ビルとビルをつなぐ空中の通路を、駅前や病院で見かけたことはありませんか。
道路の上空に通路を設ける計画は、建築確認とあわせて消防長又は消防署長の同意を得る対象になります。
基準は昭和32年からありましたが、建物や道路の使われ方が変わったことを受けて整理し直されました。
消防庁が示したのは通路にも防火・避難・構造の基準があり、設置できる場所や個数にも制限があるという線引きです。
うちのビルと隣のビルを、屋上近くで渡り廊下でつなぐ計画があるんですが、
これも消防に相談がいるんでしょうか。
道路の上空にかかる通路なら、消防法第7条の同意の対象になります。
建築確認と切り離せない手続きです。
普通の建築確認とは別に、通路だけの基準があるということですか。
そのとおりです。
通路の使い道、置ける場所、構造の3つを順番に見ていきましょう。
- 道路の上空に設ける通路は消防法第7条の消防長又は消防署長の同意の対象になります
- 通路は売場・店舗・商品置場等への転用が禁止されています
- 設置は同一建築物について1個が基本で、隣地境界線から水平距離10m以内には原則設けられません
- 通路の床・柱・はりは耐火構造とし、必要に応じて特定防火設備や排煙設備を設けます
- 必要と認められる場合は通路と建築物を一の防火対象物として消防法第8条が適用されます
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目次
道路の上空に通路を設けるとなぜ消防の同意の運用が整理されたのか

消防庁は、この通路をめぐる消防同意の運用をどう整理したのでしょうか。
道路の上空に設ける渡り廊下やペデストリアンデッキは、消防法第7条にもとづく同意の対象です。建築物の新築や増築を許可・認可・確認する行政庁や指定確認検査機関は、工事施工地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、その許可や確認をすることができません。
この同意の中身を定めていたのが昭和32年の基準通知でしたが、その後平成8年に運用が整理され、さらに今回の平成30年通知でもう一度まとめ直されました。
古い2つの通知はこの通知にあわせて別途廃止されており、現在の運用のよりどころはこの平成30年通知になります。
自分のビルに通路の計画があるなら、まずこの通知が「同意」という手続きの中に組み込まれていることを押さえておきましょう。
渡り廊下って、建築確認だけで済むと思っていました。
消防の同意もセットになっています。
計画の早い段階で消防にも声をかけてください。
どんな通路が同意の対象になるのか

通知が対象とする「通路」の性格を確認しておきましょう。
対象になるのは、建物の中にいる多数人の避難や、道路の交通の緩和といった、社会全体にとっての利便に寄与する通路です。個人の便宜だけを目的にした通路は、この考え方に当てはまりません。
また、通路は交通・防火・安全・衛生・美観を妨げず、周囲の環境を害さないように適切に管理されることが前提とされています。
道路の交通を妨げず、避難や通行の役に立つものであること。この2つが通路として認められる出発点です。
計画段階では、通路をどんな人がどんな目的で使うのかを、まず言葉にしておくと話が進めやすくなります。
うちの通路は、避難通路というより従業員の行き来がメインなんですが、それでも対象になりますか。
従業員の通行だけでも公共的利便の一つとして扱われます。
建物の用途や規模とあわせて確認しましょう。
通路の中身はどんな基準を求めているのか

特に防火と避難に関わる部分を見ておきましょう。
建物から5メートル以内にある通路の床・柱・はりは耐火構造とし、通路と建物の間には特定防火設備を設けることが求められます。これは、通路の火災が建物へ、あるいは建物の火災が通路へ広がるのを防ぐための措置です。
あわせて、建築基準法施行令に適合する排煙設備を設けるなど、煙がこもらないようにする措置も必要とされています。
このほかにも、通路を支える柱を道路内に設けない構造とすること、建築物の地震時の震動性状も考慮した構造とすることなど、通路ならではの条件が並んでいます。
設計段階でこれらを図面に落とし込めているか、着工前に一度チェックリスト化しておくと安心です。
通路の中に防火シャッターがあるのを見たことがあります。
あれもこの基準のためだったんですね。
はい、通路と建物を切り分ける特定防火設備です。
作動確認も点検の対象になります。
通路を設けるうえで見落としやすい落とし穴はどこか

特に注意したい2点を確認しましょう。
一時的な催事であっても、通路を店舗や商品置場、事務所として使うことは認められていません。避難や通行のための空間が塞がれてしまうと、通路として認められた前提そのものが崩れてしまうからです。
設置できる個数や場所にも制限があります。通路は同一建築物について1個が基本で、増やすには用途や規模による相当の理由が要ります。また、隣地境界線から水平距離10m以内には原則として設けられません。
竣工後にディスプレイや什器を置いてしまう例は少なくありません。使い方のルールは工事が終わった後こそ効いてくると考えておきましょう。
テナントの入れ替わりのたびに、通路の使い方を管理会社が再確認する仕組みを作っておくと安心です。
季節のイベントで通路に出店を置いていた建物を見たことがありますが、あれは基準に反していたんですね。
臨時的でも用途違反にあたります。
管理規約に使用制限を明記しておくと防げます。
通路を計画するときに明日から確認すべき手順は何か

最後に、計画段階での進め方を確認しておきましょう。
ここまでの基準はあくまで一般的な考え方であり、必ずしもそのまま当てはめなくてよい場合があるとされています。建物の用途や規模、通路を設ける場所の特殊性を踏まえて、消防機関との協議で個別に判断されます。
また、通路と建物をあわせて一つの防火対象物とみなし、消防法第8条の防火管理義務を適用することもあるとされました。この場合、通路も消防計画の対象に含まれます。
通路の設置を検討するなら、設計を固める前に道路管理者・警察・消防による連絡協議会での協議を通す必要があります。
図面ができてから相談するのではなく、構想段階で所轄消防署の予防課に一報を入れておくのが、計画を止めない一番の近道です。
図面が固まってから相談しようと思っていましたが、順番が違ったんですね。
構想の段階で一度声をかけてください。
あとからの設計変更を防げます。
よくある質問
まとめ
通路の計画があるときは、早めに㈱防災屋さんにも相談してみます!
設計の構想段階からお手伝いできます。
同意の手続きも含めて一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 道路の上空に設ける通路に係る消防法第7条の同意の運用について(通知)(平成30年7月11日 消防予第423号 消防庁予防課長)
- 消防法第7条
- 消防法第8条
- 建築基準法施行令第112条第14項
- 建築基準法施行令第126条の3
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





