危険物取扱者免状は、一度取得すれば更新の要らない資格です。
けれど、免状とは別に講習を受け続けなければならない人がいます。
免状を持っているかどうかと、講習が必要かどうかは、実は別の話です。
今回は、危険物取扱者の保安講習を巡る受講期限のルールを解説します。
うちの従業員が危険物取扱者の免状を持っています。
免状さえあれば、それで安心なんですよね。
いいえ、それだけでは足りないことがあります。
実際に現場で危険物を扱っている人には、別に講習の受講義務があります。
免状を取ったこと自体は知っていますが、講習の話は聞いたことがありませんでした。
期限を過ぎている方は少なくありません。
順番に確認していきましょう。
- 保安講習の義務があるのは実際に取扱作業に従事している危険物取扱者だけです
- 原則は従事することとなった日から1年以内に受講します
- 免状交付後2年以内に従事を始めた場合は免状交付日以後最初の4月1日から3年以内で足ります
- 初回受講後も3年ごとに受け続ける義務があります
- 受講を怠ると免状の返納命令の対象になり得ます
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目次
危険物取扱者は免状があれば保安講習を受けなくてよいのか

けれど、免状とは別に「講習」を受け続けなければならない人がいます。
免状を持っているだけでは、この条文の対象になりません。
たとえば免状は取得したものの、事務職に配属されて実際にタンクや配管を扱っていない人は、講習を受けなくても違反にはなりません。
逆に言えば、現場で危険物を取り扱い始めた時点から、この義務がかかってきます。
「免状さえ持っていれば安心」という感覚のままだと、実際に配置されたタイミングを見落としがちです。
次は、実際に受講しなければならない期限を見ていきます。
免状は持っていますが、今は事務の仕事しかしていません。
それでも講習は受けないといけないんでしょうか。
いいえ、今は受けなくて大丈夫です。
義務が発生するのは、実際に取扱作業へ従事している人だけです。
いつまでに保安講習を受ければよいのか

期限は施行規則で具体的に定められています。
新卒採用や配置転換で現場に入った日を起点に、1年というカウントダウンが始まります。
この「従事することとなつた日」は、免状を取得した日でも入社日でもなく、実際に取扱作業を始めた日を指します。
現場に配属される辞令の日付と、実際に作業を始めた日がずれることもあるため、あいまいなまま放置しないことが大切です。
ただし、この原則には例外が用意されています。次に見ていきます。
配属された日をきちんと記録しておかないといけませんね。
そのとおりです。
従事を始めた日を書面で残しておくと、期限の管理がぐっと楽になります。
免状を取ったばかりの人にも例外があるのか

この場合、1年以内の原則がそのまま当てはまるとは限りません。
たとえば免状を取得した半年後に現場配属になった場合、免状交付日以後最初に来る4月1日を起点に、そこから3年以内に受講すればよいことになります。
条文上、この延長が使えるのは「免状交付日前2年以内」または「直近の講習受講日前2年以内」に従事を始めた場合に限られます。
逆に、免状を取ってから2年以上経ってから現場に配属された場合は、原則どおり従事開始から1年以内が期限になります。
自分がどちらの計算式に当てはまるのか、免状交付日と配属日の両方を照らし合わせて確認してください。
うちは免状を取ってすぐ現場に配属されたので、3年ルールが使えそうです。
免状交付日を確認して、最初に来る4月1日から数えて3年以内という期限をカレンダーに書き込んでおきましょう。
一度受ければそれで保安講習は終わりなのか

実はここに見落としが集中します。
最初の講習を受けた日以後、最初に来る4月1日から3年以内に次の講習を受け、その後も同じ数え方が繰り返されます。
「講習を受けた」という実績だけで安心してしまい、次回の期限を把握しないまま数年が過ぎるケースが実務では起こりがちです。
また、異動で一度現場を離れたあと再び取扱作業に従事することになった場合、基準日の扱いが変わることもあるため、再配属のたびに所轄消防署へ確認するのが確実です。
受講記録は本人任せにせず、施設側でも一覧にして管理しておくと抜け漏れを防げます。
一度受けたら終わりだと思っていました。
ずっと3年ごとに続くんですね。
はい、次の受講期限を必ずカレンダーに登録しておいてください。
受講を怠るとどうなるのか

実務でやるべきこともあわせて確認します。
第13条の23と規則第58条の14は「この法律に基づく命令」にあたるため、受講を怠った状態は免状返納命令の理由になり得ます。
まずは従事者名簿を作り、免状交付日・現場配属日・直近の受講日を一人ずつ記録してください。
そのうえで、次の受講期限(原則は配属から1年以内、初回猶予がある場合は最初の4月1日から3年以内、以後は受講のたびに次の4月1日から3年以内)を担当者ごとにカレンダーへ登録しておきます。
名簿と期限管理さえできていれば、うっかり期限を過ぎる事故は防げます。
名簿を作って、期限をカレンダーに入れておきます。
それが一番確実です。
免状交付日・配属日・受講日の3つを記録しておいてください。
よくある質問
まとめ
従事者名簿を作って期限を管理します。
免状交付日・配属日・受講日の3つさえ記録しておけば、期限を見失うことはありません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第13条の23
- 危険物の規制に関する規則第58条の14
- 消防法第13条の2第5項
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





