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積載式移動タンク貯蔵所のタンクはなぜ通常より厚い鋼板で造られるのか|安全装置の吹き出し面積とふたの厚さも解説

積載式移動タンク貯蔵所のタンクの板厚基準を解説する記事のアイキャッチ画像

積載式移動タンク貯蔵所は、タンクを箱枠に収納することで間仕切と防波板の規定が適用除外になります。
しかし規定が緩む一方で、タンク本体には通常品より厳しい板厚基準が課されています。
マンホールや安全装置、附属装置の間隔まで細かく定められており、点検で見落としがちなポイントも少なくありません。
この記事では積載式移動タンク貯蔵所のタンク本体に求められる構造基準を、規則第二十四条の五に沿って解説します

うちの積載式タンク車両、普通のタンクローリーと何が違うんでしょうか。

箱枠に収納する分、タンクは厚く造る決まりになっていますよ。
規則第二十四条の五から見ていきましょう。

間仕切や防波板が要らない代わりに、他で厳しくなっているんですね。

マンホールや安全装置の基準も別建てです。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 積載式移動タンク貯蔵所のタンクは通常品より厚い六ミリメートル以上の鋼板で造ることが規則第二十四条の五第三項第三号で定められている
  • 直径または長径が一・八メートル以下の小型タンクは五ミリメートル以上でよい
  • 間仕切を任意で設ける場合は三・二ミリメートル以上の鋼板が必要になる
  • 容量四千リットルを超えるタンクは安全装置の吹き出し面積を容量に応じて拡大しなければならない
  • マンホール・注入口のふたの厚さと、附属装置と箱枠の間隔五十ミリメートル以上の確保も欠かせない

積載式移動タンク貯蔵所のタンク板厚基準マンホール安全装置の吹き出し面積附属装置の間隔をまとめた図解

積載式移動タンク貯蔵所のタンクはなぜ通常より厚い鋼板で造るのか

箱枠に収納された積載式タンクと通常のタンクローリーを比較するイラスト
積載式移動タンク貯蔵所は、タンクを箱枠に収納することで間仕切や防波板の規定が適用除外になります。
その代わり、タンク自体の板厚には通常品より厳しい基準が課されています。
第二十四条の五第三項 次の各号に適合する移動貯蔵タンクに係る積載式移動タンク貯蔵所については、令第十五条第一項第三号(間仕切に係る部分に限る。)、第四号及び第七号の規定は、適用しない。(一号・二号略)三 移動貯蔵タンクは、厚さ六ミリメートル(当該タンクの直径又は長径が一・八メートル以下のものにあつては、五ミリメートル)以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造ること。
積載式のタンクは通常品より厚い六ミリメートル以上の鋼板で造られます
通常の移動タンク貯蔵所は厚さ三・二ミリメートル以上(政令第十五条第一項第二号)で足りますが、積載式は約二倍の板厚が求められます。
これは積替え時や輸送中の衝撃・荷重に耐える必要があるためです。
ただしタンクの直径または長径が一・八メートル以下の小型のものは、五ミリメートル以上でよいとされています。
点検の際は車検証や設計図でタンクの直径・長径を確認し、必要な板厚が満たされているかを見ましょう。

うちの積載式タンク、普通のタンクローリーより頑丈に見える理由がわかりました。

板厚が約二倍ですからね。
次は間仕切を設ける場合の基準を見てみましょう。

間仕切を任意で設ける場合はどんな基準になるのか

積載式タンクの内部に任意で間仕切板を追加する断面を示すイラスト
積載式移動タンク貯蔵所は間仕切の設置義務そのものが免除されています。
ただし実務上、輸送の都合で間仕切を設けるケースもあります。
第二十四条の五第三項第四号 移動貯蔵タンクに間仕切を設ける場合には、当該タンクの内部に完全な間仕切を厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造ること。
間仕切は設置義務がなくても、設けるなら基準を満たす必要があります
規則は間仕切そのものを免除していますが、「設ける場合」に限って厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板という条件を課しています。
これは通常の移動タンク貯蔵所の間仕切基準(政令第十五条第一項第三号)と同じ厚さです。
「積載式だから間仕切の基準が一切ない」と誤解しないよう注意が必要です。
輸送する危険物の性状に応じて間仕切を追加している車両がないか、点検時に確認しておきましょう。

積載式は間仕切が要らないと聞いていたので、これは意外でした。

「不要」なのは義務の話です。
設けるなら基準は生きていますよ。

マンホールと安全装置の吹き出し面積はどう決まるのか

容量の異なる二つの積載式タンクの安全装置の吹き出し面積を比較するイラスト
積載式のタンクにもマンホールと安全装置は欠かせません。
ただし容量が大きくなると、安全装置の面積基準も変わってきます。
第二十四条の五第三項第五号 移動貯蔵タンク(タンク室を設ける場合にあつては、当該タンク室。以下この項において同じ。)には、マンホール及び安全装置を設けること。 第六号 前号の安全装置は、第十九条第二項の規定の例によるほか、容量が四千リットルを超える移動貯蔵タンクの安全装置にあつては、吹き出し部分の有効面積の総和が二十五平方センチメートルに当該容量を四千リットルで除して得た値を乗じて得た値以上となるように設けること。
四千リットルを超えるタンクは、安全装置の吹き出し面積を容量に応じて拡大しなければなりません
基本となる第十九条第二項の基準では、吹き出し部分の有効面積は二十五平方センチメートル以上とされています。
しかし積載式で容量が四千リットルを超える場合は、この二十五平方センチメートルに容量を四千リットルで除した値を乗じた値以上が必要になります。
つまり容量が大きいほど、安全装置の面積要件も比例して大きくなる仕組みです。
容量の大きい積載式タンクを点検するときは、安全装置のカタログスペックが容量に見合った面積を確保しているか計算で確かめましょう。

