危険物をドラム缶やポリタンクなどの運搬容器に入れて運ぶとき、容器になにを書けばよいか迷うことがあります。
実は運搬容器の外部表示は、消防法とその下位法令が具体的に定めた義務です。
表示事項は品名・危険等級・化学名、数量、注意事項の3区分に分かれており、危険物の類によって書く内容も変わります。
本記事では、運搬容器に表示すべき項目と、小型容器や機械荷役容器の特例を条文に沿って整理します。
うちの倉庫にある運搬容器、表示の中身までちゃんと確認したことがありません。
実は表示すべき項目が法令で決まっています。
品名さえ書いておけば十分だと思っていました。
危険等級や注意事項まで揃えないと基準を満たしません。
順番に見ていきましょう。
- 消防法第16条を受けて、危険物の規制に関する政令第29条第2号は運搬容器の外部に品名・数量等を表示して積載することを定めています
- 具体的な表示事項は危険物の規制に関する規則第44条第1項が定めており、品名・危険等級・化学名、数量、注意事項の3区分です
- 注意事項は危険物の類ごとに異なり、第四類の危険物は「火気厳禁」と表示します
- 最大容積500ミリリットル以下の小型容器等には、通称名や同等の表示に代える特例があります
- フォークリフト等で機械により荷役する構造の運搬容器には、製造年月や最大総重量など追加の表示が必要です
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目次
危険物を運ぶ容器には表示の義務があるのか

まず、表示そのものが法令上の義務かどうかを確認します。
消防法第16条は、危険物の運搬について容器・積載方法・運搬方法の技術上の基準に従うことを求めています。
この基準を具体化しているのが、危険物の規制に関する政令第29条第2号です。
政令第29条第2号は、運搬容器の外部に危険物の品名・数量等を表示して積載することを定めています。
表示の詳しい中身は、総務省令である危険物の規制に関する規則第44条に委任されています。
うちが運んでいる容器にも、表示の義務がかかるんですよね。
はい。
危険物を運搬容器に入れて運ぶ以上、表示の義務がかかります。
運搬容器にはどんな項目を表示するのか

規則第44条第1項を確認します。
第1号は、危険物の品名・危険等級・化学名の表示を求めています。
第四類の危険物のうち水溶性の性状を持つものは、あわせて「水溶性」の表示も必要です。
第2号は、収納した危険物の数量そのものの表示を求めています。
残る第3号の注意事項は、危険物の類ごとに内容が変わるため、次に見ていきます。
品名以外にも書かなければいけないものがあるんですか。
はい。
危険等級・化学名・数量・注意事項の4つが必要です。
注意事項はどうやって決まるのか

第四類の危険物を例に確認します。
注意事項は第一類から第六類まで、危険物の性質に応じてイからヘの区分で定められています。
たとえば第一類のうちアルカリ金属の過酸化物等には「火気・衝撃注意」などが加わります。
第四類の危険物はガソリンや灯油など引火性液体が中心で、「火気厳禁」の一種類だけが定められています。
複数の性質をあわせ持つ危険物では、該当する注意事項をすべて表示する必要があります。
注意事項は危険物の種類によって違うんですね。
はい。
第四類は「火気厳禁」と決まっています。
小さな容器や機械で運ぶ容器はどう扱うのか

容器の大きさや運び方によって扱いが変わります。
第一類・第二類・第四類の危険物(危険等級Ⅰを除く)で、最大容積500ミリリットル以下の容器は、品名を通称名で、注意事項を同じ意味の他の表示で代えられます。
化粧品やエアゾール製品にも、容積に応じた別の特例が定められています。
一方で、フォークリフト等で機械により荷役する構造の運搬容器には、通常の表示に加えて製造年月・製造者名・最大総重量などの表示が追加で必要です(規則第44条第6項)。
小さいから省略できる場合と、大きく重いから追加が必要な場合の両方を取り違えないことが実務のポイントです。
小さいボトルなら表示を省略できると聞きました。
500ミリリットル以下の容器等には特例がありますが、
フォークリフトで運ぶ容器には逆に追加の表示が必要です。
明日からなにを確認すればよいのか

確認すべき順番を整理します。
品名・危険等級・化学名、数量、注意事項の3区分が揃っているかを確認します。
容器を外側の容器に入れて運ぶときは、外側の容器に正しい表示があれば内側への表示は不要です。
逆に、フォークリフトで運ぶ大型容器では、製造年月や最大総重量などの追加表示が漏れていないかを確認します。
表示が古いまま更新されていない容器があれば、早めに貼り替えておくことが実務上のポイントです。
まずなにから確認すればいいですか。
今使っている運搬容器の表示を、規則第44条の区分と照らし合わせてください。
よくある質問
まとめ
運搬容器の表示を、規則第44条の区分と照らし合わせて見直します!
運搬容器の表示から現場の運用体制まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第16条
- 危険物の規制に関する政令第29条第2号
- 危険物の規制に関する規則第44条第1項・第2項・第6項・第7項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





