建物を新しく建てる、あるいは増築・改修するとき、建築主事の確認の前に消防長の同意が必要になる場面があります。
この同意は、建物が完成してから受ける消防検査とは別の、計画段階のチェックです。
どこまでが同意の対象で、どこからが消防長の裁量を超えるのかは、現場でしばしば争いになります。
質疑応答が示したのは消防長が同意を拒めるのは法令に具体的に抵触する場合だけという線引きです。
うちのビルを増築しようとしたら、消防のほうから同意がもらえていないと工事店に言われました。
何を直せばいいのか、ちゃんと説明してもらえていません。
それは建築基準法第93条の消防同意ですね。
消防長が確認できるのは法令に具体的に違反する場合だけです。
理由もはっきり言われないまま止まっているので困っています。
そこも実は質疑応答で扱われています。
同意の対象、記載事項、そして不同意の理由まで、順に見ていきましょう。
- 火災予防条例の消防用設備規定も、建築基準法第93条の「防火に関する規定」に含まれます
- 確認申請書に書くべき事項は、規則第1条が定める最小限度に限られます
- 同意に条件が付いても、検査済証は竣工検査の時点で基準に適合しているかで判断されます
- 消防長が具体的な法令違反を示さない不同意は、法の適用を誤ったものとされます
- 消防活動上の懸念だけを理由にした不同意は、法に根拠がないとされました
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目次
消防長の同意は火災予防条例の規定も対象になるのか

同意の審査対象が建築基準法だけなのか、火災予防条例まで及ぶのかが問われました。
消防長が確認申請を審査するとき、根拠が建築基準法か火災予防条例かは区別されません。
避難階段や非常出口のように消防用設備等や建物の構造に関わる規定であれば、条例に定められていても同意の対象に入ります。
つまり同意の範囲は「防火に関する規定」全体であって、法律か条例かという出どころでは決まりません。
確認申請で図面のどこが指摘されているのか、法令名まで確かめておくと工事店との話が早くなります。
てっきり建築基準法だけを見られているのかと思っていました。
火災予防条例の消防用設備規定も対象です。
図面のどこが指摘されたのか、条文名までメモしておいてください。
確認申請書に消火栓や進入路の記載を求められたらどうするか

これを書かないと受理できないと言われたとき、どこまで応じる必要があるのかが問われました。
確認申請書に何を書くべきかは、建築基準法施行規則第1条に定められた事項が基準です。
消火栓や進入路の位置構造まで書き込ませる運用は、この最小限度を超えた要求ということになります。
とはいえ、所轄消防署との協議で追加資料を求められること自体は珍しくありません。
求められた記載が申請書の必須事項なのか、任意の協議資料なのかを工事店に確認しておくと、やり取りが整理しやすくなります。
工事店から追加の資料を出せと言われたときは、必須なのか確認していいんですね。
はい。最小限度の事項は規則で決まっています。
迷ったら工事店に規則第1条の根拠を聞いてみてください。
同意に条件が付いた場合その条件を守らないと検査済証はもらえないのか

条件付きの同意で、竣工までにその条件が満たされなかった場合どうなるのかが問われました。
建築確認は計画段階の審査であり、検査済証は完成した建物が実際に基準どおりかを見る手続きです。
消防長の同意に付いた条件も、建築基準法以外の法令が定める基準の一部として扱われます。
つまり確認申請書に書いてあったかどうかに関係なく、竣工検査の時点で条件が満たされていなければ検査済証は交付されません。
増改築の計画段階で付いた条件は、工事が終わるまで消防用設備の整備状況とあわせて記録に残しておくと安心です。
条件を忘れたまま工事を進めてしまいそうで心配です。
条件は消防用設備の整備とあわせて記録しておくと安心です。
竣工前に一度、消防用設備業者と条件を読み合わせてください。
消防長が理由を示さず同意しないときどうなるのか

では、具体的な違反箇所を示さないまま不同意とされた場合、建築主事は確認をしてよいのかが問われました。
消防長が同意を拒めるのは、法律・命令・条例に書かれた防火の規定に具体的に抵触する場合だけです。
「なんとなく心配」「基準がはっきりしない」といった漠然とした理由は、この条件にあたりません。
不明確な理由で止まっているときは、消防長に具体的にどの規定に抵触するのかを重ねて問い合わせるのが先決です。
それでも法令上の根拠が示されないなら、所轄消防署とのやり取りの記録を残したうえで工事店・建築主事と相談してください。
理由がはっきりしないまま止まっていたら、こちらから聞いていいんですね。
はい、遠慮なく聞いてください。
法令の具体的な条文まで確認するのが近道です。
消防活動上の懸念を理由にした不同意は認められるのか

この理由が、消防長の同意を拒む根拠として認められるのかが問われました。
同意を拒める理由は、あくまで防火に関する規定への具体的な抵触に限られます。
道路が使いにくくなって消防隊の活動に支障が出るかもしれない、という懸念自体は法令違反ではないため、不同意の根拠にはなりません。
私道の廃止や位置変更を計画するときは、消防活動への影響を心配する気持ちは正当でも、それだけでは同意を止められないことを踏まえて協議を進める必要があります。
迷ったら所轄消防署に、懸念点を法令上のどの規定に位置づけて協議したいのかを先に伝えておくと話がまとまりやすくなります。
心配な気持ちはあっても、それだけでは止められないんですね。
そうです。
懸念は法令の条文に落とし込んで初めて根拠になります。
次は不同意された理由を、条文単位で整理するところから始めましょう。
よくある質問
まとめ
同意の対象も、記載の範囲も、不同意への対応も整理できました。
ありがとうございます。
消防長の同意は拒める理由が法令違反に限られる制度です。
不明確なまま止まっていたら、まず条文を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 建築基準法第93条(消防長等の同意。当時の条文番号)
- 建築基準法施行規則第1条
- 火災予防条例と消防長の同意について(昭和30年8月8日 住指受第696号)
- 消防長の不同意の理由について(昭和37年11月14日 住指発第96号)
- 確認と消防署長の同意(昭和39年2月24日 住指発第24号)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和30年代当時のもので、条文番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





