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指定可燃物を大量に置く倉庫は保安の計画を作るのか|火災予防条例が定める別表第七の100倍以上の義務を解説

大量の指定可燃物を保管する物流倉庫の通路と棚に積まれた容器

倉庫にプラスチックの箱や古紙を積んでいると、量によっては消防署への届出が要ることはよく知られています。
ただ、その量をさらに大きく超えたときに、もう一段の義務が乗ることはあまり知られていません。
別表第七の数量の100倍以上を扱う人には、保安に関する計画を作る義務が条例に置かれています。
どの品名がどれだけあると計画が要るのかを、条文の書きぶりのまま確かめておきます

資材倉庫の防火管理者をしています。
プラスチック製品を大量に置いていますが届出だけで足りますか。

量が大きくなると届出のほかに義務が乗ります。
東京都火災予防条例では第34条の3が保安に関する計画の作成を求めています。

うちは指定可燃物の届出ならもう出しています。

その届出の数量が別表第七の100倍以上なら計画の対象です。
まずは手元の在庫が何倍にあたるかを数えてください。

この記事の結論
  • 指定可燃物の量が大きくなると届出のほかに保安に関する計画を作る義務が乗ります
  • 東京都火災予防条例では第34条の3がその条にあたります
  • 対象は別表第七の数量の100倍以上を貯蔵し又は取り扱う者です
  • 条文が挙げている品名は四つで別表第七の全部ではありません
  • 作った計画は第58条第2項により届出の添付図書になります

大量の指定可燃物を置く場所に求められる保安に関する計画としてなにが対象かとどれだけあるかとなにを作るかとどこへ出すかを示した図解

指定可燃物の保安に関する計画とはどんな決まりなのか

左にシャッターのある倉庫と中央に積み重ねた木箱があり右に盾の描かれた板が柱の上に立っている
消防法の本体をいくら探しても、保安に関する計画という言葉は出てきません。
この義務は市町村が定める火災予防条例のほうに置かれています。
消防法第九条の四 危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める
入口は消防法の一条だけです
消防法がここで決めているのは、指定可燃物という区分を置くことと、その貯蔵と取扱いの基準を市町村条例に委ねることです。
ですから実際に何をどうするのかは、市町村ごとの火災予防条例を開かないと分かりません。
東京都火災予防条例では、第34条の3が保安に関する計画の作成を求める条にあたります。
自分の建物がある市町村の条例を手元に置くところから始めてください。

消防法の条文だけ読んでいても出てこないわけですね。

火災予防条例は市町村ごとに定めるものです。
同じ品名でも扱いが違うことがあるので必ず自分の市町村の条文を見てください。

どの品名がどれだけあれば計画が要るのか

左に高く積んだ容器の載ったパレットと中央に少しだけ積んだパレットがあり右に目盛りの付いた柱が立っている
条文には数量のラインが書かれていますが、指定可燃物になるラインとは別の場所にあります。
まず条文をそのまま読んでみます。
東京都火災予防条例第三十四条の三 指定可燃物貯蔵取扱所において、別表第七で定める数量の百倍以上の再生資源燃料、可燃性固体類等、合成樹脂類又は自己発熱性物品等を貯蔵し、又は取り扱う者は、当該指定可燃物貯蔵取扱所における火災の危険要因を把握するとともに、当該危険要因に応じた保安に関する計画を作成し、前三条に定めるもののほか、火災予防上有効な措置を講じなければならない。
数量のラインは二つあります
一つ目は別表第七の数量そのもので、ここを超えると指定可燃物になり、貯蔵と取扱いの基準がかかります。
二つ目はその100倍で、ここを超えて初めて保安に関する計画の対象になります。
しかも条文が並べている品名は四つで、別表第七に載っている14の品名すべてではありません。
たとえば合成樹脂類は発泡させたものが20立方メートル、その他のものが3,000キログラムと定められていますから、その100倍が計画の要るラインになります。

紙くずや布も大量に置いていますがそちらは対象外ですか。

この条に挙がっていない品名でも指定可燃物の基準そのものはかかります。
どの品名にあたるかの判断まで含めて所轄消防署に確かめてください。

保安に関する計画には何を書けばよいのか

左に虫めがねと中央に開いたバインダーと右に盾が台の上に並び矢印で左から右へつながっている
条文は計画の様式までは書いていませんが、何を材料にするかは書いています。
手がかりは同じ章に並んでいる技術上の基準のほうにあります。
東京都火災予防条例第三十三条第三項 指定可燃物貯蔵取扱所において可燃性固体類等以外の指定可燃物(以下「綿花類等」という。)を貯蔵し、又は取り扱う場合は、(略)次に掲げる技術上の基準によらなければならない。 一 綿花類等の指定可燃物貯蔵取扱所においては、みだりに火気を使用しないこと。 (略) 五 綿花類等を集積する場合には、高さ六メートルを超えて集積しないこと。(略) 七 自己発熱性物品等を貯蔵する場合は、当該物品の性質に応じて、水分、温度、可燃性ガス濃度等を適切に管理すること。
条文が求めている行為は三つです
一つ目は指定可燃物貯蔵取扱所における火災の危険要因を把握すること、二つ目はその危険要因に応じた保安に関する計画を作成することです。
三つ目は前三条に定めるもののほか、火災予防上有効な措置を講じることです。
前三条には集積の高さや自己発熱性物品等の水分と温度の管理といった基準が並んでいますから、計画はそこに並んだ基準を自分の現場にあてはめて埋めるものになります。
どの棚のどの品名にどんな危険要因があるかを書き出すところから手を付けてください。

