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高引火点危険物だけを扱う一般取扱所はなぜ避雷設備も静電気の対策も要らないのか|設備の種類を問わない緩和の理由を解説

高引火点危険物のみを扱う一般取扱所を解説する記事のアイキャッチ画像、配管とタンクのある施設外観の写真

一般取扱所には、扱う設備の種類ごとに細かく基準の特例が定められています。
ボイラー専用、切削装置専用、油圧装置専用など、号ごとに対象が区切られているのが基本の形です。
ところが危険物の規制に関する規則第二十八条の六十一だけは、設備の種類を問わず「扱う危険物の性質」だけで対象になる特例です。
この記事では条文から読み解き、高引火点危険物のみを百度未満で取り扱う一般取扱所に本当に必要な要件を整理します。

うちは設備の種類がボイラーやタンクでバラバラなんです。
設備ごとに別の基準を確認しないといけませんよね。

実は高引火点危険物だけを扱う一般取扱所なら、設備の種類を問わず緩和が使えます。

設備を選ばないなら助かります。
うちのように混在している現場にはちょうどいいです。

危険物の性質、つまり引火点で判断される特例なので、設備の組み合わせを気にする必要はありません。

この記事の結論
  • 高引火点危険物(引火点百度以上の第四類危険物)のみを百度未満で取り扱う一般取扱所は、設備の種類を問わず特例を受けられます。
  • 特例を使うには、位置及び構造が第十三条の六第三項各号の基準に適合することが条件です
  • 適用除外になるのは、令第九条第一項第一号・第二号・第四号・第六号から第八号まで・第十八号・第十九号です
  • 距離・空地・屋根・窓出入口・ガラスの基準は、消えるのではなく別の基準に置き換わるだけです
  • 地階の禁止・静電気除去装置・避雷設備・防油堤の高さの規定は、代替なしでそのまま除外されます

高引火点危険物だけを扱う一般取扱所はなぜ設備の種類を問わず基準が緩和されるのかを示す四列のインフォグラフィック、対象施設の確認・適合条件の確認・除外基準の確認・実務範囲の確認という手順を示す

高引火点危険物のみを扱う一般取扱所とは何を指すのか

建物の中にボイラーとタンクとポンプが並んで置かれたイメージ
この特例の対象になる施設の定義を確認します。
他の号との一番の違いも押さえます。
令第十九条第三項 高引火点危険物のみを総務省令で定めるところにより取り扱う一般取扱所については、総務省令で、前二項に掲げる基準の特例を定めることができる。規則第二十八条の六十一第一項 令第十九条第三項の規定により同条第一項に掲げる基準の特例を定めることができる一般取扱所は、高引火点危険物のみを百度未満の温度で取り扱うものとする。
対象は設備の種類ではなく、扱う危険物の性質だけで決まります。
引火点が百度以上の第四類危険物(高引火点危険物)のみを百度未満の温度で取り扱う一般取扱所であれば、この特例の対象になります。
ボイラーや切削装置、油圧装置といった個別の設備区分ごとの号とは違い、扱う設備を限定していない点が最大の特徴です。
既存の号五や号七のような特定設備向けの特例と重なる施設でも、設備の組み合わせを気にせずそのまま検討できます。
まずは自施設で扱う危険物の引火点と取扱温度を確認してください。

うちは複数の設備で高引火点の危険物を使っています。
これも対象になりますか。

はい、設備の種類を問わず対象になります。
まずは位置と構造の条件を確認しましょう。

特例を使うにはどんな条件を満たす必要があるのか

建物を囲む距離の点線と、隣の空地のイメージ
対象になったら、次は緩和を受けるための条件です。
製造所向けの基準を準用する形を確認します。
規則第二十八条の六十一第三項 第一項の一般取扱所のうち、その位置及び構造が第十三条の六第三項各号に掲げる基準に適合するものについては、令第十九条第一項において準用する令第九条第一項第一号、第二号、第四号、第六号から第八号まで、第十八号及び第十九号並びに第十三条の三第二項第二号において準用する第二十二条第二項第二号の規定は、適用しない。
特例は無条件では使えません。
基準が緩和されるのは、位置及び構造が第十三条の六第三項各号(高引火点危険物の製造所の特例と同じ基準)に適合する場合に限られます。
第十三条の六第三項各号は、隣接建築物からの距離・空地・屋根の材料・窓及び出入口の防火設備・網入りガラスという五つの基準を定めており、これを満たすことが緩和の前提条件になります。
製造所向けの基準をそのまま一般取扱所にも当てはめる、準用の形になっている点も押さえておきましょう。
条件を満たさない施設は、この特例を使えず通常どおり令第九条第一項の基準がそのまま適用されます。

位置と構造の条件って、具体的に何を見ればいいんですか。

第十三条の六第三項各号の五つの基準です。
次にどの基準が除外されるかを見ていきましょう。

具体的にどの基準が適用除外になるのか

屋根と防火設備の戸と網入りガラスが並んだイメージ
条件を満たした場合に、実際にどの基準が外れるのかを見ます。
号番号を一つずつ確認します。
令第九条第一項 四 危険物を取り扱う建築物は、地階を有しないものであること。八 危険物を取り扱う建築物の窓又は出入口にガラスを用いる場合は、網入りガラスとすること。十八 危険物を取り扱うに当たつて静電気が発生するおそれのある設備には、当該設備に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設けること。十九 指定数量の倍数が十以上の製造所には、総務省令で定める避雷設備を設けること。(略、第一号・第二号・第六号・第七号)
除外される基準は八項目です。
除外される基準は令第九条第一項第一号・第二号・第四号・第六号から第八号まで・第十八号・第十九号、及び第十三条の三第二項第二号で準用する第二十二条第二項第二号(防油堤の高さ)の合わせて八項目です。
内訳は、隣接建築物からの距離(第一号)、周囲の空地(第二号)、地階を有しないこと(第四号)、屋根・窓出入口の防火設備・網入りガラス(第六号から第八号まで)、静電気除去装置(第十八号)、避雷設備(第十九号)、そして防油堤の高さです。
一般取扱所の基準は令第十九条第一項が第九条第一項を準用する形で成り立っているため、除外リストも第九条の号番号のまま読み替えて使います。
号番号だけを見ると分量が多く感じますが、次の項目で見るとおり、性格が異なる二つのグループに分かれます。

