危険物を洗浄のために使う一般取扱所には、専用の基準の特例が定められています。
この特例は、塗装専用の一般取扱所(規則第28条の55)の基準を土台にしたうえで、洗浄ならではの条件を積み増す仕組みになっています。
さらに指定数量の倍数がどこまでかによって、免除される範囲も変わります。
免除の土台となる条文から、指定数量の倍数で分かれる緩和のしくみまでを解説します。
うちは部品を洗う洗浄槽で危険物を使っていますが、これも一般取扱所の特例の対象になるんでしょうか。
それに加えて洗浄専用の一般取扱所には、規則第28条の55の2という専用の特例があります。
まずは対象の定義から確認していきましょう。
洗浄専用ならではの条件があるということですね。
はい、引火点と指定数量の倍数の両方が条件になります。
順番に見ていきましょう。
- 対象は引火点が40度以上の第四類危険物のみを洗浄のために取り扱う、指定数量の倍数30未満の一般取扱所です(規則第28条の54第一号の二)
- 基準の特例は規則第28条の55の2に定められ、まず塗装専用一般取扱所(第28条の55)の基準を満たすことが土台になります
- その土台に加えてタンクの周囲の囲いと加熱設備の過熱防止装置を備えれば、令第九条第一項の一部規定が適用されなくなります(第2項)
- 指定数量の倍数が10未満なら、平家建・不燃材料の建物とすることで地階なしや耐火構造区画といった重い基準を避けられます(第3項)
- 洗浄以外の作業を兼ねる部分や引火点40度未満の危険物には、この特例は及びません
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目次
洗浄専用の一般取扱所とは何を指すのか

まずはこの区分がどう定義されているかを確認します。
専ら洗浄のために危険物を取り扱う一般取扱所その他これに類する一般取扱所
(同令に基づく規則第二十八条の五十四第一号の二より)専ら洗浄のために危険物(引火点が四十度以上の第四類の危険物に限る。)を取り扱う一般取扱所で指定数量の倍数が三十未満のもの(危険物を取り扱う設備を建築物に設けるものに限る。)
部品や機械についた油汚れを落とす洗浄作業は、塗装や焼入れと並ぶ代表的な用途の一つとして、規則第28条の54にあらかじめ区分が列挙されています。
洗浄専用の一般取扱所は、この区分の中でも引火点の下限が定められている点が特徴です。
本記事では、この定義を満たした施設に認められる基準の特例を解説します。
引火点40度以上という条件は、他の用途の特例にもあるのでしょうか。
焼入れなど他の用途にも引火点の条件はありますが、洗浄専用は40度以上という独自の下限です。
次は基準の特例そのものを確認しましょう。
塗装専用の基準がなぜ土台になるのか

まず特例の根拠条文を確認します。
第二十八条の五十四第一号の二の一般取扱所に係る令第十九条第二項の規定による同条第一項に掲げる基準の特例は、この条の定めるところによる。
第二十八条の五十四第一号の二の一般取扱所のうち、その位置、構造及び設備が次の各号に掲げる基準に適合するものについては、令第十九条第一項において準用する令第九条第一項第一号、第二号及び第四号から第十一号までの規定は、適用しない。
一 危険物を取り扱うタンク(容量が指定数量の五分の一未満のものを除く。)の周囲には、(略)囲いを設けること。
二 危険物を加熱する設備には、危険物の過熱を防止することができる装置を設けること。
三 前条第二項各号に掲げる基準に適合するものであること。
つまり洗浄専用の特例は、ゼロから積み増す形ではなく、塗装専用の建物基準(地階なし・耐火構造区画・窓なし・特定防火設備・床の傾斜など)を土台にした上で成り立っています。
容量が指定数量の5分の1未満の小さなタンクは、周囲の囲いの対象から除かれます。
過熱防止装置は、洗浄液を温めて使う設備を想定した条件です。
塗装専用の基準までまとめて満たさないといけないとは知りませんでした。
はい、「前条第二項各号」という一文が、塗装専用一般取扱所の基準全体を呼び込んでいます。
次はさらに緩和される場合を見ていきましょう。
指定数量の倍数が10未満だとさらに何が緩和されるのか

