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非常用照明器具は定期検査でどこを確認するのか|使用電球から配線の防火区画貫通措置まで6つのチェックポイントを解説

非常用照明器具の照度を測定する検査員のイメージ

高さ31mを超える建築物や、階数が3以上で延べ面積が500平方メートルを超える建築物などには、避難経路を照らす非常用の照明装置の設置が義務付けられています。
この設備は、使用する電球やランプの種類から予備電源の性能、床面の照度まで、建築設備定期検査で細かく確認されます。
検査事項は、昭和45年建設省告示第1830号と平成20年国土交通省告示第285号の別表第三(非常用の照明装置の検査結果表)にもとづいて定められています。
本記事では、非常用照明器具に関する6つの検査事項を、検査方法と判定基準とあわせて解説します。

うちのビルにも非常用の照明装置があるはずなんですが、建築設備定期検査ではどこを見られるんですか。

はい、使用する電球やランプの種類から、予備電源の性能、床面の照度まで確認されます。
順番に見ていきましょう。

非常用照明の検査なんて、正直あまりイメージが湧きません。

使用電球から配線の防火区画貫通措置まで、6つのポイントがありますので、ひとつずつ解説しますね。

この記事の結論
  • 高さ31mを超える建築物や、階数が3以上で延べ面積が500平方メートルを超える建築物などには、非常用の照明装置の設置が義務付けられています。
  • 使用電球・ランプ等は、耐熱性と即時点灯性を備えた構造であることが判定基準です
  • 予備電源は常用電源が断たれると自動的に切り替わり、30分間継続して点灯できることが求められます。
  • 避難上必要な部分のうち最も暗い床面で、白熱灯1ルクス・蛍光灯やLEDランプ2ルクス以上の照度が必要です
  • 配電管が防火区画を貫通する部分は、モルタルその他の不燃材料で隙間を埋める措置が必要です。

非常用照明器具の定期検査6つの確認ポイントを示すインフォグラフィック

非常用照明器具に使ってよい光源とその取付けはどこを確認するのか

非常用照明器具のLEDランプと天井への取付けを確認する検査員
非常用の照明装置は、停電時に真っ暗にならないよう避難路を照らす重要な設備です。
まずは器具そのものに使われている光源と、取付けの状態から確認します。
非常用の照明器具/照明器具 検査事項(1) 使用電球、ランプ等について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 昭和45年建設省告示第1830号第1第一号の規定に適合しないこと。(検査方法:目視により確認する。)
非常用照明器具は、耐熱性と即時点灯性を備えた光源であることが判定基準です。
白熱灯・蛍光灯・LEDランプのいずれも、ソケットや口金の材料がフェノール樹脂やセラミックス等の耐熱性のあるものに限られています。
LEDランプを使う場合は、日本産業規格に適合する口金付きの直管形か、口金のないLEDモジュールのいずれかであることが必要です。
検査事項(2)の取付けの状況もあわせて確認し、天井その他の取付け部に正しく固定されているかを目視・触診で確かめます。
予備電源内蔵コンセント型の照明器具では、差込みプラグが壁等に固定されたコンセントに直接接続され、延長コードやテーブルタップを使っていないことも見落としやすいポイントです。

うちの照明器具、LEDに交換したばかりなんですが、それでも検査の対象になりますか。

はい、LEDランプも日本産業規格に適合する構造であれば問題ありません。
ただし取付けの固定状況は毎回確認されます。

予備電源への切替えと点灯時間はどう確認するのか

非常用照明の予備電源への切替えスイッチを操作し点灯を確認する検査員
非常用の照明装置は、停電が起きた瞬間に自動で予備電源に切り替わらなければ意味がありません。
続いては、この切替えと点灯時間の検査を見ていきましょう。
予備電源/電池内蔵形の蓄電池、電源別置形の予備電源 検査事項(3) 予備電源への切替え及び器具の点灯の状況並びに予備電源の性能について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 昭和45年建設省告示第1830号第3第二号又は第三号の規定に適合しないこと。(検査方法:作動の状況及び点灯時間を確認する。)
予備電源は、常用電源が断たれると自動的に切り替わることが判定基準です。
点検スイッチを操作して常用の電源を瞬時に遮断し、蓄電池点灯回路に切り替わって非常用の照明装置が点灯するかを確認します。
点灯時間は30分間継続することが必要で、これは避難が完了するまでの時間を想定した基準です。
蓄電池と自家用発電装置を併用する設備では、蓄電池から発電装置への切替え後も照明を継続点灯させられることが求められます。
常用の電源が復旧したときに、自動的にもとの状態へ復帰することも忘れずに確認します。

点検スイッチを切ると、本当に停電したときと同じ状態になるんですか。

はい、常用の電源を瞬時に遮断する仕組みなので、実際の停電と同じ状態を再現できます。
30分間の点灯が続くかもあわせて確認します。

避難上必要な部分の照度はどう測定するのか

低照度測定用照度計で床面の照度を測定する検査員
非常用照明の検査で欠かせないのが、実際にどれだけ明るく照らせているかという照度の測定です。
避難上必要となる部分のうち、最も暗い部分の水平床面で測定します。
照度/電池内蔵形の蓄電池、電源別置形の予備電源 検査事項(4) 照度の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 昭和45年建設省告示第1830号第4の規定に適合しないこと。(検査方法:避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する。)
白熱灯は1ルクス、蛍光灯又はLEDランプは2ルクス以上の照度が必要です。
照度は、非常用照明器具を30分間点灯させた後の値で判定し、十分に補正された低照度測定用照度計による物理測定法で確認します。
蛍光灯やLEDランプの規定照度が白熱灯より高いのは、周囲温度が上昇すると全光束が減少し、140℃程度で半減する特性があるためです。
測定は避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面で行い、家具やパーティションの配置替えで暗い場所が変わっていないかも確認します。
照度不足は、器具の汚れや光源の経年劣化でも起こるため、清掃状況もあわせて見ておくとよいポイントです。