除外される基準が八項目もあると、多くて覚えられません。

実は性格の異なる二つのグループに分かれています。
次で整理しましょう。

免除された基準はすべて別の基準に置き換わるのか

地下の地階と屋根の避雷設備をあわせて示したイメージ
除外された基準の中身を、もう一段掘り下げます。
置き換わる基準と消える基準の違いを整理します。
第十三条の六第三項 二 危険物を取り扱う建築物その他の工作物の周囲に、三メートル以上の幅の空地を保有すること。三 危険物を取り扱う建築物は、屋根を不燃材料で造ること。四 危険物を取り扱う建築物の窓及び出入口には、防火設備又は不燃材料若しくはガラスで造られた戸を設けること。五 危険物を取り扱う建築物の延焼のおそれのある外壁に設ける出入口にガラスを用いる場合は、網入りガラスとすること。(略、第一号)
除外された基準は、すべてが同じ扱いになるわけではありません。
第一号・第二号・第六号から第八号まで(距離・空地・屋根・窓出入口の防火設備・網入りガラス)は、令第九条第一項の基準がそのまま消えるのではなく、第十三条の六第三項各号の基準に置き換わるだけです。
一方、地階を有しないこと(第四号)、静電気除去装置(第十八号)、避雷設備(第十九号)、防油堤の高さ(第二十二条第二項第二号)の四つは、第十三条の六第三項各号に対応する規定が無く、代替なしでそのまま除外されます。
「除外=要件が消える」と一括りに考えると、置き換わっただけの距離や空地の要件を見落としたり、逆に完全に不要になった項目にまで対策を講じてしまう無駄が生じます。
設計や自主検査の際は、この二つのグループを分けて確認することが実務のポイントです。

置き換わる基準と、完全に無くなる基準があるんですね。
混同しないよう気をつけます。

はい、そこが最大の落とし穴です。
最後に確認の手順をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストを持つ担当者と、建物までの巻尺のイメージ
最後に、実務で確認すべき手順を整理します。
順番にチェックしてください。
(危険物の規制に関する規則第二十八条の六十一・第十三条の六第三項各号に基づく確認手順)
  • 取り扱う危険物が引火点百度以上の第四類危険物で、取扱温度が百度未満に収まっているかを確認する
  • 位置及び構造が第十三条の六第三項各号(距離・空地・屋根・窓出入口・ガラス)に適合しているかを確認する
  • 令第九条第一項第四号・第十八号・第十九号及び防油堤の高さの規定が、代替なしで除外されていることを確認する
  • 設備の種類(ボイラー・切削装置・油圧装置など)を問わず、この特例が使えるかを他の号の特例と比較して検討する
  • 判断に迷う場合は許可申請前に所轄消防署へ相談する

チェックリストに沿って、自施設の状況を確認してみます。

判断に迷う項目があれば、許可申請の前にご相談ください。

よくある質問

Q高引火点危険物とはどんな危険物を指しますか?
A引火点が百度以上の第四類の危険物を指し、これを百度未満の温度で取り扱う場合に規則第二十八条の六十一の特例の対象になります。
Q特例の対象になる一般取扱所に、設備の種類の制限はありますか?
Aありません。ボイラーや切削装置といった個別の設備区分ごとの号とは違い、扱う危険物の性質だけで対象になる横断的な特例です。
Q特例を受けるために満たすべき基準はどこに定められていますか?
A第十三条の六第三項各号(高引火点危険物の製造所の特例と同じ基準)です。位置及び構造がこれに適合することが条件になります。
Q適用除外になった基準は、すべて不要になるのですか?
Aいいえ。距離・空地・屋根・窓出入口・ガラスの基準は別の基準に置き換わるだけで、地階の禁止・静電気除去装置・避雷設備・防油堤の高さの規定だけが代替なしでそのまま不要になります。

まとめ

高引火点危険物(引火点百度以上の第四類危険物)のみを百度未満で取り扱う一般取扱所が対象です
設備の種類を問わない、横断的な特例です
特例を使うには位置及び構造が第十三条の六第三項各号に適合することが条件です
除外されるのは令第九条第一項第一号・第二号・第四号・第六号から第八号まで・第十八号・第十九号です
距離・空地・屋根・窓出入口・ガラスの基準は別の基準に置き換わるだけです
地階の禁止・静電気除去装置・避雷設備・防油堤の高さは代替なしでそのまま除外されます
設計や自主検査では「置き換わった号」と「完全に除外された号」を分けて確認してください

設備の種類を問わない特例だと分かって、うちの施設にも当てはめやすくなりました!

まずは引火点と取扱温度を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十一条第一項・第五項
  • 危険物の規制に関する政令第十九条第一項・第三項
  • 危険物の規制に関する政令第九条第一項第一号・第二号・第四号・第六号から第八号まで・第十八号・第十九号
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の六十一
  • 危険物の規制に関する規則第十三条の六第三項各号
  • 危険物の規制に関する規則第十三条の三第二項第二号・第二十二条第二項第二号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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