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防災管理者はどこまで自分の判断で進めてよいのか|指示を求める場面と誠実義務を統括防災管理者と比べて解説

防災管理者はどこまで自分の判断で進めてよいのか権原者への相談の場面と誠実義務を統括防災管理者と比べて解説する記事のアイキャッチ画像

防災管理者は消防計画を作ったあとも、その計画に基づいて日々の業務を進める役割を担います。
現場で判断に迷う場面は少なくなく、どこまで自分で決めてよいのか気になる方もいるはずです。
実は消防法施行令が定める防災管理者の義務には、権原者に相談すべき場面と誠実に遂行すべき中身の両方が含まれています。
この記事では権原者への相談の場面と誠実義務の中身を、統括防災管理者の規定と比べながら整理します。

防災管理の消防計画は作ったのですが。
そのあと自分の判断だけで進めてよいのか迷うことがあります。

その迷いは実はもっともです。
消防法施行令には権原者に相談すべき場面と誠実に職務を行うべきことが定められています。

統括防災管理者という立場もあると聞きましたが。
自分の義務とは何が違うのでしょうか。

良い質問です。
条文の形は同じでも、業務の範囲が単独の建物か建物全体かで変わります。

この記事の結論
  • 防災管理者は消防計画に基づいて業務を行うとき、消防法施行令第48条第3項の義務を負います。
  • 義務の中身は必要に応じて権原者の指示を求めることと、誠実に職務を遂行することの2つです。
  • 指示を求めるかどうかは業務の内容ごとに判断します。
  • 統括防災管理者にも同じ形の義務がありますが、業務の範囲が建物全体に広がる点が異なります。
  • 条文の文言を確認しておけば、相談すべき場面を判断しやすくなります。

防災管理者の誠実義務を消防計画に基づく業務相談誠実な遂行単独か全体かの範囲の4つのステップで示した図解

防災管理者の消防計画に基づく業務にはどんな義務が伴うのか

机に開かれた消防計画のバインダーの隣で避難経路の案内板を持つ人物が立っている様子
消防計画は作って終わりではありません。
計画に基づいて実際に業務を行うところまでが防災管理者の役割です。
消防法施行令第48条第1項 防災管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防災管理対象物についての防災管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
第2項 防災管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防災管理対象物について避難の訓練の実施その他防災管理上必要な業務を行わなければならない。
消防計画は作った時点ではまだ紙の上の予定です。
第1項が計画の作成と届出を定め、第2項が計画に基づいて避難訓練の実施その他必要な業務を行うことを定めています。
つまり防災管理者の義務は計画を作ること計画どおりに動くことの2段構えです。
現場で判断に迷う場面が出てくるのは、この「動く」段階に入ってからです。
次の項で、その判断のどこまでを自分で決めてよいのかを見ていきます。

計画を作るところまでは分かっていたのですが。
そのあと自分が何をすべきかは意識していませんでした。

訓練の実施なども防災管理者自身の業務です。
計画を機能させる段階まで含めて考えてみてください。

権原者の指示を求めるのはどんな場面か

デスクを挟んで防災管理者らしき人物が権原者に相談している様子
義務の中身の1つが権原者への相談です。
条文は相談すべき場面をどう書いているのでしょうか。
消防法施行令第48条第3項 防災管理者は、防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防災管理対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。
条文が定めるのは「必要に応じて」という判断です。
すべての業務についていちいち権原者の指示を仰ぐ必要はありません。
一方で設備の更新や予算が絡む判断など、防災管理者だけでは決められない事項も現場にはあります。
条文はその線引きを防災管理者自身の判断に委ねる形になっています。
迷ったときほど、早めに権原者へ相談する姿勢が実務では安全です。

どこまでが自分の判断で、どこからが相談なのか。
境目がはっきりしなくて悩みます。

予算や設備が絡む判断は早めに相談したほうが安全です。
迷った時点で相談する、と決めておくと実務が楽になります。

誠実に職務を遂行するとは何を求めているのか

チェックリストを確認する人物の横に点検済みの書類の束がある様子
条文にはもう1つ「誠実に職務を遂行する」という言葉があります。
これは相談すべき場面とは別の、業務の進め方そのものを問う言葉です。
消防法施行令第48条第3項 防災管理者は、防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防災管理対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない
誠実に行うとは決められた手順を省かないことです。
点検や訓練の記録を残す、期限を守るといった当たり前の積み重ねが条文の求める誠実さです。
形式だけ整えて中身を伴わない対応は、この義務に反する可能性があります。
特別な資格や技能を求めているわけではなく、日々の業務を丁寧に積み重ねる姿勢そのものが問われています。
記録を残しておくことは、あとから誠実に遂行したことを示す材料にもなります。

