防災管理の消防計画は防火管理の消防計画と並べて作ることになります。
ところが避難施設のところだけ、2つの計画で言葉の並びが違います。
防火管理の側にある安全区画と防煙区画が、防災管理の側では姿を消しています。
消防法施行規則第51条の8第1項第一号ロは避難通路と避難口だけを名指しで挙げています。
防災管理の消防計画を作り直しているところです。
防火管理の計画を写せばよいと思っていました。
写すと余分な言葉が入ってしまう箇所があります。
避難施設のところは条文を突き合わせて確かめてください。
余分というのは、どの言葉のことでしょうか。
書きすぎて叱られることがあるのですか。
叱られはしませんが、条文の並びは知っておく価値があります。
安全区画と防煙区画が防災管理の側だけ抜けているのです。
- 消防法施行規則第51条の8第1項第一号ロは避難通路と避難口その他の避難施設の維持管理及びその案内を挙げています。
- 防火管理の側の同規則第3条第1項第一号ニには安全区画と防煙区画が並んでいます。
- 統括防災管理者が作る全体の計画でも同規則第51条の11の2が避難口だけに読み替えます。
- 書く欄から外れても消防法第8条の2の4の管理義務はそのまま残ります。
- 防災管理点検の基準にも避難上必要な施設と防火戸の管理が入っています。
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目次
防災管理の消防計画に定める避難施設とはどこを指すのか

そのうちの一つが避難施設に関する号です。
条文が挙げているのは避難通路と避難口で、あとは「その他の避難施設」でまとめて受けています。
では廊下や階段が外れるのかというと、そうではありません。
消防法施行令第48条の3第2項は統括防災管理者の業務として「廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理」と書いており、廊下と階段はここに入っています。
自分の建物の消防計画を開くときは、まずこの号に何が書いてあるかを確かめてみてください。
廊下や階段が条文に出てこないので不安でした。
令のほうに書いてあるのですね。
条文は上から順に読むと迷いが減ります。
計画には建物の実際の避難経路の名前で書いておくと使いやすくなります。
この記載事項はどの建物に求められるのか

対象になる建物は政令で決まっています。
令第4条の2の4は、地階を除く階数が11以上で延べ面積が1万平方メートル以上のもの、階数が5以上10以下で2万平方メートル以上のもの、階数が4以下で5万平方メートル以上のものを挙げています。
地下街は延べ面積が1,000平方メートル以上で対象になります。
この規模に当たる建物は同時に自衛消防組織を置く建物でもあるので、防火管理と防災管理の書類が同じ棚に並ぶことになります。
自分の建物が入るかどうかは、階数と延べ面積を先に確かめておくと話が早く進みます。
うちは階数も面積も基準に届いています。
だから両方の計画を求められていたのですね。
そのとおりです。
同じ建物で2つの計画を持つ前提で書き分けを考えていきましょう。
防火管理の消防計画とはどこの語句が違うのか

並べてみると差がはっきりします。
防火管理の側は避難通路と避難口に加えて安全区画と防煙区画を挙げ、防災管理の側はこの2語を挙げていません。
同じ差は建物全体の計画にも現れます。
統括防火管理者の計画を定めた規則第4条第1項第四号は「廊下、階段、避難口、安全区画、防煙区画その他の避難施設」と書いていますが、これを防災管理へ持ってくる規則第51条の11の2は「避難口、安全区画、防煙区画」を「避難口」と読み替えると明記しています。
条文には理由まで書かれていませんが、読替えの規定がわざわざ置かれている以上、これは書き忘れではなく意図された差だと分かります。
つまり本人の計画も全体の計画も、同じ2語が落ちているわけですね。
読替えの条文まで用意されているとは思いませんでした。
読替えの表は差を確かめる近道です。
統括の計画を作る立場なら一度は目を通しておいてください。
安全区画や防煙区画は管理しなくてよいのか

計画に書く欄が減ることと、管理しなくてよいことは別の話です。
この条文は管理権原者に対する義務で、防災管理の消防計画の記載事項とは別の場所に置かれています。
しかも規則第51条の14第五号は、防災管理点検の基準の一つとして「法第八条の二の四に規定する避難上必要な施設及び防火戸について、適切に管理されていること」を挙げています。
つまり防災管理点検のときにも、防火戸の前に物が積まれていないかは見られることになります。
さらに消防法第36条第2項は、防災管理者に防火管理者の行うべき業務も行わせると定めているので、防火管理の計画に書いたニ号の中身は同じ人が担うことになります。
書かなくてよいと聞いて安心しかけていました。
点検で見られるなら話が違います。
記載事項の話と義務の話は分けて考えてください。
現場のやることは防火管理のときと変わりません。
明日からなにを確かめればよいのか

どちらも同じ日のうちに手を付けられます。
まず防災管理の消防計画を開き、避難施設の号に避難通路と避難口が実際の名前で書かれているかを確かめてください。
次に防火管理の消防計画を開き、安全区画と防煙区画の維持管理がそちらに書かれているかを見ます。
そのうえで平面図を持って現地を歩き、防火戸の前と避難口の前に物が置かれていないかを写真で残しておきます。
記載事項が変わったときは管理権原者の指示を受けて書き直し、所轄消防長または消防署長へ変更の届出を出すところまでを一連の作業にしておくと抜けがなくなります。
2つの計画を並べて開くところから始めます。
そのあと平面図を持って歩いてみます。
その順番なら差がすぐ見つかります。
写真は防災管理維持台帳に綴じておくと点検のときに説明しやすくなります。
よくある質問
まとめ
2つの計画の避難施設の号を今日のうちに見比べます。
そのあと防火戸の前を歩いて確かめます。
その進め方なら変更の届出まで迷わず進められます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の4・第36条第1項及び第2項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第46条・第48条の3
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項・第4条第1項・第51条の8第1項・第51条の11の2・第51条の14
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





