油圧装置や潤滑油循環装置だけに危険物を使う工場や作業場にも、専用の特例基準が定められています。
対象になるのは、高引火点危険物のみを百度未満の温度で扱う施設に限られます。
建物の造り方しだいで基準の内容が変わり、耐火構造にすると平家建て限定の要件から外れます。
この記事では、危険物の規制に関する規則が定める油圧装置等専用の一般取扱所の基準を条文にそって整理します。
うちは油圧プレスの潤滑油だけなんですが、危険物の基準も関係あるんですか。
はい、高引火点危険物を百度未満で扱っていれば対象になります。
まずは施設の区分から確認しましょう。
建物の構造によって基準が変わったりするんですか。
はい、耐火構造にすれば緩和の範囲が広がります。
条文にそって順番に見ていきましょう。
- 油圧装置や潤滑油循環装置だけに危険物を使う一般取扱所には、専用の位置・構造・設備の基準が定められています
- 対象は高引火点危険物のみを百度未満の温度で扱う施設に限られます
- 不燃材料造の平家建てにすれば、指定数量の倍数五十未満まで基準を満たせます
- 壁・柱・床・はりを耐火構造にすると、平家建て限定の要件から外れます
- 屋外に設置する緩和は指定数量の倍数三十未満の施設に限られます
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目次
油圧装置や潤滑油循環装置だけを使う一般取扱所とは何を指すのか

まずは対象になる施設の条件を条文で確認します。
使ってよい危険物は高引火点危険物に限られ、扱う温度も百度未満に収まっている必要があります。
指定数量の倍数が五十未満で、危険物を取り扱う設備を建築物の中に設けている場合が要件です。
油圧装置や潤滑油循環装置以外の用途もあわせ持つ施設は、この特例の対象になりません。
まずは自社の施設がこれらの条件を満たすかどうかを確認します。
潤滑油循環装置も油圧装置と同じ扱いなんですか。
はい、条文上は油圧装置と潤滑油循環装置が同じ号でまとめて扱われています。
要件は共通です。
平家建ての建物ではどんな基準を満たせばよいのか

ここは平家建ての建物を前提にした基準です。
同項第二号 建築物の一般取扱所の用に供する部分は、壁、柱、床、はり及び屋根を不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁は、出入口以外の開口部を有しない耐火構造の壁とすること。(略)
同項第五号 危険物を取り扱う設備(危険物を移送するための配管を除く。)は、建築物の一般取扱所の用に供する部分の床に堅固に固定すること。
同項第六号 危険物を取り扱うタンク(容量が指定数量の五分の一未満のものを除く。)の直下には、規定の例による囲いを設けるか、又は建築物の一般取扱所の用に供する部分のしきいを高くすること。
延焼のおそれのある外壁は、出入口以外の開口部を持たない耐火構造の壁にします。
窓や出入口には防火設備を設け、ガラスを使う場合は網入ガラスにするという基準もあわせて課されます。
危険物を取り扱う設備は床に堅固に固定し、タンクの直下には囲いを設けるかしきいを高くします。
図面上でまず「平家建てかどうか」と「壁や屋根の材料」を確認します。
平家建てでなければこの基準は使えないんですか。
この基準に限れば平家建てが前提です。
ただし耐火構造にすれば別の道もあります。
壁を耐火構造にするとどこまで緩和が広がるのか

ここを条文で確認します。
同項第二号 第二十八条の五十五第二項第三号から第八号まで、第二十八条の五十六第二項第二号及び前項第六号に掲げる基準に適合するものであること。
そのかわりに、窓なし・特定防火設備の出入口・床の浸透しない構造・採光照明換気の設備・蒸気や微粉の排出設備・ダンパーといった基準を満たす必要があります。
上階がある建物では上階の床を耐火構造にするか、上階が無ければ屋根を不燃材料にするという基準もあわせて求められます。
タンクの直下に囲いを設ける基準は、平家建ての基準と共通です。
耐火構造にする分だけ、他の項目で求められる基準が増えることを踏まえて、どちらの型を選ぶか検討します。
耐火構造にすれば、平家建てじゃなくても設置できるんですか。
条文上は平家建ての要件が書かれていません。
他の基準を満たせば選べる道になります。
屋外に設置するときに見落としやすいのはどこか

ただしこの基準には、これまでの見出しには無かった条件が付きます。
入口の見出しで確認したとおり、この一般取扱所は倍数五十未満まで対象になりますが、屋外設置の基準はそれより狭い倍数三十未満だけが対象です。
倍数が三十以上五十未満の施設は、屋外設置の緩和を選べず、平家建てまたは耐火構造の基準で建物内に設ける必要があります。
原則は設備の周囲に幅三メートル以上の空地を保有することですが、近くの壁や柱が耐火構造であれば、その距離ぶんの空地で足ります。
「屋外なら空地さえ確保すればよい」と思い込まず、まず自社施設の指定数量の倍数を数え直します。
倍数が三十を超えたら屋外には置けないんですか。
この屋外設置の特例は使えなくなります。
建物内に設ける基準で検討してください。
実務ではどの順に確認すればよいか

一つずつ条文と図面を突き合わせながら進めます。
- 取り扱う危険物が高引火点危険物で、扱う温度が百度未満かを確認する
- 設備が油圧装置または潤滑油循環装置以外には使われていないかを確認する
- 指定数量の倍数を計算し、五十未満・三十未満のどちらに該当するかを区分する
- 建物を平家建てにするか耐火構造にするかを図面で選ぶ
- 倍数が三十未満なら屋外設置での対応も選べることを踏まえて設計する
迷ったときは、まず指定数量の倍数を数字で確定させることが近道です。
倍数の区分がいちばん最初に効いてくるんですね。
はい、指定数量の倍数を先に決めるのが近道です。
そこから選べる型が絞れます。
よくある質問
まとめ
油圧装置だけの施設でも、建物の造り方で選べる道が違うんですね。
よく分かりました。
まずは指定数量の倍数から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十一条第一項・第五項
- 危険物の規制に関する政令第十九条第一項・第二項第六号
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第六号・第二十八条の五十五第二項・第二十八条の五十六第二項・第二十八条の六十
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





