非常警報設備が要るかどうかは収容人員が50人以上かどうかで決まります。
ところが現場には、仮設の建物や、渡り廊下でつながった校舎や、住まいと一続きになった寺院があります。
このとき数えるのは建物の全部でしょうか、それとも部分ごとでしょうか。
質疑応答が示したのはどこまでを1つの防火対象物とみるかで答えが変わるという考え方です。
うちの敷地には建物が3棟あります。
収容人員は全部を足して数えるのでしょうか。
そこが分かれ目です。
別の防火対象物とみなされる部分は、その部分ごとに数えます。
短い期間しか建てないプレハブでも要るのでしょうか。
収容人員が50人以上なら要ります。
ただし携帯用拡声機で足りる場合もあると書かれています。
5つの質疑を順に見ていきます。
- 仮設建築物でも収容人員が50人以上なら必要ですが短期間使用するものは携帯用拡声機等で令第32条を適用できる場合があります
- 令第8条で別の防火対象物とみなされる部分はその部分ごとに収容人員を数えます
- 棟が別の防火対象物とみなされる学校では講堂についてのみ放送設備を設ければ足ります
- 寺院で住宅と同一棟の場合は住宅部分を除いて本堂と庫裡の面積で収容人員を算定してよいとされました
- 既設の非常サイレンが110ホン以上で有効に聞きとれるなら水平距離25メートルをこえてもさしつかえないとされました
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目次
仮設の建物にも非常警報設備は要るか

数か月で壊す建物にも設備が要るのか、という問いです。
ただし、短期間使用する仮設建築物にあつては、実状により携帯用拡声機等の設置をもつて令第32条を適用することができる場合も考えられるので、念のため。
建物が仮のものであることを理由に、非常警報設備が要らなくなるわけではありません。判断の入口は収容人員が50人以上かどうかで、そこは常設の建物と変わりません。
そのうえで逃げ道が示されています。短期間使用する仮設建築物は携帯用拡声機等の設置をもって令第32条を適用できる場合も考えられるとされました。
ただし「考えられる」という書き方です。理由までは書かれていませんが、実状に照らして判断する余地を残した表現と読めます。設置する側が自分で決めてよいという意味ではありません。
自分の現場でやることは1つです。仮設を建てる計画があるなら、収容人員の見込みと使用期間を書き出して、着工の前に所轄消防署へ相談してください。
仮設だから要らないものだと思い込んでいました。
入口の判定は同じです。
使用期間と収容人員をまとめて所轄消防署に相談してください。
壁で仕切られた建物は収容人員をどう数えるか

足して100人とみるか、20人が5つとみるかで結論が変わります。
(下図=収容人員がそれぞれ20人のA・B・C・D・Eが横に並び、各戸の区画は開口部のない耐火構造の壁)
設問の防火対象物の各部分は、いずれも収容人員が50人に満たないので、非常警報器具又は非常警報設備を設置する必要はない。
令第8条は、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画された部分を別の防火対象物とみなす規定です。この規定が働くと、設置義務の判定もその部分ごとになります。
設問では各部分がいずれも20人で、50人に満たないので設置する必要はないと結論づけられました。5つを足せば100人ですが、その足し算をしないという答えです。
逆にいえば開口部があれば、この分け方は使えません。扉や窓で行き来できる区画は別の防火対象物とはみなされないのが原則です。
自分の建物では、まず図面で区画の位置と開口部の有無を確かめてください。ここが決まらないと収容人員の数え方も決まりません。
足さないという答えは意外でした。
先に決まるのは区画のほうです。
図面で開口部があるかどうかを確かめてください。
渡り廊下でつながった学校はどの棟に設けるか

