給油取扱所でタンクローリーが専用タンクに危険物を補充している場面を見かけることがあります。
実はあの作業中、隣の固定給油設備は原則として使えなくなっています。
条文が定める設備を備えていれば、給油を止めずに済む場合もあります。
この記事では、専用タンクへ危険物を注入するときに求められる使用中止の原則とその例外、そして立入禁止の範囲を条文から整理します。
うちのスタンドでも、タンクローリーが来ると給油機が止まっていることがあります。
それは専用タンクへの注入中の安全対策ですね。
ただし条件を満たせば止めずに済む場合もありますよ。
止めなくてよい場合があるんですか。
はい、規則が定める設備を備えていれば可能です。
順番に見ていきましょう。
- 専用タンクへ危険物を注入するときは、原則として固定給油設備・固定注油設備の使用を中止しなければなりません。
- 給油ノズル・注油ノズルの自動停止構造と誤注入防止構造の3つを備えれば、使用を中止しなくてよい場合があります
- 固定給油設備・固定注油設備には、接続する専用タンクの配管以外から危険物を注入できません
- 注入口から3メートル・通気管の先端から1.5メートルの範囲は、他の自動車の駐車や点検整備が禁止されます。
- 屋内給油取扱所で引火点40度未満の危険物を注入するときは、可燃性蒸気の回収措置が必要です
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目次
専用タンクに危険物を注入するときはなぜ給油設備を止めるのか

この作業中には原則として決まった措置が必要になります。
タンクローリーが専用タンクに注入している間は、そのタンクにつながる固定給油設備・固定注油設備の使用を止め、自動車を注入口に近づけないことが基準です。
注入作業中に給油や誤操作が重なると、こぼれや静電気などの事故につながりやすいためです。
ただし、この措置には条文上の例外があります。
次の見出しで、その例外の中身を見ていきます。
注入中はいつも給油機を止めないといけないんですか。
原則はそうです。
ただし例外の設備を備えていれば止めなくても大丈夫です。
給油を止めなくてよいのはどんな設備を備えたときか

求められているのは、機械的に事故を防ぐ構造です。
給油ノズルの自動停止・注油ノズルの自動停止・異なる種類の危険物の誤注入を防ぐ構造の3つを満たせば、注入中でも固定給油設備や固定注油設備の使用を止める必要がありません。
条文にはただし書きもあり、専用タンクを設ける給油取扱所とタンクローリーが扱う危険物がどちらも一種類で同一である場合などは、この構造がなくても差し支えないとされています。
設備の有無と扱う危険物の種類、両方を確認しておくことが大切です。
うちの給油機、自動で止まるノズルが付いています。
それなら要件の一つは満たしていますね。
残り2つの構造も一緒に確認しましょう。
注入した危険物はどの配管を通ってタンクに入るのか

誤ったタンクに入れないための基準です。
固定給油設備や固定注油設備には、その設備につながる専用タンクの配管を通してしか危険物を注入できません。
複数のタンクを持つ給油取扱所では、配管を誤って別のタンクにつなぐと、貯蔵している危険物と異なる種類が混ざるおそれがあります。
タンクローリーの乗務員任せにせず、施設側でも配管の対応関係を把握しておく必要があります。
うちは複数のタンクがあるので、配管を間違えないか心配です。
配管の対応表を作っておくと安心です。
注入前に必ず照合する習慣をつけましょう。
注入中は車をどこまで近づけてはいけないのか

起点は2つあります。
専用タンクの注入口を中心に3メートル以内、通気管の先端を中心に水平距離1.5メートル以内の範囲では、他の自動車の駐車・点検整備・洗浄が禁止されます。
注入中の火花や静電気の発生源を、決められた範囲から遠ざける狙いがあります。
普段の給油空地の感覚だけで判断せず、注入時は範囲が変わることを覚えておく必要があります。
普段の給油空地とは別に範囲があるんですね。
はい、注入口と通気管それぞれに範囲が決まっています。
両方を意識してください。
屋内の給油取扱所ではさらに何が必要になるのか

可燃性の蒸気を逃がさない工夫です。
屋内給油取扱所で該当する危険物を専用タンクに注入するときは、蒸気回収設備を使って可燃性の蒸気を有効に回収することが義務付けられています。
屋内は屋外に比べて蒸気がこもりやすく、引火のリスクが高まりやすい環境です。
該当する危険物を扱う屋内給油取扱所では、蒸気回収設備が正しく機能しているかを日常点検で確認しておきましょう。
屋内だと屋外よりも気をつけることが増えるんですね。
蒸気がこもりやすいぶん、対策も一段階増えます。
設備の点検を忘れないでください。
よくある質問
まとめ
注入中の措置、思ったより細かいルールがあるんですね!
注入中の安全対策は事故防止の要です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十条第三項
- 危険物の規制に関する政令第二十七条第六項第一号
- 危険物の規制に関する規則第四十条の三の三の二
- 危険物の規制に関する規則第四十条の三の四
- 危険物の規制に関する規則第四十条の三の五
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





