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屋外貯蔵タンクのポンプ設備はなぜ空地が必要なのか|指定数量の十倍以下で使える特例と免除されない基準を解説

屋外貯蔵タンクとポンプ設備の間隔をメジャーで確認する作業服姿の担当者のイメージ

屋外貯蔵タンクのそばにポンプ設備を新しく作るとき、周囲にどれだけの空地が要るか迷ったことはありませんか。
危険物の規制に関する政令は、ポンプ設備の周囲に3メートル以上の空地を保有することを原則として定めています。
ただし防火上有効な隔壁を設けるか、指定数量の十倍以下のタンクであれば、総務省令が定める特例でこの空地を省略できます。
この記事では空地の原則と2つの特例の範囲、そして特例でも免除されない基準を確認します

うちのタンクは小さいから、ポンプの周りに何もスペースが無くても大丈夫ですよね。

実は指定数量の十倍以下なら空地を省略できるんです。
条文を確認しましょう。

空地が要らないなら、他の基準も気にしなくていいということですか。

いいえ、免除されるのは空地の基準だけです。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 屋外貯蔵タンクのポンプ設備は、危険物の規制に関する政令第十一条第一項第十号の二イにより原則として周囲に3メートル以上の幅の空地を保有しなければなりません
  • ただし防火上有効な隔壁を設ける場合は、この空地を保有しなくてよいとされています(同号イただし書)
  • もう1つの道として、危険物の規制に関する規則第二十一条の三は指定数量の十倍以下の危険物の屋外貯蔵タンクのポンプ設備には空地を要しないと定めています
  • 特例が使えてもポンプ設備から屋外貯蔵タンクまでの距離(空地幅の三分の一以上)は別の基準として残ります
  • ポンプ設備を堅固な基礎の上に固定し、適当な傾斜と貯留設備を設ける基準も変わらず適用されます

ポンプ設備の空地は原則必要だが隔壁や小規模タンクなら免除され距離の基準は残ることを示す図解

屋外貯蔵タンクのポンプ設備になぜ空地が必要なのか

屋外貯蔵タンクのそばに置かれたポンプ設備の周囲を破線で囲み空地を示しているイメージ
タンクの点検や増設の相談で、まず確認されるのがこの空地です。
条文がどう定めているかを見てみます。
危険物の規制に関する政令第十一条第一項第十号の二イ
ポンプ設備の周囲に三メートル以上の幅の空地を保有すること。ただし、防火上有効な隔壁を設ける場合その他総務省令で定める場合は、この限りでない。
この空地は、ポンプ設備で万一漏れや火災が起きたときに周囲へ燃え広がるのを防ぐための距離です
屋外貯蔵タンクそのものの周囲にも別に空地が定められていますが(政令第十一条第一項第二号)、ポンプ設備の空地はそれとは別に、ポンプ設備そのものを取り囲む形で必要になります。
条文はただし書きで、この空地を省略できる場合も用意しています。
次にどんな場合に省略できるのかを確認します。

タンクの空地とポンプの空地は、別々に必要なんですね。

はい、ポンプ設備専用の空地として決まっています。
次は省略できる場合を見ましょう。

空地を省略できるのはどんな場合か

隔壁で仕切られたポンプ設備と小さなタンクのそばに置かれたポンプ設備を並べたイメージ
省略できる道は、実は1つではありません。
条文をあわせて確認します。
危険物の規制に関する規則第二十一条の三(ポンプ設備の空地の特例)
令第十一条第一項第十号の二イただし書の総務省令で定める場合は、指定数量の十倍以下の危険物の屋外貯蔵タンクのポンプ設備を設ける場合とする。
空地を省略する道は2つあります
1つは政令イただし書が直接定める防火上有効な隔壁を設ける場合で、タンクの規模にかかわらず使えます。
もう1つが規則第二十一条の三の特例で、指定数量の十倍以下の危険物を貯蔵するタンクのポンプ設備であれば、隔壁が無くても空地を省略できます。
自分のタンクがこの数量の範囲に収まるかどうかは、まず指定数量の倍数を確認することから始まります。

隔壁を作らなくても、タンクが小さければ省略できるんですね。

はい、指定数量の十倍以下という条件だけで足ります。
次は免除される範囲を見ましょう。

特例で免除されるのは空地だけなのか

基礎の上に固定され傾斜と排水溝を備えたポンプ設備のイメージ
特例が使えると聞くと、他の基準もまとめて緩くなると誤解しがちです。
実際には免除される範囲がはっきり決まっています。
危険物の規制に関する政令第十一条第一項第十号の二ロ
ポンプ設備から屋外貯蔵タンクまでの間に、当該屋外貯蔵タンクの空地の幅の三分の一以上の距離を保つこと
規則第二十一条の三が免除しているのは、イが定める空地だけです
イと同じ号の中にあるロ(タンクまでの距離)、ハ(堅固な基礎への固定)、ニからヲまで(不燃材料や傾斜・貯留設備などポンプ室の基準)は、この特例の対象に含まれていません
つまり指定数量の十倍以下で空地を省略できても、ポンプ設備は堅固な基礎の上に固定し、床には適当な傾斜と貯留設備を設ける必要があります。
「空地が要らない」と「他の基準も要らない」は、条文の上では別の話です。

