給油取扱所には、専用タンクの設備や給油作業そのものを縛る基準があります。
けれどもガソリンや灯油を運んでくるタンクローリー(移動タンク貯蔵所)の側にも、それとは別の取扱いの基準があります。
危険物の規制に関する政令第二十七条第六項第四号が、注入ホースの緊結から接地、静電気対策までを定めているためです。
この記事では、移動貯蔵タンクからの注入・詰替え・接地の基準を条文から整理します。
タンクローリーの基準は運送会社の話で、うちには関係ないですよね。
実は専用タンクへ注入するときは、施設側にも守るべき手順があります。
具体的にはどんな手順があるんですか。
接地や注入速度など、条文で定められた手順があります。
順番に見ていきましょう。
- 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)からの取扱いには、危険物の規制に関する政令第二十七条第六項第四号を根拠に、注入・詰替え・接地に関する独自の基準があります。
- 注入ホースの緊結は原則必須ですが、指定数量未満のタンクへは手動開閉装置付きノズルでの注入が認められます
- ガソリンなど静電気による災害のおそれがある危険物を移すときは、接地と注入速度の制限が義務付けられています
- 灯油とガソリンなど品種を入れ替えて注入するときも、同じ静電気対策が必要です
- 積載式移動タンク貯蔵所は通常の移動タンク貯蔵所と別区分で、車両への緊結方法が追加で定められています
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目次
なぜ移動貯蔵タンクの取扱いには独自の基準があるのか

給油取扱所そのものの基準とは別の話です。
これまで見てきた専用タンクの設備基準は、施設を作るときの基準でした。
一方でこの政令第二十七条第六項第四号は、移動貯蔵タンクから危険物を注入・詰替えする「作業そのもの」を縛る規定です。
イからヘまでの六つの基準があり、注入ホースの緊結・詰替え容器の制限・接地・原動機の停止・注入方法・品種切替時の対策が並びます。
タンクローリーが出入りする施設なら、荷卸しのたびにこの基準が関わってきます。
荷卸しはドライバー任せにしていました。
施設側も受け入れの手順を把握しておく必要があります。
次はホースの緊結を見ましょう。
注入ホースを緊結しなくてよいのはどんなときか

どんなタンクなら例外になるのかを確認します。
原則は、政令が定めるとおり注入ホースをタンクの注入口に緊結することです。
例外として認められるのは、対象のタンクが指定数量未満の危険物を貯蔵・取扱いするものである場合だけです。
その場合でも、使えるノズルは手動開閉装置付きに限られ、開放の状態で固定できる装置が付いたノズルは使えません。
小規模なタンクだからといって、どんなノズルでもよいわけではない点に注意してください。
レバーを固定できるノズルの方が、作業は楽そうですが。
固定装置付きは条文で除外されています。
次は接地と注入速度を確認しましょう。
ガソリンを移すときの接地と注入速度はどう決まるか

接地と注入速度の二本立てです。
接地は、導線で移動貯蔵タンクと接地電極等を緊結する方法に限られます。クリップを近づけるだけでは足りません。
上部から注入する場合は、危険物の液面が注入管の先端を超えるまで毎秒一メートル以下に速度を抑えます。
底部から注入する場合も同様に、液面が底弁の頂部を超えるまでは同じ速度制限がかかります。
液面が管や弁を覆ってしまえば、その後は通常の速度で注入して構いません。
最初だけ遅くすればいいなら、覚えやすいですね。
はい、液面が覆うまでが目安です。
次は品種を入れ替えるときの注意点です。
灯油とガソリンを入れ替えるときに何を見落としやすいか

品種を入れ替えるときです。
灯油やガソリンのように引火点が四十度未満の危険物を注入するときは、移動タンク貯蔵所の原動機を止めておくことが前提です。
そのうえで、ガソリンを入れていたタンクに灯油や軽油を注入する、またはその逆の入れ替えを行うときも、接地と注入速度の制限という同じ静電気対策が及びます。
「今回はいつもと違う品種だから」という理由で手順を省略してよいわけではありません。
配送の都合で品種を切り替える現場ほど、この落とし穴に注意してください。
品種が変わるときこそ、気を抜きやすい気がします。
おっしゃるとおり、切替時こそ手順どおりに。
最後に積載式の扱いを見ましょう。
積載式移動タンク貯蔵所ではどう扱いが変わるのか

普通の移動タンク貯蔵所とは別区分です。
積載式移動タンク貯蔵所は、政令上通常の移動タンク貯蔵所と別の号で扱われます。
詰替え・接地・原動機停止・注入方法・品種切替時の対策(ロからヘ)は共通して適用されます。
そのうえで規則第四十条の八が、緊締金具・すみ金具・シャーシフレーム対応のUボルトで車両に緊結することを独自に求めています。
タンクの中身の基準だけでなく、荷台への固定方法まで確認してください。
中身の基準だけ見て、固定方法は見落としていました。
はい、車両への固定も忘れずに。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
荷卸しの手順を、ドライバー任せにしないよう見直します。
助かります。
まずは接地と注入速度から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十条第三項
- 危険物の規制に関する政令第二十七条第六項第四号・第五号
- 危険物の規制に関する規則第四十条の五・第四十条の五の二
- 危険物の規制に関する規則第四十条の六・第四十条の七
- 危険物の規制に関する規則第四十条の八
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





