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鉄道給油取扱所はなぜ舗装された空地でしか給油できないのか|通常基準の適用除外と可燃性蒸気対策もあわせて解説

鉄道給油取扱所の給油空地と舗装の基準を解説する記事のアイキャッチ画像、線路脇の固定給油設備と鉄道タンク車の写真

給油取扱所には、飛行場や港だけでなく鉄道の車両に給油する特殊な形もあります。
危険物の規制に関する政令第十七条第三項第三号が定める「鉄道給油取扱所」で、通常の給油取扱所基準の一部が適用されない代わりに、専用の基準に置き換わります。
とはいえ何でも自由になるわけではなく、危険物の規制に関する規則第二十七条と第四十条の三の九が、給油空地の広さから実際に給油できる場所まで細かく定めています。
この記事では、通常基準からの適用除外と、舗装された空地でしか給油できないという制約を条文から整理します。

鉄道の敷地内に給油設備があるのを見ましたが、普通のガソリンスタンドと同じ基準ですか。

いいえ、鉄道給油取扱所という別の基準が適用されます。

具体的にはどこが違うんですか。

給油できる場所が大きく制限されています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 鉄道給油取扱所は、危険物の規制に関する政令第十七条第三項第三号を根拠に、通常の給油取扱所基準の特例が規則第二十七条で定められています。
  • 通常基準のうち給油空地の広さやホースの長さなど道路を走る自動車を前提にした項目は適用されません
  • 鉄道給油取扱所には、車両が直接給油を受けるための専用の空地を保有する必要があります
  • 空地のうち危険物が漏れるおそれのある部分は舗装し、可燃性蒸気の滞留と流出を防ぐ措置も必要です。
  • 給油できるのは鉄道又は軌道の車両だけで、しかも空地の舗装された部分に限られます

鉄道給油取扱所の基準を示す図解、通常基準の適用除外から給油空地の舗装と可燃性蒸気対策までの流れを示す

鉄道給油取扱所とはどんな給油取扱所を指すのか

線路脇に立つ固定給油設備から鉄道車両へホースで給油しているイメージ
まず、鉄道給油取扱所がどんな条文に位置づけられているのかを確認します。
通常の給油取扱所とは別の、特殊な形の一つです。
危険物の規制に関する政令第十七条第三項 次に掲げる給油取扱所については、総務省令で、前二項に掲げる基準の特例を定めることができる。(略)三 鉄道又は軌道によつて運行する車両に給油する給油取扱所 危険物の規制に関する規則第二十七条(鉄道給油取扱所の基準の特例) 令第十七条第三項第三号に掲げる給油取扱所(以下この条及び第四十条の三の九において「鉄道給油取扱所」という。)に係る令第十七条第三項の規定による同条第一項及び第二項に掲げる基準の特例は、この条の定めるところによる。
鉄道給油取扱所は、鉄道又は軌道の上を走る車両に給油するための給油取扱所です。
飛行場で航空機に給油する給油取扱所や船舶に給油する給油取扱所と並んで、政令第十七条第三項が定める特例のうちの一つに位置づけられています。
通常の給油取扱所の基準(同条第一項・第二項)がそのまま適用されるのではなく、規則第二十七条という専用の条文が特例を定める形です。
自動車を前提にした基準の一部が外れる代わりに、鉄道車両向けの基準に置き換わります。

鉄道の敷地にある給油設備も、ふつうのガソリンスタンドの基準で作られているんですか。

いいえ、政令第十七条第三項第三号が定める別枠の特例です。
次はどこが違うのか見ていきましょう。

通常の給油取扱所基準のうちどの項目が適用されなくなるのか

通常のスタンドの塀や屋根が無く線路脇に固定給油設備だけが立っているイメージ
次に、通常基準からどの項目が外れるのかを確認します。
外れる項目には理由があります。
危険物の規制に関する規則第二十七条第二項 鉄道給油取扱所については、令第十七条第一項第一号、第二号、第四号(給油空地に係る部分に限る。)、第五号(給油空地に係る部分に限る。)、第七号ただし書、第九号、第十号(給油ホースの長さに係る部分に限る。)及び第十九号並びに同条第二項第九号及び第十号の規定は、適用しない
外れるのは、道路を走る自動車の出入りを前提にした項目です。
間口十メートル以上・奥行六メートル以上という給油空地の広さの基準や、給油ホースの長さの基準は、レールの上しか動かない鉄道車両には当てはまりません。
周囲に高さ二メートル以上の塀又は壁を設ける義務も外れ、駅構内や車両基地の敷地事情に合わせやすくなっています。
外れた項目の代わりに何を満たすべきかは、次の第三項が定めています。

