避難はしごは、階段が煙で使えなくなったときにベランダから下の階へ降りるための設備です。
どこに付けるのか、階ごとに要るのか、降下口はどれだけ広ければよいのか。
昭和48年、消防庁はバルコニー等という言葉の意味そのものから、一つずつ答えを示しました。
そこから読み取れるのは外に開いた場所へ確実に降りられるかどうかで見るという考え方です。
うちのマンションはベランダの床にハッチが付いています。
あれが避難器具だと言われたのですが、階ごとに要るものなのでしょうか。
他の階の避難口からもそのはしごを使えるなら、その階の避難器具として扱ってよいと回答されています。
1本で上下の階をまかなえる場合があります。
では、ベランダなら何でもバルコニー等になるのですか。
物置が半分を占めているところもあるのですが。
面積の目安まで示されていて、おおむね2平方メートル以上とされています。
昭和48年に同じ日付で示された5つの照会を、順に見ていきます。
- 規則第26条のバルコニー等には防火区画した避難用の専用スペースも該当すれば含まれるとされました
- バルコニー等とは直接外気に開放された部分を有する煙が充満しない構造のものでおおむね2平方メートル以上の面積を有するものとされています
- 他の階の避難口からも使える固定はしごはその階の避難器具として取扱ってさしつかえないとされました
- 一連の固定式避難はしごの最下階ははね上げ式やつり下げ式等でも差し支えないとされています
- 4階以上の階に設ける避難はしごは固定式のものに限るとされました
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目次
避難器具のバルコニー等とはどのようなものか

規則の条文に出てくるバルコニー等が何を指すのかが問われました。
規則第26条は避難器具の設置個数を減らせる場合の条件として、バルコニー等という言葉を使っています。
防火区画した避難用の専用スペースがこれに入るかが問われ、回答はまずバルコニー等の意味そのものを示しました。
直接外気に開放された部分を有し、煙が充満しない構造で、一定の面積(おおむね2平方メートル以上)を有するものがこれにあたります。
設問の専用スペースがこれに該当するものであれば、お見込みのとおりとされました。
自分の建物の降下口がある場所が外気に開放されているか、物を置いて広さが足りなくなっていないかを、まず測ってみてください。
ベランダの奥に、避難用の小部屋のようなスペースがあります。
これもバルコニー等に入るのでしょうか。
直接外気に開放されていて煙が充満しない構造で、おおむね2平方メートル以上あるなら該当します。
まずは広さを測ってみてください。
バルコニー等の固定はしごは各階ごとに必要か

共同住宅でよく見る形について照会がありました。
(参考:昭和48年8月9日付け消防安第12号「収納型屋外避難階段の取扱いについて」)
バルコニー等に固定はしごを設ける場合に、階ごとに数をそろえなければならないかが問われました。
回答は、規則第27条第3号ロの規定に適合するように設けられたもので、他の階の避難口からもその固定はしごを使用できるものであれば、はしごを利用できる階においても当該階の避難器具として取扱ってさしつかえない、というものです。
条件は2つあります。
規則の構造の基準に合っていることと、他の階の避難口からもそのはしごに行き着けることです。
図面の上でつながって見えても、途中の階の扉が施錠されていれば条件を満たしません。上の階から下まで一度歩いて確かめてください。
上の階と下の階で同じはしごを使う形になっています。
これで各階ぶんを設けたことになりますか。
他の階の避難口からもそのはしごを使えるなら、その階の避難器具として扱ってよいとされています。
途中の扉が施錠されていないかを先に確かめてください。
一連の固定はしごの最下階は移動式にできるか

防犯の心配から出た照会に、消防庁が答えています。
(2) (1)の場合最下階の上階からのものは移動式とすることができるか(盗難防止のため)。
(2) 最下階がはね上げ式、つり下げ式等のもので、避難者が容易に取り扱うことにより避難ができるものは差し支えない。
はしごが地上まで固定されていると、外部の人がそのまま登れてしまうという問題があります。
そこで最下階の部分だけを移動式にできないか、という盗難防止を理由にした照会がありました。
回答は、最下階がはね上げ式、つり下げ式等のもので、避難者が容易に取り扱うことにより避難ができるものは差し支えない、というものです。
一連で設けられた固定式避難はしごを下階の避難器具として取り扱えるかについては前の質疑の答を参照されたいとされ、同じ扱いになります。
点検のときは、最下段のはね上げ部分が錆びついて動かなくなっていないかを、実際に下ろして確かめてください。
一番下だけ、はしごが折りたたまれた状態になっています。
これは不良ではないのでしょうか。
盗難防止のためにはね上げ式とすることは差し支えないと回答されています。
ただし容易に取り扱えることが条件なので、動かして確かめてください。
収納式のつり下げはしごを4階以上の階に設けられるか

高い階でも同じかどうかが問われました。
なお、つり下げはしごについては、防火対象物の用途、当該はしごの位置、構造等を考慮し、令第32条の特例基準について検討中である。追つて通達する予定であるので念の為。
適当な広さのバルコニー等があるのだから、収納式のつり下げはしごでもよいのではないかという照会です。
回答は規則第27条第3号ロの規定を引いて、4階以上の階に設ける避難はしごは固定式のものに限るとしています。
置き場所の広さの問題ではなく、階の高さで種類が決まるということです。
なお当時は、つり下げはしごについて防火対象物の用途やはしごの位置や構造等を考慮した令第32条の特例基準を検討中であり、追って通達する予定であると付記されていました。
4階以上のバルコニーに収納箱があるなら、中身が固定式かどうかを図面と現物の両方で確かめてください。
5階のバルコニーに、収納箱に入ったはしごが置いてあります。
これで足りているのか不安になってきました。
4階以上の階に設ける避難はしごは固定式のものに限るとされています。
収納式のつり下げはしごであれば、種類から見直しが要ります。
固定はしごの降下口はどれだけの大きさが要るか

既存の建物で数字どおりの穴があけられないときの扱いが問われました。
4階以上の階に設ける固定はしごの降下口は、昭和48年6月6日付け消防予第87号により直径60センチメートルの円が内接できる大きさとされていました。
ところが既存の建物では構造上50センチメートル程度の穴しかあけられないことがあり、それでも認められないのかが問われました。
回答は、円滑な避難を行うためには約60センチメートルの円が内接する大きさが必要であるとしたうえで、設問のような場合は他の一片を大きくするなど円滑な避難に支障ないよう配慮されたい、というものです。
寸法をそのまま緩めたのではなく、人が通り抜けられるかどうかで判断するという読み方になります。
既存の建物で降下口を作り直すときは、短いほうの辺を測り、足りないぶんをもう一方の辺で補えるかを設計者に確認してください。
つまり降下口は、丸い穴かどうかではなく円が入るかどうかで見るのですね。
そのとおりです。
約60センチメートルの円が内接する大きさが必要で、足りない場合は他の一片を大きくするなど配慮するようにとされています。
よくある質問
まとめ
はしごは付いていればよい、というものではないと分かりました。
うちのベランダを測り直してみます。
ぜひそうしてください。
避難はしごは外に開いた場所へ確実に降りられるかどうかで見ます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 「バルコニー等」の解釈について(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- バルコニー等に設けられる固定はしごは避難器具として取扱つてよいか(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号)
- 固定式避難はしごは避難器具として取り扱えるか(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号)
- 収納式のつり下げはしごを4階以上の階に設置することの可否(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号)
- 固定はしごの降下口の大きさについて(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号)
- 消防法施行規則第26条・第27条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は各通知が発出された当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





