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自動回転ドアの安全点検はどこを見るのか|危険領域と接触センサーの判定基準を解説

自動回転ドアの安全点検はどこを見るのかを解説する記事のアイキャッチ画像

特定建築物定期調査の任意調査項目には、自動回転ドアの維持保全状況に関する確認事項が含まれています。
平成16年3月に都内の複合施設で発生した死亡事故を契機に、国土交通省と経済産業省は自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドラインを策定しました。
調査では外観の異常だけでなく、危険領域の防護柵や接触センサーの作動状況、点検記録の有無まで確認します。
本記事では、なぜこの項目を見るのか、どう判定するのか、実務で見落としやすい点を5つの視点で解説します

うちのビルにも自動回転ドアがありますが、点検は外から見るだけで大丈夫なのでしょうか。

実は接触センサーの作動確認や、危険領域の防護柵まで見ます。
順番に見ていきましょう。

自動回転ドアって、過去に事故があったと聞いたことがあります。

その事故をきっかけに国と経済産業省がガイドラインを作りました。
5つの視点で整理します。

この記事の結論
  • 自動回転ドアの各部に破損や変形、著しい錆がないかをまず目視で確認します。
  • 危険領域は固定方立から50センチメートルまでの範囲と定義されています。
  • 危険領域には防護柵やガード等、またはこれに代わる非接触センサーが必要です。
  • 接触センサーが実際に作動するかどうかも、調査時に確認すべき項目です。
  • 定期的な点検・整備の記録を管理者が保有しているかまで確認して調査が完了します。

特定建築物定期調査で確認する自動回転ドアの5つの視点を示すインフォグラフィック

自動回転ドアの異常や損傷はどこを見るのか

自動回転ドアのドア羽根や固定方立の損傷を確認する調査員
自動回転ドアの点検は、動いているかどうかを見るだけでは終わりません。
ドア羽根や固定部分の劣化は、事故につながる危険領域の性能そのものに関わります。
自動回転ドアの各部について、どのような着眼点で異常の有無を確認するか。
ドア羽根、戸先、固定外周部、固定方立等に破損、変形、著しい錆等がないか、入り口に段差がないか、ガラスにひび等がないかを目視等により確認する
自動回転ドアの異常は、外観の目視確認から始まります
自動回転ドアの製造・供給者には、自重や回転運行による力、風圧その他の外力による損傷や脱落を防ぐ対策が求められています。
ガラス部分は万一破損しても著しく危険にならないものを使うこととされ、ひび割れの有無は特に注意して確認します。
戸先や固定方立の緩衝材がすり減っていると、挟まれ時の衝撃を十分に吸収できません。
メーカー等による定期点検の実施状況もあわせて確認すると、調査の精度が上がります。

うちの回転ドア、ガラスに小さいひびがあるのを見た気がします。

それは危険のサインかもしれません。
破損や変形がないか、早めに確認しましょう。

出入口の表示や誘導はなぜ必要なのか

自動回転ドア周辺の進入方向と非常停止ボタンの表示を確認する調査員
自動回転ドアは、通行者が仕組みを理解していないと危険が増します。
進入方向や非常停止ボタンの所在を示す表示は、事故を防ぐ最初の対策です。
自動回転ドア周辺の監視や安全な通行に関する表示は、どのような内容が求められるか。
ドアの存在、回転・進入方向、回転範囲、定員、非常停止ボタンの所在、非常停止することがある場合の注意喚起等の表示、音声等による警告、誘導等を適切に行うことが求められる
表示は見ればわかる状態になっているかで判定します
自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン(平成16年6月 経済産業省・国土交通省)は、非常停止ボタンを識別しやすい位置に設けることを求めています。
子供が誤って非常停止ボタンを操作しないよう、注意表示を行うことも必要です。
不特定多数が利用する建築物では、管理者が常時周辺の状況を監視し、速やかに対応できる体制も求められます。
混雑時に警備員や誘導員を配置しているかどうかも、あわせてヒアリングで確認します。

非常停止ボタンがどこにあるか、正直あまり意識したことがありませんでした。

表示が見やすい位置にあるかは事故防止の基本です。
従業員にも周知しておきましょう。

危険領域の防護柵やガードはなぜ必要なのか

自動回転ドアの危険領域に設けられた防護柵を確認する調査員
自動回転ドアで最も重大な事故は、ドア羽根と固定方立の間に挟まれることです。
危険領域をどう囲うかは、挟まれ事故を未然に防ぐための核心部分です。
危険領域とはどの範囲を指し、どのような対策が求められるか。
危険領域とは出入り口のうち挟まれの危険性が高い、固定方立から50センチメートルまでの範囲をいい、原則として危険領域への進入を防止するための防護柵、ガード等を設けることが求められる。危険領域の外側の領域を確実に検知する非接触センサーを設置することを、防護柵等の設置の代替とすることができる
危険領域を囲えているかどうかが、挟まれ対策の土台になります
固定方立から50センチメートルという範囲は、挟まれによる危険性が特に高いと位置づけられた領域です。
防護柵やガードを設ける際は、その設置自体が新たな危険を生じさせていないかにも注意が必要です。
非接触センサーで代替している場合は、危険領域の外側を確実に検知できているかを確認します。
調査では防護柵の有無だけでなく、乗り越えたりくぐったりできるすき間がないかも見ます。