放送設備はどの棟に入れるのか、という問いです。
(下図=収容人員200人・300人・600人の一般教室の棟が並び、渡り廊下の先に収容人員1,100人の講堂)
前提になっているのは「それぞれの棟が別の防火対象物とみなされる場合」という条件です。渡り廊下でつながっていても棟ごとに分かれるなら、放送設備の判定も棟ごとになります。
図で講堂だけが対象になっています。収容人員は講堂が1,100人で、一般教室の棟は200人と300人と600人です。理由までは書かれていませんが、棟ごとに規模を見た結果と読めます。
見落としたくないのは後半です。回答は一般教室についても設置することが望ましいと続けています。望ましいは義務ではありませんが、実務では指導の根拠になります。
自分の建物では、渡り廊下の接続部が別棟の扱いになっているかを、図面と過去の届出で確かめてください。棟の分け方が変われば設備の要否も変わります。
つながっていても棟ごとに見るのですね。
分かれる場合はそうなります。
過去の届出で棟がどう分けられているか確かめてください。
寺院の本堂と庫裡と住宅はまとめて数えるか

どこまでを数えるかで、設備の要否が変わります。
2 寺院の本堂、庫裡、住宅が壁等で仕切られているのみで同一棟の場合、住宅部分を除外して本堂、庫裡部分の面積を対象として収容人員を算定し、令第24条の第1項の規定の適用の有無を判定してよいか。
3 寺院の本堂、庫裡、住宅等が廊下により接続している場合、昭和38年9月21日付自消丙予発第57号消防庁予防課長通達により別棟とした場合、収容人員の算定は、本堂と庫裡を別々としてよいか。
2および3 お見込みのとおり。
問いは3つに分かれています。まず小規模な防火対象物の意味です。質問者は収容人員50人以下かと尋ねましたが、回答は人数ではなく延べ面積およそ350平方メートル以下という面積で線を引きました。ここだけ質問と違う物差しが返っています。
次が本題です。本堂と庫裡と住宅が壁等で仕切られているだけの同一棟なら、住宅部分を除外して本堂と庫裡の面積で収容人員を算定してよい。そして廊下で接続していて別棟とした場合は、本堂と庫裡を別々に数えてよい。どちらもお見込みのとおりという答えです。
同じ屋根の下でも、住まいとして使う部分と参拝や集会に使う部分は切り離して見るという整理になっています。
自分の建物では、住まいの部分の面積と、本堂と庫裡の面積を分けて出しておいてください。この数字がないと判定が始まりません。
住まいの部分まで数えるものだと思っていました。
同一棟でも外してよいとされました。
本堂と庫裡の面積を先に出しておいてください。
工場が何棟もあるとき既設のサイレンは使えるか

これを基準に合う設備として使えるか、という問いです。
規則が求める音響装置の間隔は水平距離25メートル以下です。この工場はその間隔をこえていました。
それでも認められたのは、音が届いていたからです。サイレンの音響が110ホン以上あり、工場内の騒音100ホン程度を上まわり、どの部分でも有効に聞きとれる。この事実が示されたうえで令第32条の特例基準が適用されました。
距離の数字は目的のための手段だということです。知らせるという目的が果たせていることを示せれば緩められるという筋道になっています。ただしこれは既設の設備を基準適合に改修する場面の判断で、新しく作る設備で最初から間隔を広げてよいという話ではありません。
自分の工場では、稼働中の騒音と警報音を実際に測っておいてください。数字がないと相談も始まりません。
音が届いていれば間隔は緩められるのですね。
そう読める回答です。
騒音と警報音を実測した数字を用意してください。
よくある質問
まとめ
どこまでを1つの建物とみるかが先だったのですね。
図面を出してみます。
区画と、渡り廊下と、用途の分かれ目。
この3つを押さえておけば数え方で迷いません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 非常警報器具または非常警報設備を設置する場合(昭和39年8月31日 自消丙予発第93号 予防課長から東京消防庁予防部長あて回答)
- 非常警報設備について(昭和44年11月20日 消防予第265号 予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法施行令第24条に規定する非常警報器具または非常警報設備の設置について(昭和45年10月7日 消防予第204号 予防課長から長野県あて回答)
- 消防法施行令第8条
- 消防法施行令第24条
- 消防法施行令第32条
- 消防法施行規則第25条の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和39年から昭和45年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





