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防炎物品に紛らわしい表示を付けるとどうなるのか|消防法第8条の3が禁じる行為と両罰規定を解説

防炎表示の無断掲示を禁じる消防法第8条の3と両罰規定を解説する記事のアイキャッチ画像

ホテルの宴会場や劇場のカーテンに、防炎性能を示す小さなタグが縫い付けられているのを見たことがある方は多いはずです。
このタグは誰でも自由に付けてよいものではなく、消防法が掲げてよい場合を厳密に区切っています。
正規の手続きを経ずに似たようなタグを付けたり、紛らわしい表示を掲げたりする行為には、はっきりと罰則が定められています。
この記事では防炎表示の無断掲示を禁じる条文と、法人まで罰せられる仕組みを確認します

うちの施設でカーテンを新調したとき、業者から防炎タグは自分たちで用意すると言われたのですが、あれは誰が付けてもよいものなのでしょうか。

実は防炎タグは誰でも付けてよいものではなく、無断で付けると罰則の対象になることがあります。
順番に確認しましょう。

タグを付けるだけの話だと思っていたので、そこまで厳しい規制があるとは知りませんでした。

いいえ、条文に明記された禁止行為です。
まずは根拠となる条文から見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防炎対象物品に、正規の手続きによらない表示や紛らわしい表示を付けることは消防法で禁止されています
  • 違反すると消防法第44条第3号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
  • 表示のない防炎対象物品は、防炎物品として販売したり陳列したりすることも認められません
  • 建物の関係者が生地から防炎対象物品を作らせたときは、その旨を明らかにしておく義務があります
  • 紛らわしい表示の禁止違反は両罰規定の対象で、行為者だけでなく法人にも罰金刑が科されます

防炎マークの無断表示が禁止され個人にも法人にも罰則が科される仕組みを示した図解

防炎物品に紛らわしい表示を付けるとどうなるのか

防炎タグを無断で付ける行為が禁止されていることを示すイメージ
防炎性能を示す表示は、条文が定めた手続きを経たものだけが掲げられます。
その前提が崩れたときにどんな扱いになるのか、まず条文を確認します。
消防法第8条の3第3項 何人も、防炎対象物品又はその材料に、前項の規定により表示を付する場合及び産業標準化法(略)その他政令で定める法律の規定により防炎対象物品又はその材料の防炎性能に関する表示で総務省令で定めるもの(略)を付する場合を除くほか、前項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない
正規の手続きによらない表示や紛らわしい表示は、はっきりと禁止されています
消防法第8条の3第2項は、防炎性能が確認された物品にだけ表示を付けることを認めており、それ以外の者が似たようなタグを付ける行為はこの禁止に触れます。
違反すると消防法第44条第3号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。
「紛らわしい表示」には偽物を新しく付ける場合だけでなく、性能を失った物品に古い表示を残したまま使い続ける場合も含まれると読めます。
では、この禁止はどのような要件のもとで成り立っているのか、次に確認します。

防炎タグって、業者が適当に縫い付けているだけだと思っていました。

いいえ、条文に明記された禁止行為です。
次は誰にどんな表示が禁止されているのか見ていきましょう。

何人にどんな表示が禁止されているのか

正規の防炎表示が付いた生地と無地の生地を並べて示したイメージ
「何人も」という書き方から、この禁止が及ぶ範囲を確認します。
条文が認めている例外も合わせて見ていきます。
消防法第8条の3第2項 防炎対象物品又はその材料で前項の防炎性能を有するもの(略)には、総務省令で定めるところにより、前項の防炎性能を有するものである旨の表示を付することができる
表示を付けてよいのは、防炎性能が確認された物品だけです
第8条の3第3項の「何人も」は建物の関係者や施工業者に限らず誰であっても対象になる書き方で、業として扱う人だけの規制ではありません。
例外として認められているのは、この第2項の表示と、産業標準化法など政令で定める法律に基づく「指定表示」だけです。
つまり自作のタグやシールを貼る行為は、その内容が事実であっても例外に当たりません
この禁止に違反すると誰がどんな罰を受けるのか、次に確認します。

