危険物保安監督者を選任すれば、それで安全管理の義務を果たしたと考えていませんか。
実は監督者には、選任されたあとも規則で定められた具体的な業務が課されています。
作業者への指示や火災時の応急対応だけでなく、隣接する施設との連絡まで求められる場面があります。
この記事では危険物保安監督者に課される5つの業務と、危険物施設保安員との役割分担を整理します。
うちの施設にも危険物保安監督者を選任していますが、選んだらそれで終わりなんですかね。
いいえ、選任したあとも規則で定められた業務を実際に行わせる必要がありますよ。
具体的にはどんなことをすればいいんでしょうか。
作業者への指示から緊急時の対応まで、5つの業務が決まっています。
順番に見ていきましょう。
- 危険物保安監督者は選任して終わりではなく、規則第48条が定める業務を実際に行わなければなりません。
- 業務の柱は作業者への指示と火災など緊急時の応急措置・通報の2つです。
- 危険物施設保安員がいる施設といない施設とで、監督者が行う業務の中身が変わります。
- 隣接する施設との連絡を保つ義務は見落とされやすい項目です。
- 業務はチェックリスト化して定期的に確認することが実務対応の基本になります。
▼

目次
危険物保安監督者は選任されたあと何をする人なのか

消防法は選任の根拠だけでなく、選んだあとに行わせるべき業務まで規則に委ねています。
第13条第1項は「保安の監督をさせなければならない」と定めており、監督者に実際の業務を行わせることまでが所有者・管理者・占有者の義務です。
何を監督させればよいかは、この条文だけでは分かりません。
具体的な業務の中身は、危険物の規制に関する規則第48条に委任されています。
次の項目から、この規則第48条が定める業務を順番に見ていきます。
選任すればそれで安心、と思っていました。
その気持ち、よく分かります。
ただ規則第48条が具体的な業務まで定めているので、次で確認しましょう。
規則第48条は具体的にどんな業務を義務づけているのか

まず柱になるのは、作業者への指示と、火災など緊急時の応急対応です。
第一号は平常時の業務で、作業が技術上の基準や予防規程に適合するよう、作業者に必要な指示を与えることを求めます。
第二号は緊急時の業務で、火災等が発生したときに作業者を指揮して応急措置を講じ、消防機関へ連絡することを求めます。
どちらも監督者が現場に立ち会って初めて果たせる業務です。
書類上だけ選任されている状態では、この義務を満たしたことになりません。
平常時と緊急時、両方に役割があるんですね。
はい。
緊急時の指揮と通報は特に重要なので、日頃から手順を確認しておいてください。
危険物施設保安員がいる施設といない施設で何が変わるのか

保安員がいる施設といない施設とで、監督者が自ら行う業務の範囲が変わります。
危険物施設保安員を置く施設では、監督者は保安員へ必要な指示を行えば足ります。
保安員を置かない施設では、監督者自身が規則第59条の点検・記録・異常時対応などの業務を直接行わなければなりません。
保安員は指定数量の倍数が一定規模以上の施設で選任が義務づけられる役職で、小規模な施設では置かれないことがあります。
自分の施設に保安員がいるかどうかで、監督者の実務量が変わることを押さえておいてください。
うちは保安員がいないので、監督者が全部やることになるんですね。
そのとおりです。
規則第59条の点検や記録の業務まで、監督者が担うことになります。
隣接する施設との連絡を保つ義務はなぜ見落としやすいのか

この号は見出しに現れにくいため、実務でうっかり抜け落ちることがあります。
第四号は、隣接する製造所等や関連施設の関係者と、火災等の防止に関して連絡を保つことを求めています。
自分の施設内の業務に意識が向きやすく、隣接施設との連絡体制は後回しになりがちです。
危険物施設は同一敷地内や隣接地に複数並ぶことが珍しくないため、この連絡体制が実際の初動対応を左右します。
隣接施設の担当者の連絡先を把握しているか、この機会に確認しておくとよいでしょう。
隣の施設の担当者の連絡先までは、正直把握できていません。
多くの施設で見落とされがちな点です。
隣接施設との連絡体制を、この機会に整理しておきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

5つの業務を一度に思い出すのは難しいため、チェックリストにしておくと実務で役立ちます。
①作業者への指示、②緊急時の応急措置と通報、③保安員への指示または自ら規則第59条の業務、④隣接施設との連絡、⑤その他必要な監督業務の5点です。
このうち自施設で抜けている項目がないか、月に一度でも確認する機会を設けてください。
特に④の隣接施設との連絡先は、書類にしてすぐ参照できる場所に置いておくと安心です。
選任した監督者と一緒に、この5項目を確認する時間を明日にでも設けてみてください。
まずは5項目を書き出して、監督者と確認してみます。
それがいちばんの近道です。
定期的な確認を習慣にしていきましょう。
よくある質問
まとめ
規則第48条の5項目、さっそくチェックリストにしてみます!
ぜひ実践してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第13条(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する規則第48条・第59条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





