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航空機給油タンク車の添加装置はなぜ転倒防止の措置まで必要なのか|結合金具の材質や静電気除去装置も解説

航空機給油タンク車に取り付けた添加装置を作業着姿の担当者がしゃがんで点検している写真

航空機給油取扱所で航空機に燃料を補給する給油タンク車には、氷結防止剤などを燃料に添加するための添加装置を取り付けることができます。
ただし、添加装置を取り付ける場合には、給油タンク車そのものの基準に加えて、添加装置専用の構造基準を満たさなければなりません。
配管やホースの耐圧試験といった給油タンク車本体と共通の基準に加え、航空機側に接続する結合金具の材質や、転倒したときの備えまで細かく定められています。
この記事では、航空機給油タンク車に添加装置を接続するときに求められる構造基準を順番に整理します。

冬場、航空機の燃料に氷結防止剤を混ぜる装置を給油タンク車に付けたいのですが、普通の給油タンク車と同じ基準でいいのでしょうか。

いいえ、添加装置専用の構造基準があります。

航空機に直接つなぐ部分にも、何か特別な決まりがあるんですか。

はい、結合金具の材質から転倒対策まで定められています。

この記事の結論
  • 給油タンク車に氷結防止剤等の添加装置を接続する場合、規則第二十六条第三項第七号の構造基準が適用されます。
  • 添加装置の配管・ホース・先端弁・外装は、給油タンク車本体と同じ基準(規則第二十四条の六第三項第三号)の例によります。
  • 危険物の受入れ口は給油タンク車の給油ホースを緊結できる構造にするとともに、航空機側の結合金具は真ちゅうなど火花を発しにくい材料で造らなければなりません。
  • 添加装置には、給油ホースの先端に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設けなければなりません。
  • さらに添加装置には、転倒を防止するための適当な措置も義務づけられています。

航空機給油タンク車の添加装置に求められる基準の全体像、受入れ口・結合金具・静電気除去装置・転倒防止措置をまとめた図解

航空機給油タンク車の添加装置とはどんな装置か

航空機の脇に停車した給油タンク車に添加装置が接続されているイメージ
まず、添加装置という言葉の意味を確認します。
航空機給油取扱所を規定する条文の中に、その定義が置かれています。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第一号の二 (略)給油タンク車に添加装置(氷結防止剤等を燃料に添加するための装置をいう。以下この項及び第四十条の三の七第一項において同じ。)を接続する場合には、航空機、給油タンク車及び添加装置(略)が当該空地からはみ出さず、かつ、安全かつ円滑に給油を受けることができる広さを有すること。
添加装置とは、氷結防止剤などを燃料に添加するための装置のことです。
冬季の低温下で燃料が凍結するのを防ぐため、給油の際に薬剤を加える目的で使われます。
根拠となるのは危険物の規制に関する政令第十七条第三項第一号で、航空機給油取扱所には通常の給油取扱所とは別の特例基準が定められると規定しています。
給油設備が給油タンク車である航空機給油取扱所において添加装置を接続する場合は、規則第二十六条第三項第七号が専用の構造基準を置いています。
次の項目から、その構造基準の中身を確認します。

添加装置は、給油タンク車ならどれにでも付けられるんですか。

接続する場合に限って、専用の基準が上乗せされます。

添加装置にはどんな配管や受入れ口の基準が適用されるか

添加装置の金属製配管と給油タンク車の給油ホースを緊結する受入れ口のイメージ
続いて、添加装置そのものの配管やホースに求められる基準を確認します。
給油タンク車本体の基準を土台にしつつ、受入れ口には独自の要件が加わります。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第七号 (略)イ 添加装置は、第二十四条の六第三項第三号イからニまでの規定の例によるほか、危険物の受入れ口が給油タンク車の給油ホースを緊結できる構造のものであること。
添加装置の配管やホースは、給油タンク車本体と同じ基準を満たさなければなりません。
配管は金属製とし、最大常用圧力の一・五倍以上の圧力で十分間の水圧試験に耐える構造とすることが求められます。
給油ホースも同様に耐圧試験が必要で、先端に設ける弁は危険物の漏れを防止できる構造でなければなりません。
外装は難燃性を有する材料で造るほか、添加装置に固有の要件として、危険物の受入れ口を給油タンク車の給油ホースを緊結できる構造にする必要があります。
給油タンク車から燃料を受け取る側の接続部にも、独自の基準が置かれているわけです。

