渡り廊下でつながる建物、農家の作業所、釣り人向けの施設、地域住民の交流施設。
昭和54年の複数の通達が、それぞれ違う角度から防火対象物の区分を示しています。
共通する建物も業種もありません。
質疑応答が示したのは接続のしかたと利用の実態を積み上げて判断するという考え方です。
釣り人向けのフイッシングセンターって何項になるんですか。
使い方を見ると答えが出ます。
渡り廊下でつながる建物の床面積はどう数えるんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
- 渡り廊下で結ばれた建物の床面積は別棟か一棟かで合算の方法が変わります
- 個人住宅の敷地内の建築大工作業所は材料置場と作業室の使われ方で項が変わります
- 農業用収納舎兼農作業所は令別表第1に該当しません
- フイッシングセンターは(15)項に掲げる防火対象物に該当します
- 環境改善センターの多目的ホールは(1)項ロに掲げる防火対象物に該当します
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目次
渡り廊下で結ばれた防火対象物の床面積はどう算定するか

一棟とみなす場合と別棟とみなす場合とで、計算のしかたが変わってきます。
一棟とみなされる場合は、A棟・B棟それぞれの床面積に渡り廊下部分の面積をそのまま加えるだけです。一方、別棟とみなされる場合は、渡り廊下の面積をA棟・B棟の延べ面積の比率で按分してから、それぞれの床面積に加えます。
渡り廊下の面積を丸ごとどちらかに寄せる、という単純な扱いにはなりません。
渡り廊下でつながる建物を管理しているなら、まず一棟扱いか別棟扱いかを確認してから、床面積の計算方法を選んでください。
渡り廊下の面積を案分するという発想はなかったです。
一棟扱いか別棟扱いかを先に確認してください。
個人住宅の敷地内にある建築大工作業所は何項になるか

建築材料置場の一部を作業室として使っているこの施設は、何項として扱われるのでしょうか。
材料置場が作業室の付属的なスペースとして使われているなら(4)項ロ、材料置場と作業室がそれぞれ独立して使われているなら(14)項ロと、同じ建物構成でも実態次第で答えが分かれます。
住宅と同じ敷地内にあるという立地条件だけでは判断できません。
自宅敷地内に作業所や資材置場を構えているなら、両者の使われ方が付属的なのか独立的なのかを整理してから確認してください。
同じ建物なのに項番号が変わることがあるんですね。
付属か独立かを
整理してから確認してください。
農業用収納舎兼農作業所は防火対象物になるか

では、農作業室を併設した収納舎兼農作業所の場合はどうなるのでしょうか。
単独の収納舎だけでなく、農作業室を併設した収納舎兼農作業所であっても、令別表第1に掲げる防火対象物には該当しません。作業スペースが加わったことで規制対象に変わる、ということにはならないという判断です。
専業農家として収納舎に作業スペースを併設しているなら、この整理に沿って令別表第1の対象外であることを前提に確認してください。
作業室が増えたら対象になると思っていました。
対象外であることを前提に確認してください。
フイッシングセンターは何項に該当するか

宿泊施設でも物品販売店でもない、この複合的な施設は何項として扱われるのでしょうか。
展示室兼講習ホール、売店兼事務室、船頭控室、仮眠室、釣り人待合と、複数の機能を持つ部屋が並んでいますが、全体としては(15)項に整理されました。仮眠室があっても宿泊施設として扱われるわけではなく、あくまで釣りという活動に付随する休憩機能という位置づけです。
複合的な機能を持つ会員制・利用者限定型の施設を運営しているなら、個々の部屋の機能だけで判断せず、施設全体の主目的から令別表第1の項を検討してください。
仮眠室があっても宿泊施設扱いにはならないんですね。
施設全体の
主目的から検討してください。
環境改善センターの多目的ホールは何項に該当するか

結婚披露宴から講演会まで幅広く使われるこのホールは、何項として扱われるのでしょうか。
多目的ホールが結婚披露宴や映画上映など幅広い用途に使われていても、研修室・図書室・会議室と組み合わさった全体としては(1)項ロに整理されました。個々のイベントの種類ではなく、施設全体の性格で項が決まっています。
地域住民向けの多目的施設を運営・管理しているなら、個別の利用イベントで判断せず、施設全体の位置づけから令別表第1の項を確認してください。
結婚式にも使うのに結婚式場にはならないんですね。
施設全体の
位置づけから確認してください。
よくある質問
まとめ
建物の名前より、中身の使い方をちゃんと見るんですね。
勉強になりました。
接続のしかたと利用の実態。
この2つを積み上げて判断してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 渡り廊下で結ばれた防火対象物の階の床面積の算定について(昭和54年6月22日 消防予第118号〔49〕 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法施行令別表第1の区分について〔建築大工作業所・農業用収納舎兼農作業所・フイッシングセンター〕(昭和54年7月13日 消防予第113号 消防庁予防救急課長から山形県生活福祉部長あて回答)
- 環境改善センターの取扱いについて(昭和54年8月30日 消防予第162号 消防庁予防救急課長から山形県生活福祉部長あて回答)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