危険要因を先に洗い出してから計画を書くという順番なんですね。

条文の順序がそのまま作業の順序になっています。
把握のない計画は条文の求めを満たしたことになりません。

実務で見落としやすいのはどこか

左に引き出しの中にとじたバインダーが入った棚があり右に封筒とバインダーを並べたカウンターがある
計画を作って社内の棚にしまえば終わり、と考えてしまうのがいちばん多い落とし穴です。
条例は計画の行き先まで書いています。
東京都火災予防条例第五十八条第二項 前項の規定による届出には、少量危険物貯蔵取扱所又は指定可燃物貯蔵取扱所の位置、構造及び設備並びに第三十四条の三に規定する保安に関する計画(同条に該当する者が届け出る場合に限る。)を記載した図書その他の規則で定める図書を添付しなければならない。
作って置いておくだけでは終わりません
同条第一項は指定可燃物貯蔵取扱所を設置しようとする者に、設置をしようとする日の10日前までの届出を求めています。
第二項はその届出に添える図書として、位置と構造と設備に加えて保安に関する計画を挙げています。
つまり計画は社内の文書であると同時に、届出の添付図書でもあります。
届出の内容を変えるときも同じ手続になりますから、扱う品名や数量が変わったときは計画のほうも合わせて見直してください。

棚にしまったままの計画が古いままかもしれません。

届出に添えた版と手元の版をまず見比べてください。
そこがずれていると現場の運用もずれています。

明日からなにを確認すればよいのか

左にバインダーを持った作業服の人と中央に開いたバインダーを置いた机があり右に倉庫を背にした作業服の人が立っている
立入検査で見られるのは積み方だけではありません。
条文は書類のほうにも手が届くように書かれています。
消防法第四条第一項 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員(略)にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。
見られるのは現場と書類の両方です
条文には検査のほかに資料の提出を命じ、報告を求めることができると書かれています。
保安に関する計画は届出の添付図書ですから、消防署の側にも控えが残ります。
手元の計画と届出に添えた計画が食い違っていないかを、まず突き合わせてください。
消防法第二条第四項 関係者とは、防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者をいう
関係者は所有者と管理者と占有者ですから、建物を借りて倉庫にしている場合も自分ごとになります。

借りている倉庫でも自分たちが数えるということですね。

条文の主語は貯蔵し又は取り扱う者です。
貸主と借主のどちらが届け出るのかを先に決めておいてください。

よくある質問

Q保安に関する計画は消防法に書かれた義務ですか?
A消防法第9条の4は指定可燃物の貯蔵及び取扱いの技術上の基準を市町村条例で定めるとしており、計画そのものを求める条は本体にありません。東京都火災予防条例では第34条の3がこれにあたります。
Q別表第七の品名なら何でも100倍で計画が要りますか?
A東京都火災予防条例第34条の3が挙げているのは再生資源燃料と可燃性固体類等と合成樹脂類と自己発熱性物品等の四つです。別表第七にはほかの品名も並んでいますので、自分の在庫がどれにあたるかは所轄消防署にご確認ください。
Q計画の様式や書式は決まっていますか?
A条文が書いているのは火災の危険要因を把握することと、その危険要因に応じた計画を作成することまでで、様式までは書かれていません。ただし届出に添える図書になりますので、書き方は所轄消防署にご確認ください。
Q計画を作るのは建物の持ち主ですか?
A条文の主語は貯蔵し又は取り扱う者で、建物の所有者とは書かれていません。建物を借りて倉庫として使っている場合は誰が届け出るのかを当事者どうしで決めたうえで、所轄消防署にご確認ください。

まとめ

指定可燃物の基準は消防法ではなく市町村の火災予防条例に置かれています
東京都火災予防条例では第34条の3が保安に関する計画を求める条です
対象は別表第七の数量の100倍以上を貯蔵し又は取り扱う者です
条文が挙げている品名は四つで別表第七の全部ではありません
求められているのは危険要因の把握と計画の作成と有効な措置の三つです
計画は第58条第2項により届出の添付図書になります
立入検査では資料の提出を求められることがあります

来週の棚卸しで品名ごとの数量を出して何倍にあたるかを数えます。
届出に添えた計画も引っ張り出して見比べます。

その突き合わせが次の立入検査の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第2条第4項・第4条第1項・第9条の4
  • 東京都火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)第33条・第34条の3・第58条・別表第七
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)
  • 東京都例規集データベース

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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