危険物の規制に関する政令第27条は、危険物の取扱いの基準を定めています。
条文に設備の名前が書いてあれば設備の規制なのか。
ドラム缶から小さい缶に移すことは配合にあたるのか。
航空機に給油するときエンジンを止めなければならないのか。
タンクローリーからポリタンクに小分けして売ってよいのか。
ブルドーザーは自動車等に含まれるのか。
昭和37年から昭和57年までの質疑を通して、取扱いの基準がどこで線を引いてきたのかを解説します。
条文にバーナーの逆火を防ぐことって書いてあるやん。
どんな設備付けたらええか教えてほしいねんけど。
そこが最初の読みどころです。
この規定は設備について規制したものではなく、取扱い上の基準を定めたものだと回答されました。付ける物ではなく、やり方の話だということです。
ほなタンクローリーからポリタンクに小分けして売るんは?
認められへんて聞いたことあるんやけど。
行為としては移動タンク貯蔵所における危険物の取扱いとして認められるとされています。
ただしその場所が取扱量に応じて一般取扱所として規制されるという念押しが付きます。5件まとめて解説します!
- バーナーの逆火を防ぎ石油類があふれないようにするという規定は設備について規制したものではなく取扱い上の基準を定めたものである
- 引火性液体には常温で引火危険を有するもの以外の軽油等第二石油類および第三石油類をも含む
- 容器にはドラム罐も含まれている
- 配合には小分けおよび詰替えを含まない/配合できる危険物のうち石油類については塗料類に限られている
- 航空機への給油にあたってはレフューラーの原動機を停止させる規定の適用をうけない
- 移動貯蔵タンクからの小分けは取扱いとして認められるが場所は取扱量に応じて少量危険物の取扱場所または一般取扱所として規制される
- 土木建設重機は自動車等に含まれ最大数量2,000リットル以下の給油ノズル付移動タンク貯蔵所による直接給油は認められるがミニローリーによる同様の行為は適当でない
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目次
バーナーの逆火防止は設備の規制ではなく取扱いの基準である

栃木県の足利市消防長から、2つの照会が出されました。どちらも危険物の規制に関する政令第27条の読み方についてです。
1つめは、政令第27条第4項第4号中にバーナーの逆火を防ぎ、かつ、石油類があふれないようにすることとあるが、具体的にどのような設備がよろしいかというものでした。
何を付けるかではなくどう扱うかの規定です。
条文にバーナーという設備の名前が出てくると、その設備に付ける装置の話だと読みたくなります。しかしこの号が求めているのは、逆火させないように扱うこととあふれさせないように扱うことです。
具体的な装置を挙げなかったのは、答えを避けたわけではありません。設備の基準ではないので設備を指定しようがない、という筋の通った回答になっています。
2つめは、政令第27条第6項第1号ロの引火性液体には、常温で引火危険を有するもの以外の軽油(洗い油を含む)等、第二石油類および第三石油類をも含むと解すべきかという照会です。
常温では火がつかないから引火性液体ではない、という読み方はとられませんでした。軽油や洗い油も含むという広い読み方です。
常温で引火するかどうかは、その場の温度が上がらない前提の話にすぎません。取扱いの基準は、温まる場面も含めて考えるという整理だと読めます。
ドラム罐は容器にあたるが小分けや詰替えは配合ではない

大阪府の民生部長から、政令第27条第6項第2号の容器および配合の意義についての照会がありました。
- 政令第27条第6項第2号イに規定する容器には、ドラム罐も含まれていると解してよいか
- 同号ロに規定する配合とは、小分け又は詰替えを含む意味か
照会には長い注記が添えられていました。当時の大阪府では石油類の家庭消費が増えるにつれ石油類の小売店が増加する傾向にあり、これらの小売店は店舗内でドラムから小容器に小分け又は詰替えて小売するため、販売所として規制することは同号ロの規定に違反すると解し、昭和37年4月6日づけ自消丙予発第44号の予防課長回答もあったため、この種の小売店を極力認めない方向にありました。
しかし、そのため違法に石油類を販売する者が増加し、火災予防上著しく支障をきたす状態となったので、今後はこれらを販売取扱所とし、その構造および設備について規制するとともに、小分け等の作業を政令第18条第9号に定める室で行なわせようかと考えている、という状況説明です。
2つめの回答は、政令第27条第6項第2号ロに規定する配合は小分け及び詰替えを含まないです。あわせて、配合できる危険物のうち石油類については塗料類に限られているという念押しが付けられました。
配合と小分けは別の行為だと切り分けられました。
この回答によって、ドラムから小容器へ移す行為が配合の禁止に触れるという読み方は否定されます。現場が違法状態に追い込まれていた原因が、条文の読み過ぎにあったことになります。
照会側が実態がこうなっているので方針をこう変えたいと正直に書いたことが、解釈を正す機会になった事例です。
航空機への給油では給油車の原動機を停止させなくてよい

兵庫県から、管下消防長の照会として、航空機給油車による航空機への給油についての疑義が出されました。
JP-4をレフューラー(別名給油車。移動タンク貯蔵所として規制している)により航空機へ給油する場合、政令第27条第6項第3号ハの規定によりレフューラーの原動機についても停止させるべきかという問いです。
回答に理由は付されていません。ひとことで適用をうけないとされています。
レフューラーが自らの原動機でポンプを駆動して送油する構造であることを踏まえると、原動機を止めれば給油そのものが成り立たないと読めます。止められない事情が構造の側にあります。
あくまで筆者の読みですが、条文の文言を機械的に当てはめず適用の有無そのものを判断した回答であることは確かです。
移動貯蔵タンクからの小分けは認められるが場所として規制される

