BLOG

キャバレーや待合はどう区分されるか|料理店やダンス教習所との違いも解説

キャバレーや待合の用途区分を解説するアイキャッチ画像

「うちのテナントはキャバレーなのか料理店なのか」と聞かれて、答えに詰まったことはありませんか。
名称だけでは判定できず、実態を見ないと用途は決まりません。
建築基準法の質疑応答には、この線引きを何度も扱った通達が残っています。
この記事を読めば、キャバレーや待合の判定基準と、それが消防法上の用途区分にどうつながるかがわかります。

最近、うちのテナントの用途はキャバレーなのか料理店なのかで、担当者ともめまして。
正直、名称だけでは判断がつかないんです。

それ、建築基準法の古い質疑応答にちょうど同じ論点が出てきますよ。
結論から言うと、名称ではなく実態の中身で判定します

ということは、看板に「料理店」と書いてあっても、中身次第では別の扱いになるということですね。

そのとおりです。
今日は待合・キャバレー・舞踏場まわりの実例5件で、その見分け方を整理していきましょう。

この記事の結論
  • 料理店とカフェーは、飲食が主か遊興が主かによって区分します
  • 法別表第2(い)項6号の「その他これらに類するもの」には、遊興色の強い料理店やカフェーも含まれます
  • 待合や貸席、料亭は名称にかかわらず同じ扱いになります
  • ダンス教習所は舞踏場に含まれますが、日本舞踊教習所やバレエ教習所は含まれません
  • 工業地域では、明文の制限が無いためキャバレーを建築できます

料理店とカフェーはどこで線を引くか

料理店の飲食スペースとカフェーの接客カウンターを並べて用途の違いを示したイメージ
看板に「料理店」と書いてあっても、中身がカフェーに近ければ扱いが変わることがあります。
判断の基準は、名称ではなく営業の中身にあります。
問(学校、料理店の範囲) 法第49条第4項又は法別表第3に掲げる「学校」及び「料理店」の範囲について、学校は幼稚園及び各種学校を含み、料理店はカフェー、レストラン等を含まないと解してよいか。
答 学校については貴見のとおりである。料理店については、カフェーは含まれるが、レストランは飲食店として取扱うこと。「飲食店」と「料理店」の区分は、名称が和洋の如何にかかわらず、飲食が主か遊興が主かによって区分することとし、遊興を主用途としたカフェーは料理店に含まれる。
決め手は飲食か遊興かです。
名称に引きずられると、レストランとかつぽう料理店を同列に見てしまいます。
しかし通達は、和風か洋風かではなく、飲食が主目的か遊興が主目的かで線を引きました。
つまり同じ「カフェー」でも、遊興的な接客を伴えば料理店側に、純粋な喫茶なら飲食店側に区分されます。
この飲食か遊興かという判定軸は、消防法上の防火対象物区分を考えるときの基本的な視点にもなります。
自分のテナントがどちら寄りかは、接客の実態を棚卸ししてみるとはっきりします。

うちは喫茶店のつもりでしたが、常連さんの相手をする時間の方が長いかもしれません。

実態がそちらに寄っているなら、料理店側の扱いになる可能性があります。
まずは営業許可の種別と日々の接客内容を照らし合わせてみてください。

待合やキャバレーはどこまで含まれるか

舞台と客席のあるキャバレーの建物を示したイメージ
料理店の範囲がわかったところで、次はもっと遊興色の強い側の線引きです。
法別表にある「その他これらに類するもの」には、思ったより広い業態が入ります。
問(料理店、カフェー、待合等) 法別表第2(い)項6号に掲げる「その他これらに類するもの」には料理店、カフェーは含まれないものと解せられるが、如何なる業態のものが含まれるか。また、法別表第3(は)項に掲げる「料理店」と「待合」との区別はどうか。
答 「その他これらに類するもの」とは、待合、キャバレー、舞踏場類似の用途をいい、通常、風俗営業取締法第1条の適用を受けるもののうち遊興的色彩の強いものが含まれるから、料理店であっても、飲食よりも婦女従業員の接待による遊興的色彩の強いもの、即ちカフェー、社交喫茶店、バー、特殊飲食店等を含むものとして取り扱われたい。「料理店」及び「待合」は、いずれも風俗営業取締法の適用を受けるが、前者は飲食物を提供するとともに客を接待するための婦女従業員を有し、後者は原則として飲食物を提供せず芸妓等を招致又はあっ旋して客に遊興させるものである。
接待の中身で分かれます。
料理店という看板のままでも、婦女従業員による接待の遊興色が強くなれば、キャバレー側の扱いに寄っていきます。
料理店と待合の境目も同じ発想です。飲食物を提供して接待するか飲食物を提供せず芸妓等を呼ぶかで分かれます。
こうした遊興色の強い用途は、消防法施行令別表第1でも飲食店とは別の区分に分類される考え方につながります。
迷ったら、接待の有無と飲食提供の有無を、まず自分の営業実態で書き出してみてください。