根拠条文を確認します。
第二十八条の五十四第一号の二の一般取扱所(指定数量の倍数が十未満のものに限る。)のうち、その位置、構造及び設備が次の各号に掲げる基準に適合するものについては、令第十九条第一項において準用する令第九条第一項第一号、第二号及び第四号から第十一号までの規定は、適用しない。
一 一般取扱所は、壁、柱、床、はり及び屋根が不燃材料で造られ、かつ、天井を有しない平家建の建築物に設置すること。
二 危険物を取り扱う設備は、床に固定するとともに、当該設備の周囲に幅三メートル以上の空地を保有すること。(ただし耐火構造の壁等がある場合は距離の短縮あり)
六 前条第二項第六号から第八号まで並びに前項第一号及び第二号に掲げる基準に適合するものであること。
その代わりに求められるのが、危険物を取り扱う設備を床に固定したうえでの3メートル以上の空地で、耐火構造の壁と自動閉鎖の特定防火設備がある場合はこの空地を短縮できます。
それでも塗装専用の基準(採光・照明・換気の設備、蒸気の屋外排出設備、ダンパー)と、第2項のタンクの囲い・過熱防止装置は引き続き満たす必要があります。
「指定数量の倍数30未満」という入口の条件に加え、「10未満」というさらに狭い枠に入るかどうかで、建物の作り方の選択肢が変わってきます。
倍数が10未満かどうかで、建物の重さがそんなに変わるんですね。
指定数量の倍数10未満という規模の線引きが、建物の耐火構造か平家建かの分かれ目になります。
次は実務で見落としやすい点を確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

とくに注意したい点を確認します。
前条第二項各号に掲げる基準に適合するものであること。
条文をタンクの囲いと過熱防止装置だけ読んで満足すると、地階なし・耐火構造区画・窓なし・特定防火設備といった塗装専用一般取扱所の建物基準そのものを見落とします。
また、この特例が及ぶのは引火点40度以上の第四類危険物を洗浄にだけ使う部分に限られ、同じ敷地で塗装や焼入れなど他の用途を兼ねる部分には、それぞれの用途に応じた別の特例が必要です。
指定数量の倍数が10以上30未満の場合は、第3項の平家建ての緩和は使えず、第2項までの基準にとどまる点にも注意してください。
「洗浄専用だから塗装の基準は関係ない」という思い込みが、いちばん危険です。
うちは洗浄と塗装を同じ建物の別の部屋でやっていますが、それぞれ別の届出が必要になりますか。
はい、用途ごとに区分と基準が異なるため、それぞれの部分について個別に確認が必要です。
最後に確認事項をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。 まず、自社の施設が規則第28条の54第一号の二の洗浄専用の区分に当てはまるかを確認してください。
そのうえで扱う危険物の引火点が40度以上か、施設全体の指定数量の倍数が30未満かの両方を確認します。
条件を満たすなら、タンクの周囲の囲いと加熱設備の過熱防止装置に加え、塗装専用一般取扱所(第28条の55)の建物基準まで満たしているかを図面で確かめます。
指定数量の倍数が10未満であれば、平家建・不燃材料の建物とし3メートル以上の空地を確保する道も選べることを確認しましょう。
判断に迷う場合は、着工前に所轄消防署へ事前相談することをおすすめします。
引火点と指定数量の倍数、両方をあわせて確認すればいいんですね。
引火点と指定数量の倍数の両方から確認してみてください。
次によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
分かりました、引火点と指定数量の倍数を次の点検であわせて確認します!
基準の積み増し構造は複雑なので、迷ったら早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十九条第二項第一号の二
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第一号の二・第二十八条の五十五
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十五の二
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





