地震の特別措置法で地域の指定を受けたという通知が届いたとき、直すのは防火管理の消防計画だけだと考えていませんか。
消防法施行規則は防災管理に係る消防計画について、防火管理の規定をまとめて準用する形をとっています。
その準用の範囲に、強化地域や推進地域の追加事項を求める項がそのまま入っています。
この記事では準用と読替えの仕組みをたどって防災管理の側で何をすればよいのかを整理します。
推進地域に入っていると言われて防火管理の消防計画を直しました。
防災管理の消防計画はそのままでよいですか。
そこが落とし穴です。
防災管理の側にも同じ規定が準用されています。
防災管理の条文をいくら読んでも地域の話が出てきませんでした。
書いてあるのは防火管理の条文の側です。
防災管理の条文はそこを指して借りてくる読替えの形になっています。
- 防災管理に係る消防計画は防火管理の規定をまとめて準用する形で作られています
- 準用されるのは消防法施行規則第3条の第2項から第9項までです
- 強化地域と推進地域の追加事項を求める項もこの範囲に入っています
- 読替えによって対象は令第46条の建築物その他の工作物になります
- 指定の際に現にある建物は六月以内に定めるものとされています
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目次
防災管理に係る消防計画は防火管理の規定を借りているのか

記載事項を並べた第1項の次に、短い一項が置かれています。
第3条は防火管理に係る消防計画の条文で、第1項が記載事項、第2項以下に業務の一部委託や権原の範囲、そして地震の特別措置法にかかわる事項が並んでいます。
この第2項から第9項までが、そのまま防災管理に係る消防計画の話として読まれることになります。
つまり防災管理の条文だけを追いかけていると、準用の先にある内容が視界から抜け落ちます。第51条の8をコピーして配っている社内資料ほど、この抜けが起きやすいところです。
まずは自分の手元にある条文の写しに、第2項の準用の一文が入っているかを見てください。第1項の記載事項だけで終わっているなら、その資料は半分しか写していません。
社内の資料は記載事項の一覧だけを抜き出したものでした。
よくある形です。
準用の一文を足しておくだけで見落としがぐっと減ります。
準用されるのはどの建物のどの規定なのか

読替えの指示は第51条の8第2項の後半にまとめて書かれています。
第3条第4項が強化地域、第6項が南海トラフ地震の推進地域、第8項が日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の推進地域に対応する項です。
そこで名指しされていた対象が「令第一条の二第三項第一号」から「令第四十六条」へ置き換わり、防火対象物は建築物その他の工作物に、防火管理者は防災管理者に変わります。
令第46条は防災管理を要する建築物その他の工作物を定めた条文で、令第4条の2の4の防火対象物がこれに当たります。
その結果、条文の上では防災管理対象物で地域の指定を受けているものが、防災管理に係る消防計画の側でも追加事項の対象になります。自分の建物が防災管理対象物かどうかと、指定された地域の中にあるかどうかを、二つ並べて確かめてください。
建物が対象かどうかと地域が指定されているかどうかは別の話なのですね。
そのとおりです。
両方に当たってはじめて追加事項の話になります。
地域の指定を受けると消防計画に何が加わるのか

強化地域の場合がいちばん項目数が多くなります。
警戒宣言という予告のある地震を前提にしているので、自衛消防の組織・情報の伝達・避難誘導・応急対策・訓練・教育及び広報という並びになっています。
南海トラフ地震の推進地域なら第6項が、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の推進地域なら第8項が、それぞれ3つの事項を求めます。中身は津波からの円滑な避難の確保と、その地震に係る防災訓練の実施と、被害の発生の防止又は軽減のために必要な教育及び広報です。
どの項も対象となる施設を政令で絞っており、強化地域なら大規模地震対策特別措置法施行令第4条の第1号・第2号・第13号・第14号・第23号に規定する施設が名指しされています。
これらが準用によって、防災管理に係る消防計画の記載事項として読まれることになります。自分の建物がどの項に当たるのかを先に決めてから、条文の並びどおりに見出しを立てて書き足していくと漏れが出ません。
つまり地域によって足す項目の数が変わるということですね。
はい。
まずは自分がどの項に当たるのかを一つに絞ってから書き始めてください。
実務で見落としやすいのはどこか

最初は期限です。
第5項と第7項と第9項が同じ形で置かれていて、指定があった日から六月以内に定めるものとされています。準用のときはここの「防火管理者」が「防災管理者」に読み替わります。
二つ目は準用の範囲です。第51条の8第2項が借りているのは第3条の第2項から第9項までで、第10項と第11項は入っていません。訓練の回数は第51条の8第3項が避難訓練を年1回以上と別に定めており、事前の通報は第51条の8第4項が第3条第11項を準用しています。
三つ目は重なりです。条文はそれぞれの地域を別の項に分けて置いているので、複数の地域の指定に当たるならその項ごとに事項を定めることになります。
どれも防火管理の消防計画を直したときに一緒に処理してしまえば済む話ですが、担当者が別だと片方だけが残ります。両方の計画を並べて突き合わせるのがいちばん確実です。
うちは防火管理と防災管理で担当部署が分かれています。
まさに片方だけになりそうです。
そのときは指定の通知を両方の担当へ同時に回す決めごとにしてください。
入口をそろえるだけで取りこぼしが減ります。
明日からなにを確かめればよいのか

防災管理に係る消防計画は作成したときも変更したときも届出が必要です。
順番としては、まず自分の建物が令第46条の建築物その他の工作物に当たるかを確かめ、次に所在地が強化地域か推進地域に入っているかを自治体の公表資料で確かめます。
どちらにも当たるなら、該当する項の各号を防災管理に係る消防計画の見出しとして立て、管理権原者の指示を受けて中身を書きます。
そのうえで別記様式第一号の二の届出書を所轄消防長又は消防署長へ提出します。防火管理の消防計画を同時に直したのであれば、そちらの届出も忘れないでください。
書き方の粒度や様式の運用は地域によって異なることがあるので、着手の前に所轄消防署へ一度相談しておくと手戻りがありません。
まず地域の指定を公表資料で確かめるところから始めます。
その順番で正解です。
指定の有無がはっきりすれば、あとは条文の各号をなぞるだけになります。
よくある質問
まとめ
準用の一文をたどるだけで見える景色が変わりました。
次の見直しで両方の計画を並べてみます。
その一手間が取りこぼしを防ぎます。
消防計画の見直しでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条・第36条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第46条・第48条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条・第51条の8・第51条の9
- 大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)及び同法施行令(昭和53年政令第385号)第4条
- 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年法律第92号)及び同法施行令(平成15年政令第324号)第3条
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成16年法律第27号)及び同法施行令(平成17年政令第282号)第3条
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





