移送取扱所の配管系には、異常時に自動的に働く警報装置や安全制御装置など、さまざまな保安設備を設けなければなりません。
規則第28条の45は、これらの保安設備について告示で定める方法により試験を行い、正常に作動することを確認するよう義務付けています。
告示第57条は、試験の対象となる七つの装置と、それぞれに対応する試験方法を号ごとに定めており、一律の方法では試験できません。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の45が告示に委任する保安設備の作動試験の対象と方法を解説します。
試験を1回受ければ、それでずっと大丈夫なんですか。
いいえ、告示第57条第2項が定める方法で、装置ごとに試験を行う必要があります。
まずは結論から確認しましょう。
警報装置と予備動力源で、試験のやり方も違うんですか。
はい、模擬信号を与える方法と実際に操作する方法とに分かれます。
順番に確認していきましょう。
- 保安のための設備は、規則第28条の45の規定により告示で定める方法で試験を行い、正常に作動することを確認しなければならない
- 告示第57条第1項は、警報装置・二種類の安全制御装置・圧力制御装置・油撃圧力安全装置・漏えい検知装置・予備動力源の七つの装置を試験の対象として定めている
- 試験の方法は装置ごとに異なり、模擬信号を与える方法と実際にポンプ等を操作する方法とに分かれる
- 油撃圧力安全装置の試験は移送状態で行うのが原則だが、ポンプの出し得る最高圧力が低い配管では静圧により行う
- 自社の設備がどの号に該当するかを確認し、装置ごとの試験方法で記録を残すことが実務上重要である
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目次
保安設備の作動試験とは何を確認するためのものか

規則第28条の45は、これらの設備が実際に正常に作動するかどうかを、告示の定める方法で確認するよう求めています。
保安のための設備であつて告示で定めるものは、告示で定める方法により試験を行つたとき正常に作動するものでなければならない。
規則第28条の45は試験の対象となる設備と試験の方法の両方を告示に委任しています。
このあとで見る告示第57条は、この委任を受けて対象設備と試験方法を号ごとに定めた条文です。
「設置基準を満たしている」ことと「実際に正常に作動する」ことは別の話であり、試験はこの両者をつなぐ手続きです。
まずはどの設備が試験の対象になるのかを確認します。
保安設備は設置さえすれば大丈夫だと思っていました。
いいえ、設置後の試験まで規則で義務付けられています。
次はどの設備が対象か見ていきましょう。
どの保安設備が試験の対象になるのか

装置の種類によって根拠となる条文が異なるため、まず対象を号ごとに整理します。
一号の警報装置は告示第44条が定める異常事態の警報装置、二号・三号は規則第28条の30第一号・第二号に規定する二種類の安全制御装置です。
四号の圧力制御装置と五号の油撃圧力安全装置は、いずれも規則第28条の31が定める圧力安全装置を、制御する圧力の種類ごとに分けたものです。
六号の漏えい検知装置と七号の予備動力源も対象に含まれ、七号立てのすべてが試験の対象になります。
自社の配管系にこの七つの装置がそれぞれ設置されているかを、まず洗い出しておく必要があります。
七つも装置があると、うちのどれが対象か分かりにくいです。
まずは警報装置や安全制御装置などの有無を設備台帳で確認しましょう。
次は試験の方法を見ていきましょう。
試験はどのような方法で行うのか

装置によって、模擬信号を与えるだけのものと、実際に操作を伴うものとに分かれます。
一号の警報装置は模擬信号を与えるだけで足りますが、二号の安全制御装置は制御回路を遮断した状態でポンプを実際に起動する操作を伴います。
三号の安全制御装置は、漏えい検知・緊急しゃ断弁の制御回路遮断・感震装置への模擬信号という三つの操作を組み合わせて試験します。
四号の圧力制御装置は移送状態で圧力制御弁の下流側の弁を徐々に閉鎖して行い、六号の漏えい検知装置は実際の移送か模擬信号のいずれかで、七号の予備動力源は常用電力源を遮断して試験します。
五号の油撃圧力安全装置には別の手順があり、これは次の見出しで扱います。
警報装置は模擬信号だけでいいのに、安全制御装置は実際にポンプを起動させるんですね。
はい。
実際にポンプを起動する操作を伴う試験は、安全な体制で行う必要があります。
実務で見落としやすいのはどこか

告示第57条第2項五号には、条件によって試験方法そのものが変わるただし書きがあります。
本文は、まず圧力制御装置の作動圧力を最大常用圧力の1.1倍を超える値に調整したうえで、移送状態で圧力逃し弁下流の弁を徐々に閉鎖する方法を原則としています。
ただし書きは、ポンプの出し得る最高圧力が最大常用圧力の1.1倍より低い配管に設ける油撃圧力安全装置については、移送状態を作らずに静圧により試験してよいとしています。
四号までの装置がいずれも移送状態や制御回路の操作を前提にしているのに対し、五号だけは配管の圧力性能によって手順そのものが分かれる点に注意が必要です。
自社のポンプが出し得る最高圧力と最大常用圧力の関係を先に確認しないと、どちらの試験方法によるべきか判断できません。
うちのポンプは出し得る最高圧力がそこまで高くないんですが、それでも移送状態で試験するんですか。
いいえ。
最大常用圧力の1.1倍より低い配管なら、静圧による試験で構いません。
明日からなにを確認すればよいのか

七つの装置は根拠となる条文も試験方法も異なるため、一つの手順書だけでは対応できません。
- 配管系に設置されている警報装置・安全制御装置(二種類)・圧力制御装置・油撃圧力安全装置・漏えい検知装置・予備動力源の有無を確認する
- 装置ごとに規則第28条の45・告示第57条第1項が定める号(一号〜七号)のどれに該当するかを設備台帳に記録する
- 試験を実施する際は、告示第57条第2項の号ごとの試験方法(模擬信号/制御回路遮断してポンプ起動/複合操作/移送状態での弁操作/静圧)に沿って行う
- 油撃圧力安全装置は、ポンプの出し得る最高圧力と最大常用圧力の関係を先に確認し、移送状態と静圧のどちらで試験するかを判断する
- 試験の実施日・方法・結果を記録し、次回試験までの期間を管理する
まず自社の配管系に七つの装置がそれぞれ設置されているかを設備台帳で確認し、号ごとの試験方法に対応づけます。
油撃圧力安全装置のように配管の圧力性能によって試験方法が変わる装置は、事前の確認を怠ると誤った方法で試験してしまうおそれがあります。
試験を実施したら、日付・方法・結果を記録し、次の試験時期を管理しておくと安心です。
自社の設備がどの号に該当するかが分からない場合は、専門業者に確認を依頼するのも一つの方法です。
装置によって試験の仕方がバラバラだと、うちだけで管理するのは大変そうです。
設備台帳と試験記録を装置ごとに整理しておけば、次回の試験もスムーズです。
次によくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
保安設備の点検、うちも見直してみます!
保安設備の作動試験について、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第28条の45
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第57条
- 危険物の規制に関する規則第28条の29・第28条の30・第28条の31・第28条の32
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