接待の濃さで区分が変わるなんて、担当者に説明されてもピンときませんでした。

数値ではなく実態で見るので、迷って当然です。
まずは飲食提供の有無と接待の有無だけ、紙に書き出してみてください。

名称を貸席や料亭に変えても扱いは同じか

同じ内装で看板の形だけが違う3棟の座敷風の建物を示したイメージ
料理店と待合の境目がわかると、次に出てくるのが名称の言い換えです。
呼び方を変えれば扱いを外れられるのか、という質問がそのまま通達に残っています。
問(貸席の業態について) 最近住居地域内に貸席と称する用途に供する建築物が増加する傾向があるが、建築基準法別表第2(い)項6号に該当するものとして取扱ってよいか。なお、貸席の業態は客席4・5室を有し、割ぽうを兼ねるものが多い。
答 芸妓その他遊芸人を招致若しくはあっ旋して客に遊興又は飲食させる営業は、待合、貸席、料亭等名称のいかんにかかわらず、法別表第2(い)項6号に該当するものとして取扱われたい
名前を変えても中身は変わりません。
待合という言葉を避けて貸席や料亭と名乗っても、芸妓等を招致してあっ旋する実態があれば同じ扱いです。
建築基準法の考え方も、消防法の防火対象物区分も、看板の言葉より営業実態を優先する点は共通しています。
賃貸で店舗を借りるときも、前のテナントの用途表記をそのまま引き継ぐと、実態と合わなくなることがあります。
契約前に、自分の営業内容が消防法上どの区分に当たるかを、所轄消防署に一度確認しておくと安心です。

看板の名前を工夫しても、中身がばれれば意味が無いということですね。

そのとおりです。
名称より先に営業実態を確認するくせをつけてください。

ダンス教習所は舞踏場に含まれるか

鏡張りのダンスホールと畳敷きの日本舞踊教室を並べて含まれる方と含まれない方を示したイメージ
似たような「教える場所」でも、扱いが分かれることがあります。
ダンス教習所と日本舞踊教習所を並べて問うた通達があります。
問(舞踏場その他これらに類するもの) 住居地域内に建築してはならない建築物のうち、次の各号は遊興飲食を目的とせず、かつ客を接待するための婦女従業員等も有しないため、法別表第2(い)項6号に掲げる舞踏場その他これらに類するものに該当しないものと解してよいか。1ダンス教習所、2日本舞踊教習所、3バレエ教習所。
答 「ダンス教習所」は、その設備及び実態からみて舞踏場に類する用途の建築物であると解されるので、法別表第2(い)項6号に掲げるものに該当するものと解されるが、「日本舞踊教習所、バレエ教習所」は、これに該当しないものと解する。「その他これらに類するもの」とは、原則として、待合、キャバレー、舞踏場と類似の客席における婦女従業員の接待を伴う営業及び客にダンスをさせる営業を目的とする建築物をいう。
同じ「教習所」でも答えは割れました。
ダンス教習所は客にダンスをさせる営業そのものにあたるとされ、舞踏場側に含まれます。
一方で日本舞踊教習所やバレエ教習所は、稽古の場であって接待や遊興を伴う営業ではないため、含まれないとされました。
見た目の似た「教える場所」でも、客にダンスをさせて楽しませているのか、稽古を指導しているのかで用途が変わります。
この視点は、消防法施行令の防火対象物区分で似た業態を見分けるときにも応用できます。
自分のテナントがどちら寄りか迷ったら、案内チラシや料金表の書き方から実態を見直してみてください。

