自動車のディーラーやトラックの営業所には、車をリフトに載せて直したり点検したりする区画があります。
油やタイヤやウエスが集まる場所なので、火が出たときに水をかけるだけでは消しきれません。
消防法施行令はここを自動車の修理又は整備の用に供される部分と呼び、床面積が一定以上になると特別な消火設備を求めています。
その線は駐車場の基準と似ていますが同じではありません。
うちの営業所には車を上げて整備する区画があります。
あそこにも消防の設備の決まりがあるのでしょうか。
あります。
消防法施行令には自動車の修理又は整備の用に供される部分という区分があって、床面積で設備が決まります。
車を置いておくだけの駐車場と同じ扱いになるのですか。
広さの線も同じでしょうか。
同じところと違うところがあります。
床面積の線は近いのですが、選べる消火設備の並びが違います。
- 自動車の修理又は整備の用に供される部分は建物の用途ではなく部分で判定される
- 床面積が地階と2階以上の階で200平方メートル以上1階で500平方メートル以上になると対象になる
- 選べるのは泡と不活性ガスとハロゲン化物と粉末の四種類で水噴霧消火設備は下欄に並んでいない
- 駐車の行にある屋上部分や機械式の定めと同時に屋外に出ることができる構造の階の除外は修理の行に置かれていない
- 自動火災報知設備には修理や整備の部分を名指しした号が無く用途と延べ面積や階の一般の号で見る
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目次
自動車の修理や整備をする部分はなぜ別に見るのか

まず消防法施行令が何を求めているのかを確かめます。
第13条第1項は防火対象物又はその部分と書いているので、工場でも倉庫でも複合用途のビルでも同じ表で判断します。
表の上欄に当たる部分があれば、その部分に対して下欄に並ぶ設備のいずれかを設けることになります。
整備の区画が建物のごく一部であっても、そこだけを取り出して線を引くという読み方です。
まずは平面図で車を直す作業に使っている範囲を囲ってみてください。
建物ぜんぶが工場という届出になっています。
それでも整備の区画だけを別に見るのですか。
別に見ます。
条文が部分と書いているので、用途の区分とは切り離して読みます。
どの広さから特別な消火設備が必要になるのか

表の上欄をそのまま読んでみます。
地階と2階以上の階では200平方メートル以上、1階では500平方メートル以上が線になります。
地上の1階だけが緩く、地階と上の階は同じ広さでも早く対象になる並びです。
条文は床面積とだけ書いているので、車を直す作業に使っている範囲をどこまで含めるかは図面と実際の使い方で決まります。
階ごとに面積を出して、線を越える階があるかどうかを確かめてください。
地階のほうが線が低いのですね。
広さを出すときは階ごとに分けて数えます。
そのとおりです。
その階の中で床面積が線を越えるかどうかを見ます。
四つの消火設備からどれを選べばよいのか

本文が挙げている設備の数とは合いません。
消防法施行令第13条第1項の表(駐車の用に供される部分の下欄) 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
第13条第1項の本文は五種類を挙げていますが、修理や整備の部分の下欄には四種類しか並びません。
同じ表でも駐車の用に供される部分の下欄には水噴霧消火設備が並んでいるので、行ごとに選べるものが違うことが分かります。
理由までは条文に書かれていませんが、どれを入れるにしても下欄に並んでいるものから選ぶという決まりです。
すでに設備がある建物では、いま入っているものがこの四種類のどれに当たるのかを図面と点検票で確かめてください。
つまり修理の部分では水噴霧消火設備を選ばないということですね。
下欄に並んでいないのでそうなります。
駐車の部分とは別の行なので混ぜて読まないでください。
駐車場と同じつもりで読むとどこでつまずくのか

免除の読み替えも同じではありません。
消防法施行令第21条第1項第十三号 前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の地階又は二階以上の階のうち、駐車の用に供する部分の存する階(駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く。)で、当該部分の床面積が二百平方メートル以上のもの
第13条第2項がスプリンクラー設備で置き換えられるとしているのは指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分で、修理や整備の部分は入っていません。
自動火災報知設備のほうも、第21条第1項には道路と駐車と通信機器室の号はありますが、修理や整備の部分に名指しの号は置かれていません。
そのため自動火災報知設備は、用途と延べ面積や階を見る一般の号で判断することになります。
駐車場向けの資料をそのまま当てはめず、条文の行を一つずつ突き合わせてください。
スプリンクラーを入れれば消火設備は要らなくなると聞いたことがあります。
あれは別の話なのですね。
別の話です。
第13条第2項の読み替えは指定可燃物を扱う部分に向けたものです。
明日からなにを確認すればよいのか

面積を出したら次は所轄への相談です。
第32条は基準によらなくてよい場合を定めていますが、その判断をするのは建物側ではありません。
まず平面図で修理や整備に使っている範囲を階ごとに囲み、床面積を出します。
次に線を越える階があるかを見て、すでに設備がある場合は種別と点検の記録を並べます。
そのうえで所轄の消防署に図面を持って相談してください。
まず図面で範囲を囲って階ごとに面積を出します。
そのあとで署に相談に行きます。
その順番なら話が早く進みます。
いまの設備の点検票も一緒に持って行ってください。
よくある質問
まとめ
明日いちばんに図面で整備の区画を囲って床面積を出してみます。
そこまで出れば署との相談が早く進みます。
迷うところがあれば㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第13条第1項及び第2項・第21条第1項及び第3項・第32条
- 消防法施行令別表第一
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





