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積載式移動タンク貯蔵所はなぜ箱枠に収納すると間仕切が不要になるのか|注入ホースの適用除外と緊締金具の強度基準を解説

積載式移動タンク貯蔵所はなぜ箱枠で間仕切が不要かを解説する記事のアイキャッチ画像

積載式移動タンク貯蔵所は、車両とタンクを分離して積み替えられる構造を持つ特殊な移動タンク貯蔵所です。
政令第15条第2項が特例の根拠になっており、箱枠に収納すれば間仕切や防波板の規定が適用されなくなります。
一方で緊締金具の強度や表示の方法など、通常のタンク車には無い独自の基準も課されます。
今回は危険物の規制に関する規則第24条の5が定める積載式移動タンク貯蔵所の特例を、条文にそって解説します。

うちの積載式のタンクローリーは、普通の移動タンク貯蔵所と何が違うのか気になります。

車両とタンクを分離して積み替えられる構造かどうかが違います。
政令第15条第2項が特例の根拠になっています。

なるほど、箱枠に収納すれば設備が簡単になるという噂を聞いたことがあります。

そのとおりです。
箱枠に収納すれば、間仕切や防波板の規定が適用されなくなります。

この記事の結論
  • 積載式移動タンク貯蔵所は政令第15条第2項が根拠の特例です
  • 箱枠に収納すれば間仕切・防波板・附属装置の損傷防止装置が適用されなくなります
  • 注入ホースの規定(令第15条第1項第15号)も適用されません
  • 緊締金具は移動貯蔵タンク荷重の4倍のせん断荷重に耐える構造が必要です
  • 容量が6,000リットル以下ならUボルトで代用できます

積載式移動タンク貯蔵所の特例を示す図解積み替え式のタンク間仕切は不要金具で固定表示を掲示

積載式移動タンク貯蔵所とは何を指すのか

車両とタンクを積み替える積載式移動タンク貯蔵所
タンクローリーの中には、車両とタンクを分離して積み替えられる構造のものがあります。
これが政令の定める積載式移動タンク貯蔵所です。
(危険物の規制に関する政令第15条第2項) 移動タンク貯蔵所のうち移動貯蔵タンクを車両等に積み替えるための構造を有するもの(第26条、第26条の2及び第40条において「積載式移動タンク貯蔵所」という。)については、総務省令で、前項に掲げる基準の特例を定めることができる。
積載式移動タンク貯蔵所とは、タンクをクレーンなどで車両に積み替える構造を持つ移動タンク貯蔵所です
通常の移動タンク貯蔵所は車両にタンクが固定されていますが、積載式はタンク単体を積み下ろしできます。
政令第15条第1項が定める17号の基準が原則ですが、積載式については第2項により総務省令=規則で特例を定められます。
その特例が次章から見る規則第24条の5です。
まずは特例が及ぶ範囲を、条文の並びに沿って確認していきます。

うちの現場でも、車両とタンクを分けて使う積載式を検討しています。

積み替えができる構造なら、政令第15条第2項の積載式移動タンク貯蔵所に当たります。
次は箱枠の要件を確認しましょう。

箱枠に収納すれば間仕切や防波板は不要になるのか

箱枠に収納したタンクと通常のタンク車の内部構造の違い
積載式移動タンク貯蔵所は、鋼製の箱枠に収納することを条件に、内部の一部構造が免除されます。
どこまでが免除されるのかを条文で確認します。
(危険物の規制に関する規則第24条の5第3項) 次の各号に適合する移動貯蔵タンクに係る積載式移動タンク貯蔵所については、令第15条第1項第3号(間仕切に係る部分に限る。)、第4号及び第7号の規定は、適用しない。 一 移動貯蔵タンク及び附属装置(略)は、鋼製の箱状の枠(以下この条において「箱枠」という。)に収納されていること。 二 箱枠は、(略)移動貯蔵タンク荷重の2倍以上(略)の荷重に耐えることができる強度を有する構造とすること。(三号以下略)
箱枠に収納すれば、間仕切・防波板・附属装置の損傷防止装置の3つが適用除外になります
これは政令第15条第1項第3号(間仕切に係る部分)・第4号(防波板)・第7号(損傷防止装置)にあたる規定です。
一方でタンクの厚さ6ミリメートル以上という板厚基準や、マンホール・安全装置の設置義務はそのまま残ります。
免除されるのは「箱枠が代わりに守ってくれる部分」だけで、タンク本体の強度基準までは緩まりません。
免除の範囲を条文の号番号で確認しておくと、現場での判断を誤りにくくなります。

箱枠に収納するだけで、内部の間仕切まで不要になるとは知りませんでした。

厚さ6ミリメートル以上の鋼板や強度の要件はそのまま残ります。
免除されるのは間仕切・防波板・損傷防止装置の3つだけです。

注入ホースの規定はなぜ適用されないのか

注入ホースの有無を対比した通常のタンク車と積載式タンクコンテナ
積載式移動タンク貯蔵所には、通常のタンク車に義務づけられる注入ホースの規定がありません。
理由を条文から読み解きます。
(危険物の規制に関する規則第24条の5第2項) 積載式移動タンク貯蔵所については、令第15条第1項第15号の規定は、適用しない。(危険物の規制に関する政令第15条第1項第15号) 液体の危険物の移動貯蔵タンクには、危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの注入口と結合できる結合金具を備えた注入ホースを設けること。(略)
積載式は令第15条第1項第15号(注入ホースの設置義務)が全面的に適用除外です
積載式のタンクは積み替えて別の場所で注入・払出しを行うことが前提で、車両に固定された注入口を想定した規定がなじまないためと考えられます。
理由までは条文に明記されていませんが、積み替え構造そのものが免除の背景にあると読めます。
ただし規則第24条の5第4項第3号により、注入ホースを設ける場合は令第15条第1項第15号の基準に従う必要があります。
禁止ではなく「無くてもよい」という位置づけである点を押さえておきます。

