ガス漏れ火災警報設備は、地階や地下街のある建物にかかる設備です。
ただ、地階があれば必ず要るというものではありません。
質疑応答は、売場のない機械室だけの地階、配管だけの地階、カートリッジ式のコンロと、境目にある例を並べています。
共通しているのはガスがそこで使われているかで判断するという考え方です。
地階は機械室だけで売場はありません。
それでもガス漏れ火災警報設備が要るのでしょうか。
その場合は要ります。
ガスを焚くボイラーがあるなら売場の有無は関係ないという回答が出ています。
逆に、要らない場合もあるのですか。
あります。
地階に配管しかない場合が典型です。5つの回答を順に見ていきます。
- 売場がなく空気調和機械室で都市ガス焚ボイラーがある地階も設置を要します
- 床面積を算定するとき地下道部分は算定に加えません
- カートリッジ式ガスボンベ内蔵コンロは燃料用ガスに該当するが令第32条で免除して差し支えないとされました
- 地階に配管の立ち上りしかなく燃焼機器が地上階だけなら設置の必要はありません
- 区画のない売場では各検知器付近にガス漏れ表示灯を設ける必要はありません
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目次
売場のない地階でも設置が必要か

では、その地階に売場がなく機械室だけの場合はどうなるのか。
(1) 百貨店の地階で、その床面積は1,000平方メートル以上であるが、当該地階の部分には売場はなく、主に空気調和機械室となつており、暖房用として都市ガス焚ボイラーが設置されている当該地階部分。
(2) 令別表第一(16)項イに掲げる複合用途防火対象物の地階で当該地階の部分は、専ら当該防火対象物の駐車場及び空気調和機械室で、床面積は1,000平方メートル以上である。(用途で按分した結果、従属するとみなされる駐車場及び空気調和機械室の床面積の合計が500平方メートル以上の当該地階の部分)
設問の場合、いずれもガス漏れ火災警報設備の設置を要する。
2つの例はどちらも、人が買物をする空間ではありません。機械室と駐車場です。
それでも設置を要するとされました。判断の材料になっているのは用途の名前ではなく、床面積とそこにガス設備があるかどうかです。
(1)では暖房用の都市ガス焚ボイラーが設置されていることが書き込まれています。ガスを使う場所であれば、人が少なくても対象になります。
自分の建物でやることは1つです。地階に何のガス機器があるかを一覧にする。空調や給湯の機械室は見落とされやすい場所です。
人がいない機械室ほど見落としそうですね。
まさにそこが盲点です。
地階のガス機器を一覧にして図面に書き込んでください。
地下道部分の床面積は算定に加えるか

建物の地階と地下道をどう扱うのかが問われました。
(1) (16の3)項に掲げる防火対象物の建築物の地階部分のうち、対象用途部分の床面積と対象用途以外の部分の床面積との比率で地下道部分の面積を按分し、当該面積を建築物の地階の対象用途に供される部分の床面積に合算する。
(2) 地下道部分は算定に加えない。
2つの案が並べられ、そのうち(2)が選ばれました。地下道部分は算定に加えません。
按分という手間のかかる計算をしなくてよい、というのが実務上の意味です。建物の地階にある対象用途の床面積だけを数えます。
なぜ外すのか。地下道は通路であって、店舗や事務所のような用途に供される部分ではありません。用途で数えるのだから通路は入らないという素直な整理です。
地下街に面した建物を持っている場合、この数え方ひとつで設置義務の有無が変わります。面積計算の根拠を書面でもらっておいてください。
面積の数え方だけで結論が変わるのは怖いですね。
だから根拠を残すことが大事です。
面積計算の根拠を書面でもらっておいてください。
改修のときに効きます。
カートリッジ式のコンロは対象になるか

では、卓上のカートリッジ式のコンロを使う部分はどうなるのか。
なお、通常の場合ガスボンベのガス量と使用室内の容積を比較すると当該ガスボンベのガスが漏れても爆発する濃度に達するおそれがないと考えられるので、令第32条の規定を適用しガス漏れ火災警報設備の設置を免除してさしつかえない。
前半と後半で向きが変わる回答です。まず該当するかと問われれば、該当します。
ただし後半で理由を挙げて免除を認めています。ガスボンベのガス量と使用室内の容積を比べると、漏れても爆発する濃度には達しないと考えられるからです。
つまり量が足りないから危険が現実化しないという判断です。カートリッジ1本の量が根拠になっています。
ここで気をつけたいのは通常の場合という前置きです。ボンベを大量に置いている場合や極端に小さい部屋では前提が崩れます。免除を当てにするなら、置き方と部屋の大きさを所轄に説明できるようにしておいてください。
該当はするけれど量で免除されるという理屈なんですね。
そのとおりです。
ただし通常の場合という前置きが付いています。
ボンベの本数と部屋の大きさを説明できるようにしてください。
地階に配管しかない場合も必要か

その場合も地階の床面積で判断されてしまうのか。
地階にあるのは引き込み部分と立ち上り部分だけ。燃焼機器は地上階にしかない。この形なら設置の必要はないとされました。
前の項目と並べると考え方がはっきりします。機械室でもボイラーがあれば要る。売場でなくても要る。しかし配管が通っているだけなら要らない。
分かれ目はガス燃焼機器がその階にあるかどうかです。名前でも面積でもなく、そこで燃やしているかで見ています。
ただし配管が通っている以上、漏れがないとは言い切れません。設備が不要でも、配管まわりの点検は別に必要です。そこは切り離して考えてください。
設備が不要でも配管の点検は別、ということですね。
そこは分けて考えてください。
ガス事業者側の点検の予定も台帳に並べておくと抜けません。
区画のない売場では表示灯をどこに置くか

では、区画された室がない広い売場ではどうなるのか。
2つのことが答えられています。まずガス漏れ表示灯は各検知器の付近に設ける必要はありません。
理由は表示灯の役目から分かります。表示灯は部屋の外から中の異常を知らせるためのものです。区画された室がなければ、外から知らせる相手がいません。
そのぶん音で補います。検知区域警報装置は、検知器付近で関係者が有効に鳴動を聞きとることができるように設けることとされました。
広い売場では、営業中の騒音の中で聞こえるかどうかが問われます。次の点検で実際に鳴らしてもらい、売場の端で聞こえるかを自分の耳で確かめてください。
営業中の売場で本当に聞こえるのか、確かめたことがありません。
有効に聞きとることができるように、と書かれていますからね。
次の点検で売場の端に立って聞いてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
要るか要らないかの分かれ目が見えてきました。
すっきりしました。
地階のガス機器の一覧、面積計算の根拠、そして警報の聞こえ方。
この3つを押さえれば判断を業者任せにせずに済みます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防用設備等の設置に係る疑義について(昭和56年10月8日 消防予第241号 消防庁予防救急課長から徳島県生活環境部長あて回答)
- ガス漏れ火災警報設備に係る疑義について(昭和56年12月18日 消防予第299号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法施行令第21条の2
- 消防法施行令第32条
- 消防法施行規則第24条の2の2第1項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和56年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





