消防用設備等の検査には、意外と知られていない実務上のルールがあります。
検査済証は誰のものか。手数料はなぜ取らないのか。届出は棟ごとか敷地ごとか。
一つひとつは細かい疑問ですが、現場では避けて通れません。
質疑応答が示したのは検査と届出の制度は行政の必要に基づく仕組みであり利用者の都合とは別だという考え方です。
設備を増設したら検査済証は作り直しですか。
原則そうなります。
検査に手数料がかからないのはなぜですか。
それも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
- 消防用設備等を増設・改修したときは検査済証を新たに交付しなければなりません
- 消防長等が指定する検査対象物の基準は市町村が独自に定められます
- 検査手数料を規定しないのは特定の者のためにする事務ではないからです
- 住居部分の立入検査には関係者の承諾が必要です
- 消防用設備等の届出は棟単位で行います
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目次
消防用設備等を増設・改修したら検査済証はどうなるか

古い検査済証をそのまま使い続けてよいのでしょうか。
増設や改修が単なる修繕等に止まる場合を除いて、新設のときと同じ届出・検査が必要になり、検査済証も新しいものに交付し直されます。古い検査済証をそのまま使い続けることはできません。
逆に言えば、修繕にとどまるかどうかの見極めが、届出の要否を左右するということです。
設備を増設・改修する計画があるなら、修繕の範囲を超えていないか、事前に所轄消防署に確認してください。
修繕かどうかの線引きが大事なんですね。
事前に所轄消防署に確認してください。
消防機関の検査対象になる防火対象物は誰が指定するか

その判断基準は、国が全国一律で定めているのでしょうか。
国が全国一律の基準を定める予定はなく、市町村が独自に定める運用になっています。ただし、個々の防火対象物そのものを条例で名指しして指定することはできません。あくまで指定のための基準を定める、という位置づけです。
自分の建物が検査対象に当たるか気になるなら、所在地の市町村がどのような基準で指定を行っているかを確認してください。
全国一律の基準があるわけじゃないんですね。
市町村の基準を
確認してください。
消防用設備等の検査に手数料がかからないのはなぜか

消防用設備等の検査には、なぜ手数料が規定されていないのでしょうか。
消防用設備等の検査は、申請者個人のためというより行政上の必要に基づいて行われるものと位置づけられています。特定の者のためにする事務ではないため、手数料になじまず、市町村条例で独自に徴収することもできません。
建築確認などとは制度上の性格が異なる、ということを押さえておくとよいでしょう。
消防用設備等の検査費用について疑問があるなら、この行政上の必要という位置づけを踏まえて確認してください。
建築確認とは性格が違うんですね。
行政上の必要という位置づけを踏まえてください。
住居部分の立入検査で承諾が得られない場合どうなるか

プライベートな空間への立ち入りを拒まれたら、検査はできないのでしょうか。
届出に基づく検査であるため、原則として立入りには関係者の承諾が必要です。一般的な立入検査とは根拠条文も趣旨も異なります。ただし、届出をした以上、正当な理由なく検査のための立入りを拒否すると、罰則の適用対象になり得ます。
承諾が前提とはいえ、届出をした側にも検査を受け入れる責任が伴うということです。
住居部分を含む防火対象物を管理しているなら、検査の日程調整を早めに行い、立入りを拒否する事態を避けてください。
承諾は要るのに拒否すると罰則があるんですね。
日程調整を早めに行い
立入りを拒否する事態を避けてください。
消防用設備等の届出は棟単位か敷地単位か

また、届出の対象になる工事は、新設のときだけなのでしょうか。
同じ敷地内に複数の棟があっても、棟ごとに届出が必要です。また、対象となる工事も新設に限らず、増改や移設、消防用設備等の変更に伴う工事まで幅広く含まれます。
新設工事だけを届出の対象と考えていると、増改や移設の際に届出漏れが起きかねません。
複数の棟を持つ敷地で消防用設備等の工事を計画しているなら、棟ごとに届出の要否を確認してください。
新設工事だけだと思い込んでいました。
棟ごとに
届出の要否を確認してください。
よくある質問
まとめ
検査や届出の仕組みが、なんとなく分かった気がします。
今度の増設工事の前に確認してみます。
検査と届出は
行政の必要に基づく仕組みだと押さえてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の検査、点検等について〔消防用設備等を増設、改修した場合の検査済証の取扱い〕(昭和50年6月16日 消防安第65号 安全教急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 同前〔消防機関の検査を受けなければならない防火対象物の指定について〕(同日 同号)
- 同前〔消防用設備等の検査手数料を規定しない理由は〕(同日 同号)
- 同前〔検査の対象である消防用設備等が設けられている場合、関係者から立入検査の承諾が得られない場合について〕(同日 同号)
- 同前〔消防用設備等の届出は棟単位か、敷地単位か〕(同日 同号)
- 消防法第17条の3の2、第4条、第44条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





