避難器具は、階段が使えなくなったときに下の階や地上へおりるための最後の手段です。
設けたあとも、どの階に置くのか、暗いときに見つけられるのかといった迷いが現場には残ります。
昭和48年と昭和50年、消防庁は避難器具についての照会に回答し、設置階の考え方から維持管理までを示しました。
そこから読み取れるのは使うときに本当に使える状態かどうかで見るという考え方です。
うちの建物は坂の途中にあって、3階から外へ直接出られます。
その上の4階にも避難器具が要るのでしょうか。
3階が避難階の場合でも、4階部分には避難器具が必要と回答されています。
まずご自分の建物で、どの階が避難階にあたるかを確かめてください。
設置場所の標識も気になっています。
煙が出たら見えなくなってしまうのではないでしょうか。
その心配はもっともで、標識を非常電源内蔵の灯火にすることが望ましいとされています。
昭和48年と昭和50年に示された5つの照会を、順に見ていきます。
- 3階が避難階の場合でも4階部分には避難器具が必要とされました
- その4階に設ける器具は2階に適応する避難器具でさしつかえないとされています
- 下階が上階に従属的な用途である場合は避難器具の設置基準のかつこ書は適用されません
- 夜間の照明設備の設置は義務づけられていないが困難な場所には指導されたいとされました
- 標識を非常電源内蔵の灯火にする措置をとることが望ましいとされています
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目次
3階が避難階の建物でも4階に避難器具は必要か

3階が避難階になっている建物について、その上の階の扱いが問われました。
避難階とは直接地上へ通ずる出入口のある階のことで、敷地に高低差があれば3階が避難階になることもあります。
設問は、そのような建物で4階部分に避難器具が必要かを尋ねたものです。
あわせて、設置させる場合に2階に適応する避難器具でさしつかえないかも問われました。
回答はいずれもお見込みのとおりで、4階部分にも避難器具が必要であり、その器具は2階に適応するもので足りるとされています。
ご自分の建物では、まずどの階が避難階にあたるのかを図面で押さえてください。
つまり、避難階が1階とは限らないということですね。
坂の上と下で階の見え方が変わるのは気づきませんでした。
そのとおりです。
避難階がどこかを押さえてから、その上の階を順に数えていってください。
下階が上階に従属する用途なら避難器具の算定は緩和されるか

その線引きが用途の従属によってどうなるかが問われました。
令第25条第1項第1号及び第2号には、下階に異種用途がある場合に収容人員の基準を下げるかつこ書が置かれています。
設問は、下の階が上の階に従属する用途になったときにこのかつこ書がどうなるかを尋ねたものです。
回答は、下階が上階の防火対象物に従属的な用途である場合はかつこ書の規定は適用されないとしています。
さらに、上階と下階との間に令第8条の防火区画がなされている場合は令第32条を適用し、かつこ書を適用しないことができるともされました。
下の階が上の階に従属しているという判断は、根拠を書面に残して消防署とすり合わせておいてください。
1階が住人用の駐車場でも、避難器具の計算に響くのでしょうか。
収容人員の出し方がよく分かっていません。
下の階が上の階に従属的な用途なら、かつこ書は適用されないと回答されています。
従属と判断した理由を、図面と一緒に残しておいてください。
避難器具の設置場所に夜間の照明設備は必要か

その場所の明るさをどこまで求めるかが問われました。
設問は、避難器具の設置場所に誘導灯等を設ける場合の夜間使用時の照明の考え方を尋ねたものです。
回答は、夜間の取扱いを容易にするための照明設備の設置は義務づけられていないとしています。
そのうえで、夜間に取扱いが困難な場所にあっては照明設備を設置するよう指導されたいとされました。
あわせて、誘導灯は避難器具の設置場所へ誘導するものではなく、主として出入口や避難階段等へ誘導するものだと念を押しています。
夜のうちに一度その場所へ立ってみて、器具と足元が見えるかどうかを確かめてください。
夜に避難器具を使う場面までは考えていませんでした。
誘導灯があれば足りると思い込んでいたところです。
誘導灯は出入口や避難階段へ誘導するもので、避難器具の場所を照らす役目ではないとされています。
暗くて扱いにくい場所なら、照明設備の追加を検討してください。
避難器具の標識を非常電源内蔵の灯火にしてよいか

その標識を光らせてよいかが問われました。
設問は、標識が煙で見えなくなることを心配し、誘導灯のような非常電源内蔵の灯火にできないかを尋ねたものです。
回答は、設問のような措置をとることが望ましいとしています。
ただし、この場合は誘導灯や誘導標識と紛らわしくないよう注意されたいという条件が付きました。
標識を光らせるときは、避難口誘導灯と見間違えられない形と色を選んでください。
標識を光らせてよいと聞いて安心しました。
誘導灯と同じものを付ければよいのでしょうか。
そこは注意が必要で、誘導灯や誘導標識と紛らわしくないようにとされています。
形と色を分けて、見間違えの起きない標識を選んでください。
経年変化する材料を使った避難器具の検査済証はどうなるか

そうした器具の検査済証の扱いが問われました。
設問は、経年変化する材料を使用した避難器具について検査済証の交付をどうするかを尋ねたものです。
回答は、交付は消防法施行規則第31条の3の規定によられたいとしており、材質を理由に別扱いにはしていません。
そのうえで、経年変化が予想される材質を用いた避難器具等については、消防法第17条の3の3の規定による定期的な点検を行うことで機能を適切に維持するよう指導されたいとされました。
布製やロープ製の器具がある建物では、点検の記録を年ごとにたどれるようまとめておいてください。
布でできた避難器具は、何年もつのかがずっと気になっています。
検査済証をもらったあとは、どうしておけばよいのでしょうか。
交付そのものは規則第31条の3によるとされ、そのあとは定期的な点検で維持することが求められています。
点検の記録を続けて残しておくと、劣化の進み方が見えてきます。
よくある質問
まとめ
避難器具は置いて終わりではないと分かりました。
まずは標識の見え方と足元の明るさを見に行きます。
ぜひそうしてください。
避難器具は使うときに本当に使える状態かどうかで見ます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 避難階以外にも避難器具が必要か(昭和50年6月16日 消防安第65号 安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 下階が上階の防火対象物に従属的な用途である場合の避難器具の算定の緩和について(昭和50年6月16日 消防安第65号)
- 夜間における照明設備の設置について(昭和50年6月16日 消防安第65号)
- 経年変化する材料を使用した避難器具の検査済証の交付について(昭和50年6月16日 消防安第65号)
- 避難器具設置場所に設ける標識を非常電源内蔵の灯火にすることは可能か(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法第17条の3の3/消防法施行令第8条・第25条・第32条/消防法施行規則第31条の3
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は各通知が発出された当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