踊るという行為が同じでも、目的が稽古か接客かで分かれるんですね。

そのとおりです。
料金表や案内に稽古の目的がはっきり書いてあるか、一度見直してみてください。

工業地域内でキャバレーは建てられるか

工場が並ぶ通りに舞台照明のあるキャバレーの建物が加わっているイメージ
最後は逆方向の質問です。制限が厳しいはずの用途地域で、なぜかキャバレーだけ規制されない場所があります。
その理由を条文の作り方から説明した通達です。
問(工業地域内のキャバレー) 法第49条第4項の規定によりキャバレーは工業地域内においては制限用途から明確に除外されているので、法第6条の規定により建築の確認のみでよいと解してよいか。
答 貴見のとおり。理由は次のとおりである。法第49条第4項は学校、病院、劇場、映画館、演芸場、料理店、ホテル又は旅館の用途に供する建築物は建築してはならないと規定しており、キャバレーの用途に供する建築物は制限用途から明白に除外されている。同項には「その他これらに類するもの」という表現を用いておらず、類推解釈は許されるべきでない。また工業専用地区では明文上キャバレーを建築できないとされているのに対し、工業地域内では何ら明文で建築できないとされていない
制限用途の書き方そのものが根拠です。
法第49条第4項は、学校や病院、料理店など建てられない用途を名前を挙げて列挙しており、キャバレーはその列挙に入っていません。
「その他これらに類するもの」という広げる言葉が無い条文なので、料理店に近いからといって類推で制限を広げることはできないとされました。
工業専用地区では明文で禁止されているのに、工業地域には無いという条文の作りの違いも、この結論を裏付けています。
用途地域の制限は、似ているからではなく、条文に名前が挙がっているかどうかで読むのが基本だと分かります。

似ているかどうかではなく、名前が挙がっているかどうかで読むんですね。

はい。
用途地域の制限も消防法上の区分も、条文の言葉と実態の両方を見るところは同じです。

よくある質問

Q料理店とカフェーは何で区別しますか?
A回答は、名称が和洋の如何にかかわらず、飲食が主か遊興が主かによって区分するとしています。遊興を主用途としたカフェーは料理店に含まれます
Q待合とキャバレーはどう違いますか?
A回答は、料理店は飲食物を提供して婦女従業員が接待するのに対し、待合は原則として飲食物を提供せず芸妓等を招致又はあっ旋して遊興させるものとしています。
Q貸席や料亭と名乗れば待合の扱いを外れますか?
A回答は、芸妓その他遊芸人を招致又はあっ旋して客に遊興又は飲食させる営業は、名称のいかんにかかわらず該当するとしています。
Qダンス教習所と日本舞踊教習所は同じ扱いですか?
A回答は、ダンス教習所は舞踏場に類する用途として該当するが、日本舞踊教習所とバレエ教習所は該当しないとしています。

まとめ

料理店とカフェーは飲食が主か遊興が主かで区分します
法別表第2(い)項6号には遊興色の強い料理店やカフェーも含まれます
料理店と待合は飲食物の提供と接待の有無で分かれます
貸席や料亭も名称にかかわらず実態で判定されます
ダンス教習所は舞踏場に含まれますが、日本舞踊教習所とバレエ教習所は含まれません
キャバレーは制限用途に名前が挙がっていないため類推で規制を広げられません
工業地域内では明文の禁止が無いためキャバレーを建築できます

看板ではなく実態を見る、それだけ覚えておけば大きく外さないんですね。
すっきりしました。

飲食か遊興か、接待の有無、名称ではなく実態。
この3つを見れば用途の見分けで大きく外しません
㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

参考・出典

  • 建築基準法の疑点(学校、料理店の範囲)について(昭和26年1月17日 住指発第534号 建設省住宅局建築指導課長から京都府知事あて回答)
  • 建築基準法の疑点(料理店、カフェー、待合等)について(昭和28年2月7日 住指発第131号 建設省住宅局建築指導局長から栃木県土木部長あて回答)
  • 貸席の業態について(昭和32年11月12日 住指発第1181号 建設省住宅局建築指導課長から静岡県土木部長あて回答)
  • 舞踏場その他これらに類するものについて(昭和38年12月21日 住指発第172号 建設省住宅局建築指導課長から千葉県土木部長あて回答)
  • 工業地域内のキャバレーについて(昭和39年8月26日 住指発第157号 建設省住宅局建築指導課長から広島市長あて回答)
  • 建築基準法第49条・建築基準法別表第2・別表第3
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和20年代から30年代当時のもので、通達番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
キャバレーや待合の用途区分を解説するアイキャッチ画像
「うちのテナントはキャバレーなのか料理店なのか」と聞かれて、答えに詰まったことはありませんか。 名称だけでは判定できず、実態を見ないと用途は決まりません。 建築基準法の質疑応答には、この線引きを何度も扱った通達が残ってい...