駐車場や自動車の修理工場の天井には、フォームヘッドという専用の消火設備が備わっていることがあります。
ガソリンなど油の火災には水よりも泡のほうが効果的で、消防法施行規則が別立てで基準を定めています。
設置するときは天井のヘッドの数だけでなく、放射区域の広さや水源の水量まで条文で細かく決まっています。
この記事ではフォームヘッドを何平方メートルに1個設けるのかを、放射区域と水源水量の計算とあわせて解説します。
うちの立体駐車場、天井から変な機械がぶら下がってるんですけど、あれって何ですか。
あれはフォームヘッドという泡消火設備の一種ですね。
油の火災に効く専用の設備です。
普通のスプリンクラーじゃだめなんですか。
ガソリンなど油の火災には水よりも泡のほうが効果的で、消防法施行規則にも別立てで基準が決まっているんです。
- フォームヘッドは道路の用に供される部分、自動車の修理若しくは整備の用に供される部分又は駐車の用に供される部分に設けます(規則第18条第1項第二号)。
- 天井又は小屋裏に床面積9平方メートルにつき1個以上のヘッドを設けます。
- 放射区域の面積は道路の部分が80平方メートル以上160平方メートル以下、その他の部分が50平方メートル以上100平方メートル以下です。
- 水源水量は放射区域が最大となる区域のヘッドを同時に開放し10分間放射できる量です。
- 増床や間仕切りの変更でヘッドの数や放射区域が変わることがあるので、工事前に所轄消防署へ相談します。
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目次
駐車場の泡消火設備はなぜスプリンクラーではだめなのか

水をかけると油が飛び散って燃え広がるおそれがあるため、専用の消火設備が使われます。
できあがった泡の体積を、もとの泡水溶液の体積で割った値が膨脹比です。
低発泡を出す設備が泡ヘッドで、道路や駐車場などに使われるフォームヘッドもこの仲間です。
水は油の表面で弾かれて燃えている油を飛び散らせますが、泡は膜を張って空気を遮断するので油の火災に向いています。
まずは自分の建物のどこにこの設備があるかを確認しましょう。
油に水をかけると余計に燃え広がるって聞いたことがあります。
そのとおりです。
泡は油の表面を覆って空気を遮断するので、水とは仕組みが違うんですよ。
フォームヘッドはどんな場所に設けるのか

消防法施行規則が設置対象の場所を具体的に定めています。
条文はこの3つの用途を名指ししてフォームヘッドを使うと定めています。
指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う部分では、フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドとの選択になります。
航空機の格納庫のように別のヘッドを使う用途もあるので、まず自分の建物がどの用途に当たるかを確かめます。
用途が複数またがる建物では、部分ごとに設けるヘッドの種類が変わることもあります。
うちは立体駐車場と隣の整備工場、どっちにもフォームヘッドが要りますか。
駐車場も自動車の修理や整備をする部分も、どちらも規則で対象になっています。
フォームヘッドは何平方メートルに1個必要なのか

床面積に応じて必要な個数が決まっています。
天井又は小屋裏に取り付け、守るもののすべての表面が有効防護空間に入るように配置します。
指定可燃物の部分で使うフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドは、床面積8平方メートルにつき1個以上とやや密になります。
放射量にも決まりがあり、たん白泡消火薬剤なら床面積1平方メートルあたり毎分6.5リットルを放射できる能力が要ります。
図面上の間隔が広すぎないか、一度数えて確かめるとよいでしょう。
うちの駐車場、ヘッドの間隔が広い気がするんですが大丈夫でしょうか。
一度図面で床面積とヘッドの数を数えてみましょう。
基準を満たしているか確認できます。
放射区域の面積と水源水量はどう決まるのか

放射区域という単位で面積を区切り、そこから水源の水量を計算します。
道路の部分は80平方メートル以上160平方メートル以下、駐車場など他の部分は50平方メートル以上100平方メートル以下です。
水源の水量は、この放射区域が最大となる区域に設けたすべてのヘッドを同時に開放し、規定の放射量で10分間放射できる量として計算します。
放射区域を広く取るほど同時に開くヘッドが増え、必要な水源の水量も増えます。
消火薬剤の貯蔵量は、この水量に薬剤ごとの希釈容量濃度を掛けて求めます。
放射区域って何のために区切るんですか。
区域ごとにどれだけの泡水溶液が要るかを決めて、水源のタンクの大きさを計算するためです。
明日からなにを確認すればよいのか

明日からできる確認を整理します。
- 天井のフォームヘッドが床面積9平方メートルにつき1個以上あるか、図面で数える
- 棚や間仕切りを増設して放射区域の面積が変わっていないか確かめる
- 指定可燃物を貯蔵する部分ではフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドとの使い分けを確認する
- 増床や用途変更をするときは工事前に所轄消防署へ相談する
ヘッドの数と放射区域の面積は設計時の前提なので、増床や棚の増設で崩れていないかを見ます。
指定可燃物を扱う部分が増えていないかも合わせて確認します。
基準からずれていそうなときは、自分で判断せず所轄消防署や専門業者に相談します。
小さな変更でも、放射区域や水源水量の計算をやり直す必要が出ることがあります。
増床したときも見直しが要るんですね。
はい、床面積や間仕切りが変わるとヘッドの数も放射区域も変わることがあります。
よくある質問
まとめ
フォームヘッドの数と放射区域、今度うちの図面でも確認してみます。
ヘッドの数や放射区域が変わっていれば設計の見直しが要ることもあります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第18条第1項第二号
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第18条第2項第二号
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第18条第4項第五号
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