防護柵があれば、それだけで安心していいのでしょうか。

柵をくぐれたり乗り越えられたりしないかも見ます。
すき間の大きさも確認しましょう。

接触センサーの作動確認はどう行うのか

自動回転ドアの接触センサーの作動を管理者立ち会いで確認する調査員
接触センサーは、挟まれの瞬間にドアを止める最後の砦です。
見た目に異常がなくても、実際に作動するかどうかは別の問題です。
接触センサーとはどのような装置で、調査ではどう確認するか。
接触センサーとは、緩衝材等に設置し、人体等の接触を検知する装置で、自動回転ドアの停止等の制御装置に連動しているものをいう。調査では、管理者等の立ち会いのもとに、調査時の安全に十分注意しながら作動するかどうかを確認する
接触センサーは、実際に作動させて初めて確認できたことになります
接触センサーとは別に、危険領域へ進入した人体を未然に検知する非接触センサーを備えている機種もあります。
ドアの制動距離は、戸先と固定方立に設けた緩衝材の収縮幅より小さくすることが求められています。
センサーへ直接触れて確認する作業は、通行者を巻き込まないよう管理者の立ち会いのもとで行います。
作動しない、または反応が鈍い場合は、速やかに専門業者への連絡を促します。

センサーを実際に手で触って確認するのは、ちょっと怖い気もします。

だからこそ管理者の立ち会いのもとで安全に確認します。
個人で無理に試さないでください。

定期点検の実施状況はどう確認するのか

自動回転ドアの点検記録を管理者と確認する調査員
自動回転ドアの安全は、設置時の性能がそのまま続くとは限りません。
定期的な点検・整備の記録が残っているかどうかが、最後の確認事項です。
自動回転ドアの定期的な点検は、誰が行い、どう確認すればよいか。
管理者は、自動回転ドアの安全な運行に必要な定期的な点検・整備を必要な技術力を有する技術者に行わせ、その報告を受けなければならない。調査では、定期的に点検を行っているか、また点検の結果を確認する
点検記録の有無が、日頃の管理状況をそのまま映します
管理者は、負傷事故や安全上の重大な故障等があった場合、製造・供給者及び所在地の特定行政庁へ連絡し、記録を残す必要があります。
改善が必要な指摘を受けたまま放置されている場合は、改善されるまで運行の停止などの措置が必要です。
点検・整備者は、点検の内容及び結果を管理者に報告する義務を負っています。
記録が確認できない場合は、管理者への聞き取りとあわせて、次回点検の予定も確認しておくと安心です。

点検の記録って、うちにあるのかどうかすぐには分かりません。

まずは点検記録の保管場所を確認してみましょう。
無ければ管理会社に問い合わせが必要です。

よくある質問

Q自動回転ドアの点検は、外観を見るだけで足りるのでしょうか?
Aいいえ。外観の異常確認に加えて、接触センサーの作動や危険領域の防護柵、定期点検記録の有無まで確認する必要があります。
Q危険領域とは、具体的にどの範囲を指すのでしょうか?
A固定方立から50センチメートルまでの範囲が危険領域とされています。この範囲への進入を防ぐ防護柵やガードの有無を確認します。
Q接触センサーが作動しない場合、どうすればよいのでしょうか?
A速やかに製造・供給者や専門業者に連絡し、改善されるまで運行を停止するなどの措置が必要です。個人での分解や調整は避けてください。
Qこのガイドラインは、法律で義務付けられているのでしょうか?
Aガイドライン自体は行政指導としての性格を持つものですが、特定行政庁が建築物調査の項目に付加している場合は、定期調査の一環として確認が必要になります。

まとめ

自動回転ドアの調査は外観確認だけでなく接触センサーや防護柵まで及ぶ
ドア羽根や固定方立に破損・変形・著しい錆がないかを目視で確認する
危険領域は固定方立から50センチメートルまでの範囲と定義されている
危険領域には防護柵やガード、またはこれに代わる非接触センサーが必要
接触センサーは管理者立ち会いのもとで実際に作動を確認する
定期的な点検・整備の記録を管理者が保有しているかまで確認する
ガイドラインは平成16年の死亡事故を契機に経済産業省と国土交通省が策定した

うちもまず、防護柵と接触センサーの状態を確認してみます!

自動回転ドアは多重の安全対策があって初めて安心して使えます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第1項(特定建築物の定期調査報告制度。e-Govで現行条文を確認)
  • 自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン(平成16年6月 経済産業省・国土交通省)

※本記事は自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン(平成16年6月 経済産業省・国土交通省)及び建築基準法第12条をもとに、自動回転ドアの維持保全状況に関する定期調査の一般的な着眼点を解説したものです。個別の建築物における調査項目や判定は、特定行政庁の定める内容及び現地の状況に応じて異なります。実際の調査・点検にあたっては、建築物調査員等の専門資格者にご確認ください。

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