で、この2つの告示の中身が一部改正され、点検の種類の統合にあわせて点検要領も全部改正されました。
この通達は令和5年1月まで数十回改正されており、今も点検票のもとになっている現役の文書です。
古い通達だからと読み飛ばさず、今使っている点検票がどこから来ているのかを知っておくと、業者とのやり取りで話が早くなります。
古い通達なら、もう使っていないんじゃないですか。
実はこの通達、令和5年まで改正が続いている現役の文書です。
今の点検票のもとになっています。
点検要領はどの設備を対象にしているのか

自分の建物にどの点検票が必要になるかは、この項目の並びを見ればわかります。
消火器具や自動火災報知設備のような目に見える設備だけでなく、それらを裏で支える非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備、そして配線にも、それぞれ独立した点検要領があります。
総合操作盤(第27)も同じ扱いで、盤そのものと、それにつながる各設備の点検は別の項目として並んでいます。
つまり1つの建物で、設置している設備の数だけ点検票の種類が増える仕組みです。
見積書に並ぶ点検票の枚数が多いと感じたら、まずこの一覧のどこに対応しているのかを業者に確認してみてください。
総合操作盤にも専用の点検票があるって、初めて知りました。
はい、設置している設備の数だけ点検票が増える仕組みです。
見積書と一覧を照らし合わせてみてください。
点検要領は点検票の作成にどんなルールを求めているのか

建物ごとにばらつきが出ないよう、細かく決められています。
複数の棟がある敷地でまとめて1枚の点検票を作ってしまうと、あとでどの棟のどの設備が不良だったのか追えなくなります。
不良個所を書くときも、何階のどこかまで具体的に書くよう求められており、記入欄に収まらない場合は備考欄や別紙を使うこととされています。
点検結果の報告は、消防庁告示第3号の様式にあたる点検結果報告書に、設備の種類ごとの点検票(消防庁告示第14号の様式)を添付する形で行います。
自分の建物の点検票を見返すとき、不良個所の欄が空欄のまま「良」とだけ書かれていないか、階数まで書いてあるかを確認しておくと安心です。
うちの点検票、不良個所が「有」としか書かれていませんでした。
それでは対応できません。
何階のどこかまで書いてもらうよう、点検業者に依頼してください。
実務で見落としやすいのはどこか

とくに非常電源まわりは、見落としやすいポイントが集中しています。
自動火災報知設備の受信機などに内蔵型の非常電源が入っている場合、非常電源点検票を別途添付しなくても差し支えないとされています。
一方で非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備は電気的に危険性が高いため、点検の際は電気主任技術者の協力を得ることが望ましいとされ、電気事業法の保安規程に基づく6か月ごとの点検とあわせて行うことも案内されています。
さらに近年の改正で、長期間使用している屋内消火栓設備等のホースの耐圧試験や連結送水管の配管の耐圧試験が点検の基準に加わっています。
見積書にこの耐圧試験の項目が入っているか、電気主任技術者の関与があるかは、契約前に確認しておきたいところです。
非常電源の点検票が付いてこない設備があるんですが、大丈夫でしょうか。
内蔵型の非常電源なら、点検票を省略してよいことになっています。
心配なら点検業者に確認してみてください。
点検報告書はいつまでに何を添えて出せばよいのか

建物の用途によって、報告の頻度が変わります。
一 令別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項及び(16の3)項に掲げる防火対象物 1年に1回
二 令別表第一(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項及び(18)項までに掲げる防火対象物 3年に1回
劇場や飲食店、物品販売店舗のように不特定多数の人が使う建物は1年に1回、共同住宅や工場のように特定の人が使う建物は3年に1回が原則です。
報告書には、直近に行った機器点検と総合点検の両方の点検票をあわせて添付する必要があり、片方だけでは報告書として整いません。
点検の記録は維持台帳にまとめて保存する義務もあるので、点検票をその場限りで受け取って終わりにせず、台帳にとじておくことが求められます。
自分の建物がどちらの区分にあたるか分からない場合は、消防計画や過去の報告書の控えを確認するか、所轄消防署に聞いておくと確実です。
うちの建物は結局、何年に1回報告すればいいんでしょうか。
建物の用途で変わります。
消防計画か過去の報告書の控えを見れば、区分が書いてあるはずです。
よくある質問
まとめ
点検票の意味が、ようやくつながりました!
点検要領の一覧と報告の頻度、この2つを押さえれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号、令和5年1月消防予第42号まで累次改正)
- 消防用設備等の点検に係る運用について(令和2年12月消防予第412号改正)
- 消防法第17条の3の3
- 消防法施行規則第31条の6第1項・第3項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