配管やホースの試験は、給油タンク車本体の基準をそのまま使えばいいんですね。

はい、ただし受入れ口の構造だけは添加装置固有の基準です。

航空機に接続する結合金具はなぜ真ちゅう製が求められるのか

添加装置の給油ホースの先端に真ちゅう製の結合金具が航空機の燃料タンク給油口に接続されているイメージ
次に、添加装置の給油ホースの先端、航空機に直接つながる部分の基準を確認します。
ここは火花の発生を防ぐための材質規定が置かれています。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第七号 (略)ロ 添加装置の給油ホースの先端部には、航空機の燃料タンクの給油口に緊結できる結合金具(真ちゆうその他摩擦等によつて火花を発し難い材料で造られたものに限る。)を設けること。ただし、当該給油ホースの先端部に手動開閉装置を備えた給油ノズルを設ける場合は、この限りでない。
結合金具は、真ちゅうなど摩擦などによって火花を発しにくい材料で造らなければなりません。
可燃性蒸気が滞留しやすい給油口の周辺で、金属どうしがこすれても火花が出にくい材料を選ぶ趣旨です。
ただし書きにより、給油ホースの先端部に手動開閉装置を備えた給油ノズルを設ける場合は、この結合金具の材質規定は適用されません。
ノズル式にするか結合金具式にするかで、求められる基準が変わる点に注意が必要です。

ノズル式にすれば、真ちゅう製の金具を用意しなくてもいいということですか。

はい、手動開閉装置付きノズルならこの規定の対象外です。

静電気除去装置だけでなく転倒防止まで必要なのはなぜか

添加装置のホース先端に静電気除去装置を設置し、装置本体には転倒防止の措置を講じているイメージ
最後に、添加装置そのものに求められる残り二つの基準を確認します。
どちらも給油タンク車本体の基準にはない、添加装置に固有の要件です。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第七号 (略)ハ 添加装置には、当該装置の給油ホースの先端に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設けること。ニ 添加装置には、転倒を防止するための適当な措置を講ずること。
添加装置には、静電気除去装置と転倒防止の措置の両方を備えなければなりません。
ハでは、給油ホースの先端に蓄積される静電気を有効に除去する装置の設置を求めています。
給油タンク車本体の基準(規則第二十四条の六第三項第六号)にも同様の静電気除去装置の規定がありますが、転倒防止の措置はニで初めて登場する添加装置固有の要件です。
添加装置は給油タンク車に後から取り付ける機器であるため、車体そのものより転倒のおそれが大きいことを踏まえた規定と考えられます。
条文には具体的な工法までは指定されておらず、現場の設置状況に応じた措置を講じることになります。

給油タンク車本体には転倒防止の基準はないんですか。

本体側にはなく、添加装置だけに課された基準です。

明日から何を確認すればよいのか

担当者が添加装置の配管や結合金具、転倒防止の措置をチェックリストで確認している様子
最後に、航空機給油取扱所で添加装置を扱う際の確認ポイントを整理します。
条文の項目に沿って、現場で見るべき場所を順番にたどります。 まずは、添加装置が接続されているかどうかを確認します。
接続していない給油タンク車には、この専用基準は適用されません。
添加装置がある場合は、配管とホースが給油タンク車本体と同じ耐圧試験をクリアしているかを確認します。
続いて、受入れ口が給油タンク車の給油ホースを緊結できる構造かどうか、航空機側の結合金具が真ちゅうなど火花を発しにくい材料かどうかを見ます(手動開閉装置付きノズルの場合は対象外です)。
最後に、静電気除去装置と転倒防止の措置が備わっているかを確認すれば、一通りの点検が完了します。

五つの項目を順番に見ていけばいいんですね。

はい、接続の有無から転倒防止までを一通り確認してください。

よくある質問

Q添加装置は航空機給油取扱所であれば必ず設置しなければなりませんか?
Aいいえ。添加装置は氷結防止剤などを燃料に添加する場合に限って接続する設備です。接続しない給油タンク車には、本記事の基準は適用されません。
Q結合金具を真ちゅう製にしなくてよい場合はありますか?
Aはい。給油ホースの先端部に手動開閉装置を備えた給油ノズルを設ける場合は、結合金具の材質規定は適用されません。
Q転倒防止の措置に具体的な工法は決まっていますか?
A条文は「転倒を防止するための適当な措置」と定めるのみで、具体的な工法までは指定していません。現場の設置状況に応じた措置を講じます。
Q添加装置の配管やホースは給油タンク車本体と別の基準で作ればよいですか?
Aいいえ。添加装置の配管・ホース・先端弁・外装は給油タンク車本体と同じ基準(規則第二十四条の六第三項第三号イからニまで)の例によります。

まとめ

給油タンク車に添加装置を接続する場合は、規則第二十六条第三項第七号の構造基準が適用されます
添加装置は氷結防止剤などを燃料に添加するための装置で、接続は任意です
配管・ホース・先端弁・外装は、給油タンク車本体と同じ基準の例によります
危険物の受入れ口は給油タンク車の給油ホースを緊結できる構造にしなければなりません
航空機側の結合金具は真ちゅうなど火花を発しにくい材料で造る必要があります(手動開閉装置付きノズルの場合を除く)
添加装置には静電気を有効に除去する装置を設けなければなりません
さらに、転倒を防止するための適当な措置も義務づけられています

添加装置にも、給油タンク車本体とは別の専用基準があるんですね。
今度うちの装置を見直してみます。

ぜひ、結合金具と転倒防止の両方を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条第三項第一号(航空機給油取扱所の基準の特例)
  • 危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第七号(添加装置の構造基準)
  • 危険物の規制に関する規則第二十四条の六第三項第三号(給油タンク車の配管・ホース・弁・外装の基準)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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