小荷物専用昇降機にも建築基準法施行令で定められた構造基準があります。
人が乗れないほど小さな昇降機ですが、昇降路の防火には別の基準が適用されます。
施錠装置や戸の連動を見落とすと、思わぬ事故につながります。
この記事では第129条の13が定める小荷物専用昇降機の構造基準と、防火管理者が確認すべき点を条文にそって解説します。
厨房の配膳用に小さい昇降機を入れようと思うんですが、防火の基準ってあるんでしょうか。
普通のエレベーターとは違いますよね。
はい、建築基準法施行令第129条の13が小荷物専用昇降機の構造基準を定めています。
人が乗らないので、規制も緩いのかと思っていました。
壁や戸の材料、施錠装置まで細かく決まっています。
まずは対象になる大きさから見ていきましょう。
- 小荷物専用昇降機は建築基準法施行令第129条の13により、昇降路や戸について専用の構造基準が定められています。
- 対象になるのは、かごの水平投影面積が1平方メートル以下で天井の高さが1.2メートル以下の昇降機です。
- 昇降路の壁や囲い、戸は昇降路外の人や物が触れないよう国土交通大臣が定める基準に適合させ、難燃材料で造る必要があります。
- 昇降路のすべての戸が閉じたあとでなければ、かごを昇降させることはできません。
- 戸には、かごがその位置に無いとき鍵がなければ外から開けられない装置(施錠装置)を設ける必要があります。
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目次
小荷物専用昇降機とは何を指すのか

小荷物専用昇降機は、人が乗れない小さな昇降機として区別されています。
配膳用や書類搬送用の小さな昇降機は、かごの水平投影面積が1平方メートル以下、天井の高さが1.2メートル以下であれば小荷物専用昇降機に区分されます。
この基準を超えると、人が乗れるエレベーターとしての構造基準が適用されます。
小荷物専用昇降機には第129条の13という専用の条文があり、エレベーター本体の規定とは別に防火上の基準が定められています。
まず自分の建物の昇降機がどちらに当たるかを確認しておく必要があります。
大きさで区分が変わるとは知りませんでした。
はい、面積と高さの両方で判定します。
次は昇降路そのものの基準を見ていきましょう。
昇降路にはどんな防火の仕組みが必要なのか

まず壁や戸そのものの決まりを確認します。
第129条の13第一号は、昇降路の外にいる人や物がかごや釣合おもりに触れるおそれがないよう、壁や囲い、戸を設けることを求めています。
配膳用の小さな昇降機でも、昇降路がむき出しのままでは設置できません。
壁や戸の具体的な仕様は国土交通大臣が定める基準に適合させる必要があります。
自分の建物の小荷物専用昇降機が、この壁や戸で区画されているかをまず確認してください。
うちの昇降機、壁も戸も特に意識していませんでした。
触れるおそれがない構造かどうかがポイントです。
次は戸の材料の基準を見ていきましょう。
昇降路の戸はどんな材料でいつ動くのか

ここを見落とすと、火が燃え広がる経路になりかねません。
第129条の13第二号は、昇降路の壁や囲い、戸を難燃材料で造るか覆うことを求めており、昇降路が延焼の通り道にならないようにしています。
第三号は、すべての出入り口の戸が閉じたあとでなければかごを昇降させてはならないと定めています。
戸が開いたまま動く構造は、この時点で条文違反になります。
ただし地階や3階以上に居室のない建築物では、この材料基準が緩和される場合があります。
戸が開いたままでも動くのかと思っていました。
いいえ、必ず全部閉じてからです。
次は施錠装置を見ていきましょう。
施錠装置はいつ必要になるのか

かごが無いときに外から不用意に開かないための仕組みも必要です。
第129条の13第四号は、かごがその戸の位置に停止していないとき、鍵を用いなければ外から開くことができない装置を設けることを求めています。
かごが無い状態で戸が開いてしまうと、人がそのまま昇降路に転落する危険があるためです。
ただし出入り口の下端が床面より高い場合は、この施錠装置は不要とされています。
配膳用のように腰の高さに開口があるものは、この例外に当たることがあります。
うちの戸に鍵が付いていたか、思い出せません。
床より高い位置の開口なら例外の場合もあります。
まず現物を確認しましょう。
防火管理者は明日から何を確認すればよいのか

防火管理者ができるのは、その状態が保たれているかの確認です。
第146条第二号により、小荷物専用昇降機は建築基準法上の確認や検査を要する建築設備に指定されています(出入り口が床面より高い場合等を除く)。
新しく設置したり、既存の開口を改造したりするときは、この確認手続きが必要になります。
防火管理者はまず、自分の建物の小荷物専用昇降機に確認済証や検査記録が残っているかを確認してください。
そのうえで、戸の施錠装置が壊れていないか、日常点検で確かめておく必要があります。
確認済証、探してみます。
施錠装置は日常点検の対象に加えてください。
次は要点をまとめて確認しましょう。
よくある質問
まとめ
確認済証と施錠装置、両方チェックしてみます!
昇降路の防火区画まで含めてご相談いただけます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の3・第129条の13・第146条
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第87条の4
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





