事務所の電気ストーブや休憩室のこんろは、据え付けたものではなく置いて使うものです。
消防法令はこうした持ち運べる器具にも決まりを置いていますが、その中身は据付の設備とはっきり違います。
違いは構造を求めるか、それとも使い方を求めるかにあります。
この記事では対象火気器具等にかかる決まりを条文から解説します。
立入検査で休憩室の電気ストーブの置き方を指摘されました。
買ってきた器具にまで決まりがあるのでしょうか。
あります。
令第5条の2という条が器具の側だけを受け持っています。
器具の構造がどこまで求められるのかを調べたいのですが。
どの条を読めばよいのでしょうか。
その条はありません。
器具の側には構造の号が一つも置かれていないのが答えです。
- 持ち運べる器具の決まりは消防法施行令第5条の2にまとまっています。
- 省令が器具のために置いている条は四か条だけです。
- 六つの号のうち四つが使用することという言葉で終わっています。
- 屋内で使うときは不燃性の床又は台の上で使います。
- 置きごたつの火入れ容器だけは金属以外の不燃材料で造った台とされています。
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目次
対象火気器具等とはどの器具を指すのか

入口は令の柱書きと、それを受けた省令の一条です。
気体燃料はカセットこんろやガスストーブ、液体燃料は石油ストーブ、固体燃料は炭や練炭を使うもの、そして電気を熱源とする器具が四つ目です。
ここで大事なのは、設備の側を定めた省令第3条が21種類の名前を並べているのに対し、器具の側は個別の名前を一つも出していないという点です。
名前で探す条文ではないので、事務所の電気ストーブも休憩室の電気ポットも、熱源が電気であればこの四つ目に入ります。
まずは持ち運べる火の器具をすべて対象として棚卸ししてください。
器具の名前が書いていないので範囲が広いのですね。
広く取ってあります。
設備のように名前を探す読み方は器具には通じません。
器具の基準はなぜ構造ではなく取扱いなのか

条文の末尾の言葉を見比べてください。
設備を定めた令第5条第1項には十一の号が並び、そのうち五つが設けることで、五つが構造とすることで終わっています。
一方の令第5条の2第1項は六つの号で、そのうち四つが使用することで終わっており、設けることも構造とすることも一度も出てきません。
省令の側でも同じことが起きていて、設備のためには第3条から第17条までの15か条が置かれているのに、器具のために置かれているのは第18条から第21条までの四か条だけです。
つまり器具は買ったときの造りではなく、置き方と使い方だけで見られるということになります。
器具を選ぶときに構造を調べなくてよいということでしょうか。
この条例制定基準の中では求められていません。
そのぶん日々の置き方がそのまま基準になります。
屋内で使うときはなにの上に置けばよいのか

その中身は省令の最後の条に書かれています。
設備を受け持つ省令第7条は、不燃性の床等を不燃材料のうち金属以外のもので造られた床若しくは台又は土間と定めており、原則から金属を外しています。
ところが器具を受け持つ省令第21条の本文は不燃性の床又は台とだけ定めていて、金属を外す言葉がありません。
金属を外しているのはただし書きの置きごたつの火入れ容器だけで、置きごたつも火入れ容器も省令の全体でこの条にしか出てきません。
土間が入っているのも設備の側だけなので、器具を土の上で使うときの扱いは条文からは読み取れず、所轄消防署に確認することになります。
つまり置きごたつのときだけ台の材料が厳しくなるのですね。
そこだけただし書きで分けられています。
器具の四か条でただし書きが置かれているのはこの一つだけです。
振動や衝撃の号で見落としやすいのはどこか

似ているようで、見ている先が違います。
第2号は可燃物が落下したり接触したりするおそれがなく、可燃性の蒸気やガスが滞留するおそれのない場所で使うことを求めており、器具の周りの空間の話です。
第3号は容易に転倒したり落下したりするおそれのない状態で使うことを求めており、器具そのものの据わりの話です。
もう一つの見落としが管理の号で、設備の第十一号にある必要な点検及び整備という言葉が、器具の第5号には入っていません。
点検の言葉が無いからといって放っておいてよいわけではなく、周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理は器具にも同じように求められています。
棚の下に置いたストーブは第2号のほうに引っかかるのでしょうか。
落ちてくるものがあるかどうかは場所の話です。
棚の上になにが載っているかまで見てください。
明日からなにを確認すればよいのか

確認の順番だけ決めておいてください。
建物の中で使っている火の器具と電気を熱源とする器具をすべて書き出し、そのうえで置いてある場所と据わり方を第2号と第3号の順に見ていきます。
屋内のものは足元が不燃性の床又は台かどうかを確かめ、置きごたつがあれば台の材料まで見てください。
最後に第5号の周囲の整理及び清掃を日々の点検表に一行足しておくと、次の立入検査で説明ができます。
なお実際に義務を課すのは市町村の火災予防条例なので、条番号や表現は自治体ごとに違うことがあります。
まず器具を数えるところからですね。
そこが一番抜けやすいところです。
持ち込みの私物の器具まで数えてください。
よくある質問
まとめ
さっそく休憩室の足元から見てきます!
場所と状態を分けて見る順番だけ守ってください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条・第5条の2
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第6条・第7条・第18条・第20条・第21条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