注入ホースを付けなくてもよいと言われると、逆に不安になります。

設けること自体は禁止されていません。
設ける場合は令第15条第1項第15号の基準に従えば大丈夫です。

緊締金具にはどんな強度が必要なのか

箱枠の角を車両に固定する緊締金具とすみ金具
箱枠は積み替え時に大きな荷重を受けます。
そのため車両への固定金具には独自の強度基準があります。
(危険物の規制に関する規則第24条の5第4項) 前二項に定めるもののほか、積載式移動タンク貯蔵所の特例は、次のとおりとする。 一 移動貯蔵タンクは、積替え時に移動貯蔵タンク荷重によつて生ずる応力及び変形に対して安全なものであること。 二 積載式移動タンク貯蔵所には、移動貯蔵タンク荷重の4倍のせん断荷重に耐えることができる緊締金具及びすみ金具を設けること。ただし、容量が6,000リットル以下の移動貯蔵タンクを積載する移動タンク貯蔵所にあつては、緊締金具及びすみ金具に代えて当該移動貯蔵タンクを車両のシャーシフレームに緊結できる構造のUボルトとすることができる。
緊締金具・すみ金具は、移動貯蔵タンク荷重の4倍のせん断荷重に耐える強度が基準です
積み替え時にタンクへ加わる衝撃や揺れを見込んで、通常時の4倍という余裕を持たせている規定と考えられます。
ただし容量が6,000リットル以下のタンクであれば、緊締金具・すみ金具の代わりにシャーシフレームへ緊結できるUボルトで足ります。
小型タンクだからといって金具の強度基準ごと省略できるわけではなく、Uボルトという代替構造に置き換わるだけです。
容量の区切りを取り違えると、必要な固定強度を満たさないまま運用してしまう恐れがあります。

緊締金具の強度がどれくらい必要なのか気になります。

移動貯蔵タンク荷重の4倍のせん断荷重に耐える設計が基準です。
6,000リットル以下ならUボルトで代用できます。

表示は何をどう掲げればよいか

積載式移動タンク貯蔵所の表示板を確認する担当者
積載式移動タンク貯蔵所には、通常のタンク車と共通する表示義務に加えて、サイズと色まで定められています。
明日からの点検で確認できる形にまとめます。
(危険物の規制に関する規則第24条の5第4項第4号) 移動貯蔵タンクには、当該タンクの見やすい箇所に「消」の文字、積載式移動タンク貯蔵所の許可に係る行政庁名及び設置の許可番号を表示すること。この場合において、表示の大きさは縦0.15メートル以上、横0.4メートル以上とするとともに、表示の色は、地を白色、文字を黒色とすること。
表示には「消」の文字・許可行政庁名・設置の許可番号の3つが必要です
大きさは縦0.15メートル以上、横0.4メートル以上、色は地を白色・文字を黒色にすることまで決まっています。
サイズや色が基準を満たしていない表示板は、書き換えるだけで済むケースが多く後回しにされがちです。
次の点検では、箱枠の収納状態・緊締金具の強度証明・表示のサイズと色の3点をあわせて確認するとよいでしょう。
どれも条文の号ごとに根拠が分かれているので、指摘を受けた箇所から条文に戻って確認する習慣をつけておくと安心です。

表示のサイズや色まで細かく決まっているんですね。

縦0.15メートル以上、横0.4メートル以上で、地は白色、文字は黒色です。
次の点検で表示を確認してみてください。

よくある質問

Q積載式移動タンク貯蔵所は普通の移動タンク貯蔵所と何が違うのですか?
A車両とタンクを分離して積み替えられる構造を持つ点が違います。政令第15条第2項が特例の根拠になっています。
Q箱枠に収納していない積載式タンクでも特例を受けられますか?
A受けられません。規則第24条の5第3項の各号に適合し、箱枠に収納されていることが要件です。
Q注入ホースを設けてはいけないのですか?
A禁止ではありません。設ける場合は令第15条第1項第15号の基準に従う必要があります。
Q緊締金具の強度はどう確認すればよいですか?
A移動貯蔵タンク荷重の4倍のせん断荷重に耐える設計であることを、車両の構造図や整備記録で確認します。

まとめ

積載式移動タンク貯蔵所は車両とタンクを分離して積み替えられる構造です
政令第15条第2項が特例の根拠です
箱枠に収納すれば間仕切の規定は適用されません
防波板・附属装置の損傷防止装置も同様に適用除外です
注入ホースは設けなくても違反になりません
緊締金具は4倍のせん断荷重に耐える強度が必要です
容量が6,000リットル以下ならUボルトで代用できます

積載式の仕組み、よく分かりました。
箱枠の状態と表示を確認します。

積載式のタンクのことなら、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第15条
  • 危険物の規制に関する規則第24条の5

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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