劇場やホールでいすを並べるとき
通路をどれくらい空ければよいか迷ったことはないでしょうか。
実は客席の縦通路と横通路は本数も幅も条例の数字で決まっていて感覚で決めてよいものではありません。
客席の通路配置は防火管理者が計算して確かめる業務です
ホールにいすを並べるとき通路は何列ごとに空ければいいんでしょうか。
それは火災予防条例の避難通路の規定で決まっています。
いすの並び方によって通路の本数も幅も変わります。
通路の幅にも決まった数字があるんですか。
通過する人数から計算する算定幅員という考え方があります。
順番に見ていきましょう。
- 客席の縦通路は基準席数ごとに両側または片側へ配置します
- 通路の幅は通過人数から計算する算定幅員が基準になります
- 縦の並び20席ごとと客席の最前部には横通路も必要です
- ます席には2ますごとに専用の縦通路が要ります
- すべての通路は客席の避難口へ直通させなければなりません
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目次
客席の通路はなぜいすの並びごとに区切って決められているのか

だからこそ通路の決め方には条例という共通のものさしが要ります。
五 客席の避難通路は、次によること。
イ いす席を設ける客席の部分には、横に並んだいす席の基準席数(略)以下ごとに、その両側に縦通路を保有すること。(略)
ロ イの縦通路の幅は、(略)算定幅員(略)以上とすること。(略)
ハ (略)縦に並んだいす席20席以下ごと及び当該客席の部分の最前部に算定幅員以上の幅員を有する横通路を保有すること。(略)
ニ ます席を設ける客席の部分には、横に並んだます席2ます以下ごとに幅40センチメートル以上の縦通路を保有すること。
ホ イからニまでの通路は、いずれも客席の避難口(出入口を含む。)に直通させること。
縦通路はいす席の並びを横に区切る通路で横通路はいす席の並びを縦に区切る通路です。
条文が求めているのは本数だけでなく幅そのものを計算で出すという点です。
ます席にも専用の通路が別に用意されそのすべてが最終的に避難口へ直通しなければなりません。
まずはこの5つの規定がひとつながりの仕組みだと理解するところから始めます。
縦と横で別々に決まっているとは知りませんでした。
次はその縦通路から具体的に見ていきます。
縦通路は何列ごとに何本必要になるのか

まずは基準席数の出し方を確認します。
いす席の間隔が35センチメートルを超えた分だけ1センチメートルごとに1席を足し上限は20席です。
たとえばいす席の間隔が45センチメートルなら超えた分は10センチメートルなので基準席数は18席になります。
この基準席数以下ごとに横並びのいす席の両側へ縦通路を置き半分の席数以下ごとに置くなら片側だけでも構いません。
間隔を測るところから計算が始まるので現地でメジャーを当てる作業が欠かせません。
いすの間隔を測るだけで通路の本数まで変わるんですね。
そのとおりです。
次は通路の幅の計算を見ていきましょう。
通路の幅はどうやって計算するのか

幅は感覚ではなく通過人数から計算します。
たとえば片側からの通過人数が最大100人になる地点なら算定幅員は60センチメートルです。
この数字が下限を上回っていれば通路の幅として使えますが下回るときは条文の下限が優先されます。
両側にいす席が接する縦通路は80センチメートル片側だけがいす席に接する縦通路は60センチメートルが最低限の幅です。
算定幅員と下限の両方を比べて大きいほうを実際の通路幅にします。
人数に0.6センチメートルを掛けるだけなら簡単ですね。
ただし下限を下回ることはできません。
次は横通路とます席の通路です。
横通路とます席の通路はどこに注意すればよいか

縦の並びを区切る横通路とます席専用の通路も必要です。
ニ ます席を設ける客席の部分には、横に並んだます席2ます以下ごとに幅40センチメートル以上の縦通路を保有すること。
客席の最前部にも同じ横通路が必要で幅は算定幅員以上かつ1メートルを下回ってはなりません。
ます席は縦通路の考え方が別で2ますごとに幅40センチメートル以上の通路を置きます。
縦通路と横通路とます席の通路はそれぞれ計算の基準が違うので同じ数字を使い回さないよう注意が必要です。
見落としやすいのは縦通路の計算だけで済ませてしまい横通路の20席という区切りを忘れることです。
縦通路のことばかり考えていて横通路を忘れていました。
よくある見落としです。
最後に現地確認の手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

最後の規定も含めて流れを整理します。
縦通路も横通路もます席の通路もすべて客席の避難口に直通していなければ意味がありません。
途中で行き止まりになる通路や物置代わりに塞がれている通路がないか現地で歩いて確かめます。
間隔を測り基準席数を出し通路幅を算定幅員と比べ最後に避難口までの経路を歩く、この順番で進めれば計算から現地確認まで一通り終わります。
条例の条番号は市町村ごとに違うので自分の建物がある市の条例で該当条文を確認してから始めてください。
測って計算して歩いて確かめる、この順番でやってみます。
それで十分です。
条番号と実測値を消防計画に添えておきましょう。
よくある質問
まとめ
まずはいすの間隔を測るところから始めます。
その一歩で十分です。
客席の通路計画でお困りのことがあれば㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官通知)第35条第1項第5号
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第3条の2第2項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