誠実にと言われても、具体的に何をすればいいのか。
ふわっとしていて分かりにくいです。

特別なことではなく、記録を残す、期限を守るという積み重ねです。
形だけでなく中身を伴わせることを意識してみてください。

統括防災管理者の誠実義務とはどう違うのか

単独の小さいビルと複数フロアからなる大きなビルが並んでいる様子
大きな建物では統括防災管理者という立場も置かれます。
同じ「誠実義務」という言葉が、統括防災管理者側の条文にも出てきます。
消防法施行令第48条の3第3項 統括防災管理者は、防災管理対象物の全体についての防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防災管理対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない
条文の形は防災管理者の規定とほぼ同じです。
第48条第3項と第48条の3第3項は、指示を求める姿勢と誠実に職務を遂行することを同じ言い回しで求めています。
違うのは業務の範囲で、防災管理者は自分の権原の及ぶ部分、統括防災管理者は建物全体についての業務を担います。
テナントが複数入る建物では、この範囲の違いが実務の連絡調整の量に直結します。
自分がどちらの立場で消防計画に関わっているのかを、まず確認しておく必要があります。

統括の方は建物全体を見る立場だと分かりましたが。
自分の義務と重なる部分はあるのでしょうか。

誠実に遂行するという言葉自体は共通しています。
違うのは担当する範囲だけだと考えると整理しやすいです。

明日からなにを確認すればよいのか

消防計画のバインダーを持つ人物の横にチェックリストの掲示板とカレンダーがある様子
条文の中身を確認したところで、実務に落とし込みます。
明日から確認できることは3つです。
消防法施行令第48条第1項 防災管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防災管理対象物についての防災管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない
明日からできることは大きく3つです。
1つ目は、消防計画の内容が実際の運用と食い違っていないかを見直すことです。
2つ目は、権原者に相談すべき事項をあらかじめ整理しておくことです。
3つ目は、点検や訓練の記録を残す誠実な業務の証拠を積み重ねることです。
この3つを意識するだけで、判断に迷う場面は大きく減らせます。

相談すべき場面をあらかじめ整理しておく、というのは。
今日からでもできそうです。

記録を積み重ねることも誠実義務を示す材料になります。
できるところから始めてみてください。

よくある質問

Q権原者に相談しなかった場合はただちに義務違反になりますか?
A条文は「必要に応じて」相談することを求めており、すべての業務について事前相談を義務づけているわけではありません。ただし予算や設備が絡む判断まで独断で進めた場合は、誠実義務との関係で問題になり得ます。
Q誠実義務に違反すると罰則はありますか?
A消防法施行令第48条第3項そのものに罰則はありません。ただし業務を怠った結果として避難訓練や点検が実施されていない状態になれば、別の規定に基づく指導の対象になり得ます。
Q統括防災管理者がいる建物では、テナント側の防災管理者の誠実義務は無くなりますか?
A無くなりません。テナント側の防災管理者にも自分の権原の範囲について同じ義務が課されており、統括防災管理者の存在はこの義務を免除するものではありません。
Q誠実に職務を遂行したことは、どうやって示せますか?
A決まった書式はありませんが、点検や訓練の実施記録、権原者への相談の記録を残しておくことが実務上の備えになります。

まとめ

防災管理者は消防計画に基づいて業務を行うとき、消防法施行令第48条第3項の義務を負う
義務の中身は権原者への相談と誠実な職務遂行の2つ
相談が必要かどうかは業務の内容ごとに判断する
誠実に行うとは記録を残し期限を守る積み重ねのこと
統括防災管理者にも同じ形の誠実義務がある
違うのは業務の範囲が単独か建物全体かという点
明日からは相談事項の整理と記録の積み重ねを始める

権原者への相談のタイミングと日々の記録の大切さがよく分かりました!

判断に迷ったときはいつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第36条
  • 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第48条・第48条の3
  • 消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第51条の8

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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