普通のスタンドにある塀や広い空地が無くても大丈夫なんですね。

はい、自動車向けの項目が外れているためです。
次は代わりに必要な基準を見ましょう。

給油のための空地はどんな基準を満たす必要があるのか

固定給油設備の周囲を舗装された空地が囲み鉄道車両がはみ出さずに収まっているイメージ
外れた基準の代わりに、鉄道給油取扱所ならではの空地の基準があります。
車両がはみ出さないことが条件です。
危険物の規制に関する規則第二十七条第三項 一 鉄道給油取扱所の給油設備は、固定給油設備又は給油配管等とすること。一の二 鉄道給油取扱所には、鉄道又は軌道によつて運行する車両に直接給油するための空地で次に掲げる要件に適合するものを保有すること。イ 当該車両が当該空地からはみ出さず、かつ、安全かつ円滑に給油を受けることができる広さを有すること。ロ 固定給油設備又は給油配管の先端部の周囲に設けること。
給油設備は固定給油設備か給油配管等のいずれかとし、車両が空地からはみ出さない広さを確保します。
給油空地は、通常の給油取扱所のように間口や奥行きの数値が決められているわけではなく、対象の車両に応じた広さという定め方です。
空地は固定給油設備または給油配管の先端部の周囲に設ける必要があり、車両から離れた場所に置くことはできません。
安全かつ円滑に給油を受けられることも要件に含まれているため、車両の全長を踏まえた設計が必要です。

空地の広さは、何メートル以上と決まっていないんですね。

はい、車両がはみ出さない広さという基準です。
次は空地の舗装について見ましょう。

なぜ給油は空地の舗装部分でしかできないのか

舗装された地面の下に危険物を集める貯留タンクと通気管が埋め込まれているイメージ
空地を確保するだけでは終わりません。
舗装と、実際に給油できる場所の両方が条文で結び付けられています。
危険物の規制に関する規則第二十七条第三項 二 前号の空地のうち危険物が漏れるおそれのある部分は、漏れた危険物が浸透しないための舗装をすること。三 第一号の二の空地には、可燃性の蒸気が滞留せず、かつ、漏れた危険物その他の液体が前号の規定により舗装した部分以外の部分に流出しないように必要な措置を講ずること。規則第四十条の三の九(鉄道給油取扱所における取扱いの基準) 鉄道給油取扱所における取扱いの基準は、次のとおりとする。一 鉄道又は軌道によつて運行する車両以外には給油しないこと。二 給油するときは、当該給油取扱所の給油設備を使用して直接給油すること。三 給油するときは、第二十七条第三項第一号の二の空地のうち舗装された部分で給油すること。
危険物が漏れるおそれのある部分は舗装し、そのうえで給油そのものも舗装された部分でしか行えません。
舗装や可燃性蒸気対策は、空地のうち危険物が漏れる可能性がある範囲を対象にした設備面の基準です。
一方で取扱いの基準は、舗装された部分以外で給油してはならないという行動面の基準で、両方がそろって初めて漏えい対策が機能します。
空地は確保していても、給油する位置が舗装の外にずれていれば、漏れた危険物が受け止められない場所へ流れてしまいます。

空地の中であれば、どこで給油しても同じだと思っていました。

いいえ、舗装された部分でなければ給油できません。
最後に確認の手順をまとめます。

実際に確認しておきたい手順はどうまとめられるか

作業員が鉄道車両の給油口にホースをつなぎクリップボードで確認しているイメージ
最後に、これまでの内容を確認の手順として整理します。
順番にチェックしてください。
  • 給油しようとしているのが鉄道又は軌道によつて運行する車両であるかを確認する
  • 給油設備が固定給油設備又は給油配管等で、車両が空地からはみ出していないかを確認する
  • 給油する位置が、空地のうち舗装された部分の内側であるかを確認する
  • 可燃性蒸気が滞留していないか、貯留設備が正常に機能しているかを確認する
  • 当該給油取扱所の給油設備を使用した直接給油になっているかを確認する

車両の種類と給油する位置の両方を見ればよいのですね。

はい、舗装部分での直接給油を徹底してください。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q鉄道給油取扱所は、どんな給油取扱所を指しますか。
A危険物の規制に関する政令第十七条第三項第三号が定める、鉄道又は軌道によつて運行する車両に給油するための給油取扱所です。規則第二十七条が専用の基準を定めています。
Q通常の給油取扱所の基準は、まったく適用されませんか。
Aいいえ。規則第二十七条第二項が定める項目(給油空地の広さやホースの長さなど自動車を前提にした部分)だけが適用除外で、それ以外の基準は通常どおり適用されます。
Q給油空地の広さは、何メートル以上と決まっていますか。
Aいいえ。通常の給油取扱所のような数値基準ではなく、車両が空地からはみ出さず安全かつ円滑に給油を受けられる広さという定め方です。
Q空地の中であれば、どこで給油しても構いませんか。
Aいいえ。規則第四十条の三の九により、給油できるのは空地のうち舗装された部分に限られます。

まとめ

鉄道給油取扱所は、政令第十七条第三項第三号を根拠に規則第二十七条の特例が適用されます
通常基準のうち給油空地の広さやホースの長さなど自動車向けの項目は適用されません
鉄道給油取扱所には、車両が空地からはみ出さずに給油を受けられる専用の空地が必要です
危険物が漏れるおそれのある部分は舗装し、可燃性蒸気の滞留も防止します
漏れた危険物は舗装した部分の外に流出させず、貯留設備に収容する必要があります
給油できるのは鉄道又は軌道の車両のみで、舗装された部分に限られます
判断に迷うときは、所轄消防署に確認してください

点検のときは、給油する位置が舗装の内側かどうかも見るようにします。
助かります

まずは車両と給油位置の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条第三項第三号
  • 危険物の規制に関する規則第二十七条
  • 危険物の規制に関する規則第四十条の三の九
  • 危険物の規制に関する規則第四十条の三の七第一項第三号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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