泡消火設備は、火災を感知すると自動で、あるいは人の操作で、薬剤混合装置と加圧送水装置とバルブを一斉に起動します。
ですが起動装置そのものにも、設置場所や防護のしかたまで消防法施行規則が細かく定めていることは意外と知られていません。
操作部を覆うカバーが壊れていたり、標識が剥がれていたりしても、見た目では異常に気づきにくいのが実情です。
起動装置がいつでも正しく動く状態にあるかを、条文の要件から確かめます。
うちの駐車場にある泡消火設備の赤い箱、普段はなにも気にしなくていいんでしょうか。
起動装置には設置場所や防護のしかたまで細かい基準があります。
順番に確認していきましょう。
ボタンのところに透明なカバーが付いてるのは見たことがあります。
あのカバーにも法令上の意味があります。
今日はそこまで含めて解説しますね。
- 起動装置は加圧送水装置と一斉開放弁と泡消火薬剤混合装置の3つを同時に起動します。
- 自動式は感知器の作動などと連動して起動します。
- 手動式の操作部は床面から0.8メートル以上1.5メートル以下の高さに設けます。
- 操作部には有機ガラス等による防護措置と標識が必要です。
- 高発泡を使う設備には泡の放出を止めるための装置も備えます。
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目次
泡消火設備の起動装置は何を動かすのか

その泡を作って送り出す最初のスイッチが起動装置です。
この3つが揃って初めて、配管を通った水と薬剤が混ざり合い、泡放出口から泡になって出ます。
どれか1つだけが動いても、泡消火設備としては機能しません。
だからこそ起動装置には、加圧送水装置・一斉開放弁・泡消火薬剤混合装置のすべてを確実に動かす構造が求められています。
次の項目から、自動式と手動式それぞれの要件を見ていきます。
起動って、ポンプが動くだけじゃないんですか。
泡を作る薬剤混合装置も同時に動く仕組みです。
3つセットで覚えておくと分かりやすいです。
自動式の起動装置はなにと連動していればよいのか

なにと連動していれば要件を満たすのかが定められています。
具体的には、自動火災報知設備の感知器の作動、閉鎖型スプリンクラーヘッドの開放、火災感知用ヘッドの作動や開放のいずれかがきっかけになります。
ただし、自動火災報知設備の受信機が防災センター等に設けられ、総合操作盤もあり、火災時に直ちに手動式の起動装置で起動できる場合は、自動式を設けなくてもよいとされています。
この場合でも、手動起動がすぐできる状態であることが前提になります。
自分の建物がどちらの扱いになっているかは、点検業者に確認しておくと安心です。
うちは自動火災報知設備の受信機が守衛室にあります。
それなら自動式を省略できる条件に当てはまるかもしれません。
手動起動がすぐできる状態かをあわせて確認しましょう。
手動式の起動装置はどこにどう設ければよいのか

どこに、どんな形で設けるかが条文で決まっています。
放射区域が2つ以上ある泡消火設備では、区域を選んで起動できることも求められます。
操作部は、火災のときすぐに近づける場所で、床面からの高さが0.8メートル以上1.5メートル以下の範囲に設けます。
低い位置に隠れていたり、高すぎて手が届かなかったりすると、この高さの基準を満たしません。
建物の見取り図で操作部の位置を確認しておくと、いざというとき迷わずに済みます。
操作ボタンの高さって決まってるんですね。
床から0.8メートルから1.5メートルの範囲です。
低すぎても高すぎても基準を外れます。
起動装置の操作部はなぜ覆われていなければならないのか

条文はその工夫を具体的に定めています。
いたずらや誤操作でボタンが押されてしまわないようにするためです。
あわせて、操作部とホース接続口のそばには、それぞれの位置を示す標識を設けることも必要です。
カバーが割れていたり、標識が剥がれて読めなくなっていたりすると、この防護措置の基準から外れます。
見た目では気づきにくいので、点検のたびに手で触れて確認するのが確実です。
カバーが割れたままの箱を見た気がします。
それは防護措置が効いていない状態です。
次の点検で必ず指摘してもらってください。
点検で起動装置のほかになにを確認すればよいのか

点検ではここまで確認します。
非常電源は、屋内消火栓などと同じ基準で備えることが定められています。
高発泡用の泡放出口を使う設備には、泡の放出を止めるための装置を別に設けることも必要です。
止める手段がないと、泡が必要以上に広がり続けてしまいます。
起動装置・非常電源・停止装置の3点を、点検表にまとめてチェックしておくと漏れがありません。
点検のときは起動装置だけ見ればいいんですか。
非常電源と泡を止める装置もあわせて確認します。
点検表に3点セットで書いておくと漏れません。
よくある質問
まとめ
起動装置の仕組みがよく分かりました!
泡消火設備の点検はまとめて任せることもできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第18条第4項第10号(起動装置)
- 消防法施行規則第18条第4項第11号・第13号(停止装置・非常電源)
- 消防法施行規則第12条第1項第4号(非常電源の設置基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