安全装置って、容量が大きくなっても同じサイズでいいと思っていました。

四千リットルを超えると比例して大きくする決まりです。
カタログの数値も確認してくださいね。

マンホールのふたと附属装置の間隔で見落としやすいのはどこか

積載式タンクのマンホールのふたが開いた状態と閉じた状態を比較するイラスト
本体タンクの板厚だけを確認して終わりにすると、見落としが起こりがちです。
規則はふたの厚さと附属装置の配置位置にも基準を設けています。
第二十四条の五第三項第七号 移動貯蔵タンクのマンホール及び注入口のふたは、厚さ六ミリメートル(当該タンクの直径又は長径が一・八メートル以下のものにあつては、五ミリメートル)以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造ること。 第八号 附属装置は、箱枠の最外側との間に五十ミリメートル以上の間隔を保つこと。
マンホールと注入口のふたも、タンク本体と同じ厚さの鋼板でなければなりません
本体だけ厚くしてふたを薄いままにしていると基準を満たしません。
さらに附属装置(マンホール・注入口・安全装置等)は、箱枠の最外側との間に五十ミリメートル以上の間隔を保つ必要があります。
間隔が不足していると、積替え作業や外部からの衝撃で附属装置が損傷するおそれがあります。
点検ではふたの厚さの証明書類の有無と、箱枠内部の実測での隙間確認を両方行いましょう。

ふたの厚さまでは、正直これまでの点検で見たことがありませんでした。

本体と同じ厚さが必要な部分です。
箱枠との隙間もあわせて見てください。

明日からなにを確認すればよいのか

積載式タンクの箱枠を開けて点検する作業員のイラスト
積載式移動タンク貯蔵所は、免除される基準と厳しくなる基準が入り混じっています。
点検の視点を整理しておくと確認漏れを防げます。 点検ではまずタンク本体の板厚を確認しましょう
直径・長径が一・八メートルを超えるかどうかで、必要な板厚が六ミリメートルか五ミリメートルかが変わります。
次に間仕切を設けている車両があれば、三・二ミリメートル以上の鋼板であるかを確認します。
容量が四千リットルを超えるタンクは、安全装置の吹き出し面積が容量に見合っているかを計算で確かめましょう。
最後にふたの厚さと、附属装置と箱枠の間隔五十ミリメートル以上が保たれているかを実測します。

見るべきポイントが五つに整理できました。

板厚・間仕切・安全装置・ふた・間隔の五点ですね。
次の点検からぜひ確認してみてください。

よくある質問

Q積載式移動タンク貯蔵所には防波板を設けなくてよいのですか?
A規則第二十四条の五第三項に適合する移動貯蔵タンクは、政令第十五条第一項第三号(間仕切)・第四号(防波板)の規定が適用除外となるため、原則として不要です。
Q積載式のタンクを薄い鋼板で造ってもよいですか?
Aできません。積載式は間仕切や防波板が免除される一方で、タンク自体は通常品より厚い六ミリメートル以上(小型は五ミリメートル以上)の鋼板が義務づけられています。
Q容量四千リットルのタンクと五千リットルのタンクで、安全装置の基準は同じですか?
A同じではありません。四千リットルを超えるタンクは、吹き出し部分の有効面積の総和を容量に応じて拡大することが求められます。
Q附属装置は箱枠にぴったり収めてもよいですか?
A認められません。附属装置は箱枠の最外側との間に五十ミリメートル以上の間隔を保つ必要があります。

まとめ

積載式移動タンク貯蔵所のタンク本体は規則第二十四条の五第三項が定める専用の構造基準に従う
板厚は原則六ミリメートル以上、直径・長径一・八メートル以下なら五ミリメートル以上でよい
間仕切を設ける場合は三・二ミリメートル以上の鋼板が必要になる
マンホールと安全装置は必須で、四千リットル超のタンクは吹き出し面積を容量に比例して拡大する
マンホール・注入口のふたの厚さも本体タンクと同じ基準による
附属装置は箱枠の最外側との間に五十ミリメートル以上の間隔を保つ
これらは通常の移動タンク貯蔵所とは別建ての基準であり、点検表を混同しないことが重要

うちの積載式タンク車両、次の点検でしっかり見てみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令 第十五条(e-Gov法令検索)
  • 危険物の規制に関する規則 第二十四条の五・第十九条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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