自分たちで似たようなシールを作って貼るのは、さすがに駄目ですよね。

はい、内容が事実でも例外には当たりません
続いて罰則の中身を確認しましょう。

違反すると誰がどんな罰を受けるのか

個人と法人の両方が天秤に乗り罰則を受けることを示すイメージ
紛らわしい表示の禁止に違反すると、行為者本人だけが罰せられるわけではありません。
両罰規定の条文を確認します。
消防法第45条第3号 (略)前条第一号、第三号、第十一号、第十二号若しくは第二十二号 各本条の罰金刑
紛らわしい表示の禁止違反は、両罰規定の対象条文に含まれています
前条=第44条のうち第3号(紛らわしい表示)がこの一覧に名前を挙げられているため、行為者を罰するほか、その業務に関し違反があった法人にも同額の罰金刑が科されます。
両罰規定の対象になるのは第44条の全ての号ではなく、一号・三号・十一号・十二号・二十二号の5つに限られます
「タグを付けたのは現場の担当者だから会社は関係ない」という理屈は通らない、という点を押さえておく必要があります。
続いて、表示のない防炎対象物品そのものがどう扱われるのかを確認します。

タグを付けたのは業者なのに、うちの会社まで罰せられるんですか。

はい、両罰規定の対象になっています。
次は表示のない物品の扱いを見てみましょう。

表示のない防炎物品はどう扱われるのか

タグ付きの生地から関係者が記録を付けながらカーテンを作る様子を示すイメージ
表示そのものの話とは別に、表示のない物品の扱いにも条文上の制限があります。
販売する側と、建物で使う側、それぞれの規定を確認します。
消防法第8条の3第4項 防炎対象物品又はその材料は、第二項の表示又は指定表示が付されているものでなければ、防炎物品として販売し、又は販売のために陳列してはならない
表示のない生地は、防炎物品として売ることも並べることも認められていません
これは仕入れ側だけでなく、建物側が生地を発注してカーテンなどを作らせる場面にも関わってきます。
消防法第8条の3第5項は、建物の関係者が防炎対象物品に処理をさせたり、表示付きの生地から作製させたりしたときは、総務省令で定めるところによりその旨を明らかにしておかなければならないと定めています。
既製品のタグを確認するだけでなく、生地から特注で作った場合の記録が抜けやすいため、見落としやすい落とし穴です。
最後に、現場で確認すべき手順を整理します。

生地から特注で作ったときの記録なんて、意識したことがありませんでした。

既製品のタグ以上に見落としやすいところです。
最後に現場での確認の流れを整理しましょう。

現場では何を確認すればよいのか

担当者がカーテンのタグを拡大鏡で確認する様子を示したイメージ
ここまでの条文をふまえ、現場で確認すべき手順を整理します。
そもそもタグが何を証明しているのか、根拠の条文に立ち返ります。
消防法第8条の3第1項 高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(略)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない
タグは、この防炎性能の基準を満たしていることを示すための唯一の証拠です
既製品はタグに表示事項が記載されているかをまず確認してください。
生地から特注で作った物品は、発注記録や納品書で表示付きの生地を使ったことを残しておくと、あとから性能を証明できます。
色あせや破損で表示が読み取れない、または性能に疑いがある場合は、そのまま使い続けず所轄消防署に相談してください。
これで防炎表示の禁止と確認の流れが一通り整いました。

今日から何をチェックすればいいのか、整理できました。

タグの確認と記録づけを習慣にしておきましょう。
これで確認の手順は揃いました。

よくある質問

Q業者が独自に作った防炎タグを付けるとどうなりますか?
A消防法第8条の3第3項に違反し、第44条第3号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。防炎性能が実際にあるかどうかは関係ありません。
Q表示のない生地を防炎品として売っている店を見つけたらどうすればよいですか?
A第8条の3第4項に違反する可能性があります。所轄の消防署に確認を相談するのが確実です。
Q紛らわしい表示の禁止違反は、会社(法人)も罰せられますか?
Aはい。両罰規定(消防法第45条第3号)の対象条文一覧に第44条第3号が含まれており、行為者本人だけでなく法人にも罰金刑が科されます。
Q生地から特注でカーテンを作った場合、何を残しておけばよいですか?
A消防法第8条の3第5項に基づき、表示付きの生地を使ったことが分かる発注記録や納品書を残しておくことが求められます。

まとめ

防炎対象物品に、正規の手続きによらない表示や紛らわしい表示を付けることは消防法で禁止されています
根拠は消防法第8条の3第3項で、表示を付けてよいのは第2項の手続きを経たものだけです
違反すると消防法第44条第3号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
例外は第2項の表示と、指定表示の2つだけです
表示のない防炎対象物品は防炎物品として販売・陳列することも認められません
生地から作らせた場合はその旨を明らかにしておく義務が第5項にあります
紛らわしい表示の禁止違反は両罰規定の対象で、法人にも罰金刑が科されます

防炎タグにも、こんな責任があるとわかりました。

表示は自己判断で付けないのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第8条の3
  • 消防法第44条第3号
  • 消防法第45条第3号
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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