危険物を保管する倉庫や工場では、日々の置き方や扱い方まで消防法で細かく決められています。
「まだ改善命令が来ていないから大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。
実は貯蔵や取扱いの基準は、命令を経なくても違反した時点で罰則の対象になります。
この記事では、消防法第10条第3項が定める貯蔵・取扱いの基準と、第43条が定める罰則の仕組みを、実際の条文にもとづいて解説します。
うちは危険物の倉庫がありますが、消防からまだ何も言われたことがありません。
これって大丈夫ということですよね。
いいえ、そうとは限りません。
命令が無くても、基準違反そのものが罰則の対象になることがあります。
え、命令を受ける前にいきなり罰せられるんですか。
はい、消防法第43条は基準違反そのものを罰する条文です。
命令を待つ必要はありません。
- 消防法第10条第3項は、危険物の貯蔵・取扱いの技術上の基準を政令に委任しています
- この基準に違反すると、是正命令を経なくても第43条により直接処罰されます
- 貯蔵所には危険物以外の物品を置かないことや、類の異なる危険物を同じ室に置かないことが定められています
- 容器の積み重ね高さや貯蔵温度(55度以下)にも具体的な基準があります
- 違反すると3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処せられます
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目次
貯蔵・取扱いの基準に違反すると、命令を待たずに罰せられるのか

「まず注意や命令があるはず」と考えていると、実務では前提が違います。
位置や構造・設備の基準(第10条第4項)は、まず修理や改造を命じる命令を経てから罰則につながる仕組みですが、貯蔵・取扱いの基準は違反そのものが直罰の対象です。
現場で日々の置き方や扱い方を誤ると、それだけで刑事罰の対象になり得るということです。
「まだ何も言われていない」ことは、基準を満たしている証明にはなりません。
命令も無いのに、いきなり罰せられることがあるんですか。
はい、貯蔵・取扱いの基準は違反そのものが罰則の対象です。
命令を待つ規定ではありません。
貯蔵所ではどんな物を一緒に置いてはいけないのか

実はこれも基準違反にあたります。
段ボールや清掃道具のような一見無害な物でも、危険物以外の物品として基準違反になり得ます。
さらに、消防法別表第一の類を異にする危険物を同じ貯蔵所(または同じ室)に置くことも原則として禁止されています。
総務省令で例外が定められている場合を除き、この2つは貯蔵所の管理でまず確認すべき点です。
うちの倉庫、危険物の横に掃除道具とか置いちゃってるかもしれません。
それは危険物以外の物品にあたり、基準違反になります。
早めに分けて置いてください。
屋内貯蔵所での容器の積み方や温度管理には何が求められるのか

温度の管理も、基準の対象です。
高さは総務省令で危険物の種類ごとに定められており、むやみに積み上げることは基準違反になります。
温度は容器内の危険物が55度を超えないよう、温度計等で管理することが求められます。
タンクの計量口や元弁も、出し入れのとき以外は閉じておくことが同じ条文の中で定められています。
段ボールみたいに積み重ねてしまっていました。
高さの上限、確認します。
はい、温度計による確認とあわせて、日常点検に組み込んでおくと安心です。
「基準に違反しているだけ」でも摘発されることがあるのか

これに対して、貯蔵・取扱いの基準は仕組みが異なります。
第43条の罰則は命令の発出を要件としていませんので、違反の事実だけで摘発・処罰される可能性があります。
「命令が来てから対応すればよい」という考え方は、貯蔵・取扱いの基準には当てはまりません。
日頃から基準を満たしているかどうかを、自主的に確認しておく姿勢が欠かせません。
命令が来ないと安心していました。
考え方を改めないといけませんね。
そうですね、日常点検で先回りして確認しておくことが一番の対策です。
明日から貯蔵所で何を確認すればよいのか

防火管理者として、次の点を確認しておきましょう。 基準を満たしているかどうかは、自分たちの点検で先に把握できます。
以下のポイントを、日常点検の項目にあわせて確認しておきましょう。
- 貯蔵所の中に危険物以外の物品(清掃道具や空き箱など)を置いていないか
- 類の異なる危険物を同じ貯蔵所や同じ室に置いていないか
- 容器の積み重ね高さが、定められた高さを超えていないか
- 温度計等で危険物の温度を確認し、55度を超えないよう管理できているか
- タンクの計量口や元弁を、出し入れのとき以外は閉じているか
今日の点検から、このポイントを確認してみます。
それがいいですね、日々の積み重ねが、いざというときの安心につながります。
よくある質問
まとめ
命令が無くても罰せられる仕組みが、これでよく分かりました。
日々の点検は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第10条(貯蔵・取扱いの基準)
- 危険物の規制に関する政令第24条・第26条(貯蔵の基準)
- 消防法第11条の5(基準適合命令)
- 消防法第43条(罰則)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





