危険物施設の位置・構造・設備を変更するときは、あらためて市町村長等の許可を受けなければなりません。
この変更許可とは別に、完成検査が終わる前でも変更していない部分を先に使いたいときのための「仮使用の承認」という制度もあります。
この二つはもともと別々の手続きですが、危険物の規制に関する規則第五条の三は、両方をまとめて申請できる専用の様式を用意しています。
この記事では、消防法第十一条と規則第五条の三にもとづいて、変更許可と仮使用承認を同時に申請する制度の仕組みと注意点を解説します。
今回の改修は完成前に一部だけ先に使いたいのですが、変更許可の申請とは別に手続きが要りますか。
変更許可と仮使用承認は本来別の手続きです。
同時に申請する場合は、専用の様式が使えます。
専用の様式があるんですね。
普通の変更許可の書類とは違うんですか。
はい、通常とは別に用意された書式です。
条文を順番に確認しましょう。
- 製造所や貯蔵所などの位置・構造・設備を変更するときは、あらためて市町村長等の許可を受けなければなりません。
- 完成検査が終わる前でも、変更工事に関係ない部分は市町村長等の承認を受ければ仮に使用できます。
- この仮使用の承認は、変更許可とは別の手続きとして申請するのが原則です。
- ただし変更許可と仮使用承認を同時に申請する場合に限り、規則第五条の三の専用様式が使えます。
- 同時でない通常の申請では、この専用様式は使えず別々の様式で手続きします。
▼

目次
危険物施設の変更許可と仮使用承認はなぜ別々の手続きなのか

この変更許可とは別に、仮使用の承認という制度もあります。
消防法第十一条第一項後段は、位置・構造・設備を変更しようとする者に変更許可を受けるよう義務づけています。
同条第五項は、許可を受けた施設は完成検査に合格するまで使用できないと定めたうえで、ただし書で仮使用の承認を受けた部分だけは先に使えるとしています。
つまり変更許可は工事そのものの可否を判断する手続き、仮使用承認は工事中の一部使用の可否を判断する手続きです。
この二つは目的も審査の中身も異なるため、通常はそれぞれ別の申請として扱われます。
変更許可と仮使用承認は、そもそも見ている場所が違うんですね。
はい、工事の可否を見るか、先行使用の可否を見るかの違いです。
次はこの二つをまとめて申請できる場合を見てみましょう。
どんなときに専用の様式を使えるのか

どんな条件のときに使えるのかを確認します。
規則第五条の三は、法第十一条第一項後段の変更許可と同条第五項ただし書の仮使用承認を同時に申請しようとする者について定めた規定です。
条件を満たせば、通常の変更許可の様式(規則第五条第一項)や仮使用承認の様式(前条=規則第五条の二)にかかわらず、別記様式第七の二又は第七の三の申請書で手続きできます。
条文の文言は「行うことができる」であり、義務ではなく選べる制度である点も見落とせません。
まず自分の申請が変更許可と仮使用承認を同時に行うものかどうかを確認することが出発点になります。
同時に申請すれば、いつでもこの様式が使えるということですか。
「同時に」申請する場合に限られる特例です。
別々に申請するなら、通常の様式に戻ります。
通常の申請と何が違うのか

専用様式との違いを確認します。
変更許可の申請書は別記様式第五又は第六で、変更の内容に関する図面などを添付します。
仮使用承認の申請書は別記様式第七で、変更の工事に際して講ずる火災予防上の措置を記載した書類を添えます。
同時に申請する場合は、この二つの様式の代わりに別記様式第七の二又は第七の三という専用の申請書一本にまとめられます。
様式が一本化されても、変更許可と仮使用承認それぞれに必要な審査の中身が省略されるわけではありません。
様式が一つになるだけで、審査そのものは変わらないんですね。
はい、申請の窓口を一本化できるだけで、審査の中身は変わりません。
どんなときにこの様式は使えないのか

どんなときに使えなくなるのかを確認します。
規則第五条の三が定めるのは「同時に申請しようとする者」に対する特例であり、時期がずれた申請には適用されません。
その場合は、変更許可を規則第五条第一項の様式で、仮使用承認を規則第五条の二の様式で、それぞれ別に申請することになります。
専用様式を使っても提出先は変わらず、消防法第十一条第一項各号の区分に応じた市町村長等のままです。
工事のスケジュールを立てる段階で、同時申請にするか別々にするかを早めに決めておくと手続きが滞りません。
先に変更許可だけ申請してしまったら、あとから専用様式には切り替えられないんですね。
はい、同時に申請する場合限定の様式です。
スケジュールを先に決めておきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

確認の手順を整理します。
- 今回の申請が、変更許可と仮使用承認の両方を必要とするかを確認する。
- 両方を必要とする場合、同時に申請できるスケジュールかを確認する。
- 同時に申請するなら、規則第五条の三の別記様式第七の二又は第七の三を用意する。
- 同時にできない、または変更許可か仮使用承認のどちらか一方だけなら、通常の様式(第五条・第五条の二)で申請する。
- 提出先の市町村長等の窓口へ、早めに様式の使い方を相談する。
両方が必要で、かつ同時に申請できるなら、別記様式第七の二又は第七の三を使う道が開けます。
同時にできない事情があるときは、無理をせず通常の様式で別々に申請しても問題ありません。
様式の使い分けに迷ったら、工事計画の早い段階で市町村長等の窓口に相談しておくと安心です。
専用様式はあくまで手続きをまとめる選択肢であり、使わなければならないものではありません。
まずは変更許可と仮使用承認の両方が要るかどうかを確認してみます。
それが確認の第一歩です。
同時にできそうなら、窓口に様式のことも相談しましょう。
よくある質問
まとめ
変更許可と仮使用承認、両方の手続きに注意して進めます!
変更許可や仮使用承認の申請でお困りのときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十一条(製造所等の設置及び変更の許可、完成検査及び仮使用)
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第五条・第五条の二・第五条の三(変更の許可及び仮使用の承認の申請書の様式並びに同時申請)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