東京消防庁から、当管内の団地において次のような危険物の取扱行為が行われているとして、移動貯蔵タンク等からの危険物の小分け行為についての照会がありました。
前提として、移動貯蔵タンクからの小分け行為については、政令第27条第6項第4号イただし書および危険物の規制に関する規則第40条の5第1項で定める手動開閉装置を備えた給油ノズルにより指定数量未満のタンクに危険物(灯油)を注入する行為が認められています。そのうえで次のそれぞれの場合はどうか、という問いです。
- 屋外の同一の場所において移動貯蔵タンクから危険物を容器に小分けし販売する場合
- その危険物の数量が指定数量以上となる場合
- トラック等の荷台上においてドラム缶から灯油を電動ポンプ等により吸引し、容器に小分け販売する行為で、同一場所において小分けし販売する数量が指定数量未満の場合
- その数量が指定数量以上となる場合
ただし念押しが続きます。当該場所における危険物の取扱量が指定数量未満であるときは、当該場所は火災予防条例により少量危険物の取扱場所として、また指定数量以上であるときは一般取扱所として規制される、というものです。
トラックの荷台上でドラム缶から電動ポンプで吸引する行為についても、いずれも危険物の取扱いに該当するので、取扱量に応じて少量危険物の取扱場所とし、又は一般取扱所として規制されるとされました。
行為が認められることと場所が野放しになることは違います。
移動タンク貯蔵所としては適法な取扱いでも、その作業をしている場所そのものが別に規制の対象になるという二段構えです。同じ場所で繰り返し行なえば、そこは施設として見られます。
土木建設重機も自動車等に含まれ移動タンク貯蔵所から直接給油できる

岐阜県から、土木建設重機等への給油についての照会がありました。
昭和48年11月6日付け消防予第146号で運用基準が示されているものの、その運用基準について疑義が生じたという内容です。
- 自動車等の範囲について 政令第27条第6項第1号イの自動車等とは、土木建設重機(ブルトーザー、パワーシャベル等主にキヤタピラを有する車両)も含まれるか
- それが含まれるとしたら、工事現場の自動車等に給油するための固定給油設備を設置し、直接給油するよう指導しなければならないか
- 最大数量2,000リットル以下の給油ノズル付移動タンク貯蔵所にて、ダム工事現場内で土木建設重機等への直接給油行為は認められないか
- それが認められない場合は、指定数量未満のミニローリーで同様の行為は認められないか
給油行為については、固定給油設備での直接給油の指導と、最大数量2,000リットル以下の給油ノズル付移動タンク貯蔵所によるダム工事現場内での直接給油の2つともお見込みのとおりとされました。
一方で、指定数量未満のミニローリーによる同様の行為は適当でないです。
移動タンク貯蔵所であることが条件でした。
2,000リットル以下という枠の中とはいえ、認められたのは移動タンク貯蔵所である車両による給油です。指定数量未満のミニローリーによる同じ行為は適当でないとされており、車両の側が何であるかで結論が変わっています。
キヤタピラを有する車両を自動車等に含めた一方で、給油する側の車両については枠を広げなかった、という線の引き方です。
よくある質問
まとめ
- バーナーの逆火を防ぎ石油類があふれないようにするという規定は、設備について規制したものではなく取扱い上の基準を定めたものである
- 引火性液体には、常温で引火危険を有するもの以外の軽油(洗い油を含む)等、第二石油類および第三石油類をも含む
- 政令第27条第6項第2号イに規定する容器にはドラム罐も含まれている
- 同号ロに規定する配合は小分けおよび詰替えを含まず、配合できる危険物のうち石油類については塗料類に限られている
- 航空機への給油にあたっては、政令第27条第6項第3号ハの規定の適用をうけない
- 移動貯蔵タンクからの小分けは取扱いとして認められるが、その場所は取扱量に応じて少量危険物の取扱場所または一般取扱所として規制される
- 土木建設重機は自動車等に含まれ、最大数量2,000リットル以下の給油ノズル付移動タンク貯蔵所による直接給油は認められる
- ただし指定数量未満のミニローリーによる同様の行為は適当でない
行為はええけど場所は別に規制される、っちゅうのが肝やな。
そこが取扱いの基準を読むときのつまずきやすい点です。
移動タンク貯蔵所としては適法な取扱いでも、同じ場所で繰り返せばその場所が施設として見られます。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第18条・第27条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第40条の5 e-Gov法令検索
- バーナーの逆火防止について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から栃木県足利市消防長あて回答)
- 引火性液体について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から栃木県足利市消防長あて回答)
- 「容器」および「配合」の意義について(昭和40年4月15日付け自消丙予発第71号 予防課長から大阪府民生部長あて回答)
- 航空機給油車(移動タンク貯蔵所)による航空機への給油について(昭和47年1月10日付け消防予第23号 予防課長から兵庫県あて回答)
- 移動貯蔵タンク等からの危険物の小分け行為について(昭和51年11月11日付け消防危第87号 東京消防庁あて回答)
- 土木建設重機等への給油について(昭和57年5月7日付け消防危第56号 消防庁危険物規制課長から岐阜県あて回答 昭和58年3月9日付け消防危第19号「13」)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)取り扱いの基準に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




