建物を使いながら内装や設備の改修工事をする場面は珍しくありません。
工事の区画では溶接や溶断のように火を使う作業が入ることもあります。
このとき現場を見るのは工事業者だけでよいのか迷うところです。
消防法施行規則第3条第1項第一号ルは工事中の立会いと火気の監督を消防計画に定めるよう求めています。
来月からテナント区画の内装工事が始まります。
営業を続けながらの工事なので落ち着きません。
使いながらの工事は消防計画に定めておく項目があります。
工事の予定が決まった段階で内容を確かめておきましょう。
火を使う作業の管理は業者に任せておけばよいのでしょうか。
こちらが現場に出向く必要はありますか。
規則は建物の側に立会いを求めています。
防火管理者かその補助者が現場に立つ形になります。
- 消防法施行規則第3条第1項第一号ルは工事中の立会いと火気の使用の監督を消防計画の記載事項にしています。
- 対象になるのは増築と改築と移転と修繕と模様替えの工事です。
- 現場に立つのは防火管理者またはその補助者で立会いは監督の一つの形として書かれています。
- 新築の工事中の建築物は消防法施行令第1条の2第3項第二号の別の枠に入り記載事項も分けて定められています。
- 同じ工事中の建築物でも仮使用認定を受けた部分は元の枠に戻り立会いの事項が必要になります。
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目次
工事をしている間の火の管理はどこに定めるのか

その並びの中に工事中の建物に関する事項が入っています。
規則第3条第1項第一号は、消防法施行令第1条の2第3項第一号の防火対象物について、イからヲまでの事項を並べています。
その中のルが工事中の話で、立会いと火気の使用又は取扱いの監督を求めています。
つまり、工事の期間だけ別の計画を作るのではなく、ふだんの消防計画にあらかじめ書いておく形になります。
工事が決まってから慌てないよう、いま手元の消防計画にこの項目があるかを確かめておくと安心です。
工事のたびに計画を作り直すのかと思っていました。
もともと書いておく項目なのですね。
そのとおりです。
定めた中身を変えるときは所轄消防署への届出が必要になります。
どの工事が対象になるのか

そこに入っていないものは別の条文に置かれています。
規則第3条第1項第一号ルが挙げるのは、増築・改築・移転・修繕・模様替えの工事です。
ここに新築は入っていません。新築の工事中の建築物は令第1条の2第3項第二号という別の枠に置かれていて、規則第3条第1項第二号がその記載事項を定めているためです。
一方で、規則第3条第1項第一号は「令第1条の2第3項第二号に掲げる防火対象物(仮使用認定を受けたもの又はその部分に限る。)」も含むと書いています。
新築の工事中でも仮使用認定を受けて一部を使い始めた部分は、こちらの枠に入るという読み方になります。
うちは既存のビルの内装をやり直すだけです。
これは修繕か模様替えに当たりそうですね。
どの区分に当たるかは工事の内容で分かれます。
迷ったら図面を持って所轄消防署に相談してください。
立会いはだれがしてなにを見るのか

そして立会いは目的ではなく手段として置かれています。
規則第3条第1項第一号ルは「立会いその他火気の使用又は取扱いの監督に関すること」と書いています。
条文の書き方としては、立会いは火気の監督に含まれる一例という位置づけになります。
立つのは防火管理者またはその補助者ですが、補助者が誰を指すかは条文に定めがありません。
令第3条の2第4項が火元責任者その他の業務に従事する者への指示を求めているので、誰に立ち会わせて何を指示するのかを消防計画の中で決めておくことになります。
私が毎回現場に張り付くのは正直むずかしいです。
補助者を立てても構わないということでしょうか。
規則が補助者を認めているので立てて差し支えありません。
誰が立つのかを消防計画に名前や役職で書いておいてください。
防災管理の消防計画に工事中の事項がないのはなぜか

そちらの記載事項を並べると、工事中の項目が見当たりません。
規則第51条の8第1項はイからチまでの基本的な事項と、地震に関する事項と、そのほかの災害に関する事項を並べていますが、工事中の号はありません。
同条第2項が準用しているのも規則第3条の第2項から第9項までで、記載事項を定めた第1項は準用されていません。
防災管理が対象にする災害は消防法施行令第45条の地震や毒性物質の発散などで、火気の監督は火災の側の話だという整理と読めます。
とはいえ工事中に地震が起きる可能性は消えませんから、必要と判断したときは第一号チの必要な事項として書き足すことができます。
つまり防火の計画には必ず書いて、防災の計画は任意ということですね。
整理がつきました。
条文の並びとしてはそうなります。
工事の区画で足場や仮設物が倒れる想定は書いておくと役に立ちます。
明日からなにをすればよいのか

どちらも工事が始まる前に手を付けておくのが早道です。
まず手元の消防計画を開き、工事中の立会いと火気の監督に関する項目があるかを確かめてください。
項目が無ければ管理権原者の指示を受けて書き足し、変更の届出を所轄消防長または消防署長に出します。
次に、立ち会う人を役職で決め、火を使う作業の日程を工事業者から先に受け取る段取りを作ります。
総務省消防庁のガイドラインも工事中の安全対策を平常時の項目の一つとして挙げているので、工事の予定表と立会いの記録を同じ場所に綴じておくと点検のときに困りません。
工事業者から作業の日程をもらう流れを作っておきます。
立会いの記録も残すようにします。
その流れができれば当日の判断が楽になります。
記録は防火管理維持台帳に綴じておくと立入検査でも説明しやすくなります。
よくある質問
まとめ
手元の消防計画にルの項目があるか今日のうちに確かめます。
工事の前に段取りを作っておきます。
その順番なら変更の届出まで無理なく進められます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条第1項・第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2第3項・第3条の2・第45条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項・第51条の8第1項及び第2項
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年3月)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