照度って、普通の照度計で測ればいいんですか。

いいえ、非常用照明は暗い場所での測定になるので、低照度測定用の照度計を使います。
通常の照度計では正確に測れません。

非常用分電盤の表示はなにを確認するのか

電気シャフト内で常用分電盤と非常用分電盤の表示を確認する検査員
非常用の照明装置には、専用の分電盤が設けられていることがあります。
ここでは、その表示が正しくされているかを確認します。
分電盤/電池内蔵形の蓄電池、電源別置形の予備電源 検査事項(5) 非常用電源分岐回路の表示の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 非常用の照明装置である旨の表示がないこと。(検査方法:目視により確認する。)
非常用分電盤には、非常用の照明装置である旨の表示が必要です。
電気シャフトの内部には、一般に常用分電盤と非常用分電盤が上下または左右に並んで設置されています。
常用分電盤には停電を検知する不足電圧継電器が組み込まれ、常用の電源が断たれたことを検出する回路になっています。
非常用分電盤の側には表示ランプや試験用スイッチが設けられ、非常用の照明装置用である旨が分かるように表示されていることを確認します。
照明器具内に予備電源を持つ電池内蔵形の場合は、この表示義務の対象外になる点もあわせて押さえておきましょう。

分電盤の表示って、シールが貼ってあればそれでいいんですか。

はい、非常用の照明装置である旨が分かる表示があれば大丈夫です。
剥がれかけていないかも確認しておきましょう。

配電管が防火区画を貫通する部分はどう措置するのか

壁の防火区画を貫通する配電管の隙間をモルタルで埋める措置を確認する検査員
非常用照明の配線は、建物の壁や床にある防火区画を貫通していることがあります。
最後に、この貫通部分の措置を確認しましょう。
配線/電池内蔵形の蓄電池、電源別置形の予備電源 検査事項(6) 配電管等の防火区画の貫通措置の状況(隠蔽部分及び埋設部分を除く。)について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 建築基準法施行令第112条第20項又は第129条の2の4第1項第七号の規定に適合しないこと。(検査方法:目視又は触診により確認するとともに、必要に応じて鋼製巻尺等により測定する。)
配電管が防火区画を貫通する部分は、隙間を不燃材料で埋めることが判定基準です。
配電管が準耐火構造の防火区画等を貫通する場合、管とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければなりません。
別の基準として、貫通する部分とその両側1m以内の距離にある部分を不燃材料で造る方法や、管の外径を国土交通大臣が定める数値未満に抑える方法も認められています。
確認対象は目視で見える範囲に限られ、壁の中に隠れた隠蔽部分や、床下に埋め込まれた埋設部分は検査の対象外です。
必要に応じて鋼製巻尺等で寸法を測定し、告示で定める数値基準を満たしているかもあわせて確かめます。

隠れているところまで全部見られてしまうんですか。

いいえ、隠蔽部分や埋設部分は対象外です。
目視できる範囲の措置を確認します。

よくある質問

Q非常用照明器具にLEDランプを使ってもよいのですか?
Aはい、日本産業規格に適合する口金付きの直管形LEDランプか、口金のないLEDモジュールを用いたものであれば使用できます。
Q予備電源はどれくらいの時間、点灯し続ける必要がありますか?
A常用の電源が断たれてから30分間継続して非常用の照明装置を点灯させられることが判定基準です。
Q非常用照明の照度はどこで測定しますか?
A避難上必要となる部分のうち、最も暗い部分の水平床面を低照度測定用照度計で測定します。
Q配電管の防火区画貫通部分は、どこまでが検査の対象ですか?
A目視や触診で確認できる範囲が対象で、隠蔽部分及び埋設部分は検査の対象から除かれます。

まとめ

非常用の照明装置は、避難経路を照らす重要な設備として建築基準法にもとづき設置が義務付けられています。
この設備も建築基準法第12条第3項にもとづく建築設備定期検査の対象です。
検査項目は昭和45年建設省告示第1830号と平成20年国土交通省告示第285号別表第三の検査結果表にもとづきます。
使用電球・ランプ等は、耐熱性と即時点灯性を備えた構造であることが判定基準です
予備電源は常用電源が断たれると自動的に切り替わり、30分間継続して点灯できることが求められます。
避難上必要な部分のうち最も暗い床面で、白熱灯1ルクス・蛍光灯やLEDランプ2ルクス以上の照度が必要です
配電管が防火区画を貫通する部分は、モルタルその他の不燃材料で隙間を埋める措置が必要です。

非常用照明器具がどこを見られているのか、これでよく分かりました!
配線の防火区画まわり、確認しておきます。

それは安心です。
お困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第126条の4・第126条の5(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第112条第20項・第129条の2の4第1項第七号(e-Gov法令検索)
  • 昭和45年建設省告示第1830号
  • 平成20年国土交通省告示第285号 別表第三(非常用の照明装置の検査結果表)

※本記事は公表されている法令および国土交通省の告示に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。

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