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加圧ポンプを他の用途と兼用できるか|呼水装置の可否と起動装置の数

加圧ポンプを他の用途と兼用できるかを解説するアイキャッチ画像

消火用屋外給水施設の心臓部は加圧ポンプです。
ここが動かなければ、配管も消火栓も意味を持ちません。
そのため、ポンプの種類、呼水の方法、他用途との兼用、試験の設備、起動装置について細かい照会が出されました。
通っているのはいざというときに確実に起動するかです

加圧ポンプを、ふだんは工程用にも使いたいのですが。

兼用することはできないとされています。
消防用以外に使用するものとの兼用は認められません。

呼水槽の代わりに真空ポンプで呼水する方式は認められるでしょうか。

認められません。
貝殻が付着するためフード弁から漏水すること、起動時に貝殻の付着のためフード弁が開かないことがあることが理由に挙げられています。

この記事の結論
  • 加圧ポンプに斜流ポンプを使用することは、うず巻ポンプに準じて差し支えありません
  • 呼水装置としてスチームエゼクターを使用することは認められません
  • 呼水槽の代わりに真空ポンプを設ける呼水装置も認められません
  • 加圧ポンプを消防用以外に使用するものと兼用することはできません
  • 性能試験用配管は既設のポンプ設備であっても必要で、圧力計等の設置が困難な場合は流量計やオリフィス等により測定する装置を設置します

斜流ポンプを使えるか

加圧ポンプに斜流ポンプを使用することはうず巻ポンプに準じて差し支えないことを示したイメージ
昭和53年3月9日付けの消防地第42号の続きです。
消火用のポンプにはうず巻ポンプが使われるのが一般的です。
すでに斜流ポンプを設けている事業所から、これを認めてもらえないかという照会が出ました。
問14 加圧ポンプとして斜流ポンプを使用しているが、うず巻に準じて認められないか
答 うず巻ポンプに準じて差し支えない
準じて扱えます
短い回答ですが、準じてという語が付いている点が要点です。斜流ポンプそのものが指定されたのではなく、うず巻ポンプと同じ扱いをしてよいということです。
つまり、うず巻ポンプに求められる性能や試験の要件は、そのまま斜流ポンプにもかかります。名前が違うから免除される部分はありません。
前の記事で見た止液板のゴム製材料は、材料が指定されていたため認められませんでした。こちらは形式の指定ではなく性能の話なので、同等なら通ります。
基準が形式指定か性能規定かで結論が変わります。相談する前にどちらの書き方かを見ておくと、話が早くなります。

別の形式のポンプでも、準じて扱える場合があるのですね。

短い回答でした。
既設の設備の形式を、確かめておいてください。

呼水装置に使えないもの

呼水装置としてスチームエゼクターや真空ポンプ方式は認められないことを示したイメージ
ポンプを起動する前に、吸込側を水で満たしておく必要があります。これが呼水です。
呼水の方法について、2つの照会が並んでいます。スチームエゼクターを使う方法と、呼水槽をやめて真空ポンプを設ける方法です。
問15 呼水装置としてスチームエゼクターの使用を認めてよいか
問19 呼水槽を設けるかわりに、真空ポンプを設ける呼水装置は、新たに屋外給水施設を設置する場合に認められないか
(理由)(1) 貝殻が付着するためフード弁から漏水する。(2) ポンプ起動時に、貝殻の付着のためフード弁が開かないことがある。
答15 認められない
答19 認められない
どちらも認められません
2つとも短く切られています。
問19の理由に書かれているのは、質問した側が挙げた事情です。海水を使う設備では、フード弁に貝殻が付いて漏水したり、弁が開かなくなったりします。だから呼水槽をやめて真空ポンプにしたい、という相談でした。
その困りごと自体は認められつつ、真空ポンプによる呼水装置という解は認められませんでした。
理由は書かれていませんが、共通点は読み取れます。スチームエゼクターも真空ポンプも、呼水のたびに別の動力を働かせる必要があります。呼水槽なら、水が入っているだけで役目を果たします。
動くものを間に挟むほど、起動しない可能性が増えます。前の記事で見た自動遮断弁や媒介金具の話と同じ筋です。確実に働くかどうかで判断されています。

呼水の方式にも、認められないものがあるのですね。

理由が示されています。
採用する方式を、事前に確認してください。

加圧ポンプを他の用途と兼用できるか

加圧ポンプを消防用以外に使用するものと兼用することはできないことを示したイメージ
ポンプは高価で、場所も取ります。ふだん止まっているだけなら、他の用途にも使いたくなります。
消防用以外に使うものと兼用できるか。
問16 加圧ポンプを消防用以外に使用するものと兼用はできないか
答 兼用することはできない
兼用は認められません
一言で否定されました。
理由は明らかです。他の用途で使っている最中に災害が起きれば、消火に回せません。切り替えの操作が要るなら、その手間の分だけ遅れます。
ここが前の記事の共用堤や隣接事業所との共用と違うところです。堤は形が同じなら2つの役目を同時に果たせます。ポンプは1台で2か所へ同時に送れません。
同時に成り立つかどうかが、兼用の可否を分けています。
なお、次の記事で見るとおり、予備動力設備については容量を同時に満たす場合に限り兼用が認められています。同じ兼用でも扱いが違います。