空地だけが特別扱いで、他はそのまま生きているんですね。

はい、免除されるのはイの空地だけです。
次は現場で見落としやすい点を見ましょう。

現場で見落としやすいのはどこか

距離を保って設置されたポンプ設備とタンクに接して設置されたポンプ設備を並べたイメージ
特例で空地が要らなくなったからといって、タンクにぴったり接して設置してよいわけではありません。
見落としやすいのがこの距離の基準です。 ロの距離は、屋外貯蔵タンク自身の空地の幅を基準にして決まります
屋外貯蔵タンクの空地の幅は、政令第十一条第一項第二号の表でタンクの規模ごとに決まっており、ポンプ設備からタンクまでの距離はその幅の三分の一以上を保たなければなりません。
規則第二十一条の三の特例は「ポンプ設備の周囲三メートル」というイの基準を免除しているだけで、この「タンクまでの距離」というロの基準には触れていません。
指定数量が小さいタンクほど自身の空地の幅も狭くなるため、ロの距離も短くなりますが、ゼロになるわけではない点に注意が必要です。

空地が省略できるなら、タンクにくっつけて置いてもいいと思っていました。

いいえ、タンクまでの距離は別基準として残ります
最後に確認手順をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

ヘルメット姿の担当者がクリップボードとメジャーを持ちポンプ設備とタンクの間隔を確認しているイメージ
ここまでの内容を、実際の現場でどう確認するかを整理します。
順番に見ていきましょう。 まず指定数量の倍数を確認してください
十倍以下であれば規則第二十一条の三の特例で空地を省略できる可能性がありますが、十倍を超える場合は隔壁が無い限り三メートルの空地が必要です。
空地を省略できる場合でも、ポンプ設備からタンクまでの距離・堅固な基礎への固定・傾斜と貯留設備は別途確認してください。
新設や改修の計画段階から、空地・距離・基礎の3つをセットで所轄消防署に相談しておくことが、指摘を未然に防ぐ近道です。

まずは自分のタンクの指定数量の倍数から確認してみます。

倍数と距離はセットで見てください。
これで確認の流れが一通り整いました。

よくある質問

Qポンプ設備の周囲になぜ3メートルの空地が必要なのですか?
A危険物の規制に関する政令第十一条第一項第十号の二イが、屋外貯蔵タンクのポンプ設備の周囲に3メートル以上の幅の空地を保有することを原則と定めているためです。火災の際にポンプ設備と周囲との延焼を防ぐための基準です。
Q空地を省略できるのはどんな場合ですか?
A2つの道があります。政令が直接定める防火上有効な隔壁を設ける場合と、規則第二十一条の三が定める指定数量の十倍以下の危険物の屋外貯蔵タンクのポンプ設備を設ける場合です。
Q空地の特例が使えれば、他の基準も気にしなくてよいですか?
Aいいえ。免除されるのは空地の基準(イ)だけです。ポンプ設備から屋外貯蔵タンクまでの距離(ロ)や、堅固な基礎への固定(ハ)などの基準は特例を使っても生き続けます。
Q指定数量の十倍を超えるタンクでは、空地は絶対に必要ですか?
Aはい。指定数量の十倍を超える場合は規則第二十一条の三の特例が使えないため、防火上有効な隔壁を設けない限り3メートル以上の空地が必要です。

まとめ

屋外貯蔵タンクのポンプ設備は、政令第十一条第一項第十号の二イにより原則として周囲に3メートル以上の空地が必要です
ただし防火上有効な隔壁を設ける場合は、この空地を保有しなくてよいとされています
もう1つの道として、規則第二十一条の三は指定数量の十倍以下の危険物の屋外貯蔵タンクのポンプ設備には空地を要しないと定めています
特例が使えてもポンプ設備から屋外貯蔵タンクまでの距離(空地幅の三分の一以上)は別の基準として残ります
ポンプ設備を堅固な基礎の上に固定し、適当な傾斜と貯留設備を設ける基準も変わらず適用されます
指定数量の十倍を超えるタンクでは、隔壁を設けない限り空地の省略はできません
新設や改修の計画段階で、空地・距離・基礎の3つをまとめて所轄消防署に確認しておきましょう

指定数量の倍数の確認から、今日中にやってみます!

空地と距離の両方もあわせて見ておきましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十一条第一項第十号の二
  • 危険物の規制に関する政令第十一条第一項第二号
  • 危険物の規制に関する規則第二十一条の三
  • 各消防本部が公表する屋外タンク貯蔵所の審査基準
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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