兼用は認められないのですね。

いざというときに回せなくなります。
用途ごとに設備を分けてください。

性能試験用配管は既設にも要るか

既設のポンプ設備にも性能試験用配管が必要で圧力計が困難なら流量計やオリフィスで測定することを示したイメージ
ポンプが所定の性能を出せるかは、実際に流して測らなければ分かりません。そのための性能試験用配管です。
すでにあるポンプ設備にも必要なのか。また、管径の都合で圧力計等を付けられない場合はどうするのか。
問17 既設のポンプ設備にも性能試験用配管は必要か。又、管径の都合から圧力計等の設置が困難である場合これに替わるべき試験装置はあるのか
答 前段については、既設のものであつても必要である後段については、流量計、オリフイス等により測定する装置を設置するよう指導されたい
既設でも測れる形にします
前段は例外を認めていません。既設であっても性能試験用配管は必要です。
後段が実務的です。圧力計等が付けられないなら、流量計やオリフィス等で測る装置を設ければよい。
つまり求められているのは特定の器具ではなく、性能を測れる状態そのものです。測り方は選べます。
前の記事で見た地下配管の直接埋設が認められなかったのも、同じ考え方でした。確かめられない状態を作らないことが、そのまま基準になっています。
消防用設備等の点検でも、点検口や試験弁がなければ確かめようがありません。設計の段階で測る手段を残しておく必要があります。

既設の設備でも、測れる形にするのですね。

例外は認められていません。
試験の配管の有無を、現地で確かめてください。

起動装置は何か所に要るか

加圧ポンプの起動装置は最低2か所に必要であることを示したイメージ
ポンプを起動する操作は、どこからできるようにしておくべきか。
1か所だけでは、そこへ行けなければ起動できません。
問18 加圧ポンプの起動装置は、最低2ヶ所に必要か
答 お見込みのとおり
最低2か所です
質問者の見立てが認められました。起動装置は最低2か所に必要です。
2か所という数の意味は、片方が使えなくなっても起動できることです。火災でポンプ室に近づけない、停電で操作盤が使えない、といった場面を想定しています。
数だけを満たしても意味が薄い点に注意してください。2か所が同時に使えなくなる配置では役に立ちません。同じ建物の中に並べて置いても、片方が駄目な状況ではもう片方も駄目になります。
この記事で見てきた5つの回答は、どれも同じところを向いています。ポンプの種類は同等なら通る。呼水は確実な方法に限る。兼用は認めない。性能は測れるようにする。起動は2か所から。
すべて、必要なときに確実に起動して水を出せるかという一点に集まっています。

起動の装置は、最低2か所なのですね。

片方が使えない場合に備えます。
置き場所が分かれているかも確認してください。

よくある質問

Q斜流ポンプでも基準は同じですか?
A回答は、うず巻ポンプに準じて差し支えないとしています。準じてとされているので、うず巻ポンプに求められる要件はそのままかかります。名称が違うことで免除される部分はありません。
Qフード弁に貝殻が付く場合はどうすればよいですか?
A回答は、その事情を理由として挙げた真空ポンプによる呼水装置について認められないとしています。呼水装置の方式変更ではなく、フード弁側の維持管理で対応することになります。具体の方法は所轄にご確認ください。
Qふだん使わないポンプを工程用にも回せませんか?
A回答は、加圧ポンプを消防用以外に使用するものと兼用することはできないとしています。1台のポンプが2か所へ同時に送れないことが背景にあります。予備動力設備の兼用とは扱いが異なります。
Q圧力計が付けられない場合はどうしますか?
A回答は、流量計、オリフイス等により測定する装置を設置するよう指導されたいとしています。性能試験用配管そのものは既設のポンプ設備であっても必要とされました。

まとめ

  • 斜流ポンプはうず巻ポンプに準じて差し支えありません
  • 呼水装置としてのスチームエゼクターは認められません
  • 呼水槽に代わる真空ポンプの呼水装置も認められません
  • 加圧ポンプを消防用以外と兼用することはできません
  • 性能試験用配管は既設のものであつても必要です
  • 圧力計等が困難な場合は流量計やオリフィス等で測定する装置を設けます
  • 加圧ポンプの起動装置は最低2か所に必要です

動くものを間に挟むほど、起動しない可能性が増えるのですね。
すっきりしました。

起動装置は数だけでなく、置き場所が分かれているかも見てください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

参考・出典

  • 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令の運用に係る資料の送付について(昭和53年3月9日 消防地第42号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
  • 消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針について(昭和52年10月6日付け 消防地第204号 消防庁地域防災課長通達)
  • 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和50年代のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。

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消火用屋外給水施設の心臓部は加圧ポンプです。 ここが動かなければ、配管も消火栓も意味を持ちません。 そのため、ポンプの種類、呼水の方法、他用途との兼用、試験の設備、起動装置について細かい照会が出されました。 通っているの...